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北海道のカツ丼は個性派ぞろい シイタケ、タケノコも

カツ丼礼賛(7)

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NIKKEI STYLE

玉子とじカツ丼の基本の具はタマネギ。関西・中国・四国地方では青ネギが入ることが多いが、東京を中心に全国的には具はタマネギのみだ。北海道のカツ丼も基本は玉子でとじるタイプなのだが、なぜか具にタケノコやシイタケが使われるカツ丼が結構ある。

タマネギとタケノコのみ、シイタケのみ、両方とお店によってさまざまなだが、玉子とじカツ丼のスタンダードな具として市民権を得ているように思う。なぜ北海道の玉子とじカツ丼にタケノコやシイタケが使われているのは定かではないが、ソフト&歯応えの食感やシイタケのだしが北海道ならではの玉子とじカツ丼として個性を発揮している。

広い北海道の中で、様々な名店があるが旭川。その中でも「四條庵」は好きなお店の一つ。いわゆるそば屋のカツ丼で、デカ盛りで有名なお店だが、その味のファンも多い。

全体のボリュームもさることながら、特筆すべきはカツの分厚さ。厚ければ当然火の入れ方も難しく、そこにはかなり気を配られており、カツは柔らかくジューシー。こちらの具はタマネギとタケノコ。歯ごたえもいいアクセントとなっている。

知らないと出てきてびっくりするのは室蘭のカツ丼だ。

一言で言うと「セパレートカツ丼」。一般的にはカツとじ定食とか、カツ煮定食という名称になるのだろうが、カツ丼を頼んだのに、カツとごはんが別々に出てくる。

「小がね」という屋号のお店が室蘭には複数店あるが、こちらが室蘭のカツ丼のスタイルを確立したお店。創業のお店では、当初は丼で提供していたようだが、つゆの味の濃さや量に、お客さんの様々な希望があって別々に出すようになったのだとか。

室蘭は製鉄や造船など、重工業で発展したまちなので、労働者にどんぶりに乗らないくらい大きなカツを食べてほしかった、といったお店もあったようだ。実際に食べると鉄板のおかげでカツがずっと温かく食べられる。

個人的にはつゆだくで、たれの味がご飯に染みているほうが好みなので、カツ丼風にどんぶりに盛ってビジュアルを作って食べてみた。でもせっかく熱の逃げない器ならば、普通のカツとじよりカツが冷めず、食べる分ずつごはんのおかずとして食べるのもいいかもしれない。

さて北海道にも非玉子とじエリアが3カ所ほど存在している。

一カ所目は、比較的昔から「通」には知られていた訓子府(くんねっぷ)。今から10数年ほど前になるが、その当時は北海道にソースカツ丼がある、との情報を得て訓子府にカツ丼を食べに行った。行ってみるとそれはソースではなくしょうゆベースのたれカツ丼であった。

発祥の店は1950年創業の老舗「福よし」。味わいとしてはうな丼のたれのような甘辛いたれ。北海道には帯広にご当地どんぶりとして知られる豚丼があるが、この豚丼、もとはうな丼のたれからヒントを得て作られたものだそうだ。

たれカツ丼というと新潟が有名だが、あえて比較をするなら新潟は天丼的な甘辛さ、こちらは既述の通りうな丼的な甘辛さ、というとイメージがわくだろうか。きざみのりが風味を加え、グリンピースが彩りを加えている。

こちら「福よし」には、他店にはないとじカツ丼というメニューがある。普通に考えれば、しょうゆベースのたれのカツ丼なのでそのまま玉子でとじればいいようなものだがこちらのとじカツ丼はちょっと違う。

サクサクの食感のたれカツ丼に、玉子とじの部分は少しカツに重なるように添えられるようにのる。玉子とじの部分はシイタケのだしがしっかり効いており、具はタマネギ、タケノコ、シイタケだ。こうすることで、たれカツ丼と玉子丼の二つの味がそれぞれ楽しめ、またまじりあった部分もあわせ3つ目の味も堪能できる。

訓子府町の隣町、置戸(おけと)町にも同様の玉子でとじないカツ丼がある。なぜこの界隈だけカツ丼のスタンダードスタイルが違うのか、はっきりはわかっていない。

二カ所目は浦河。新千歳空港から車で襟裳岬へ向かう途中に広がる馬産地エリアにある。

地元では「かつめし」の名前で玉子でとじないカツ丼が出される。発祥の店の「奴」は閉店してしまったが、その店でまかないでカツにうなぎだれをかけたかつめしの原型を考案し、当時の店主とメニューにしたときの青年が現在の「かど天」の店主だ。

柔らかく、心地よい歯触りのさくっとした食感に、味はしっかりついているのだがさっぱりしたうな丼系のたれが絡む。ご飯に敷かれたきざみのりと上にかかった青のりはそれぞれかつめしを引き立たせる。カツの厚さやしつこくならないようたれを試行錯誤してできた、毎日食べても飽きないかつめしが、今や浦河町のソウルフードになっている。

こちらには同じ味わいの鳥かつめしもある。通常のかつめしと同じ器で提供されるのだが、今回特別に昔使っていたという重箱で作っていただいた。以前重箱で出されていたかつめしが丼になったのは20年ほど前のこと。

浦河には世界中から視察に訪れる福祉施設があり、海外の競馬関係者などを含め、外国人がこちらのお店にも多く訪れるそうだ。ご主人によると外国の方は重箱で隅々まで食べるのが苦手のようで、どんぶりに変えたのだとか。ただ、普通の丼ではたれが底にたまってしまうため、底広になるよう器を特注して作った。地元に愛され、随所に優しさとこだわりを感じるお店だ。

三カ所目は名寄。旭川から稚内に向かう途中に位置する、もち米で有名な道北の中核的まちの一つだ。名寄でも玉子でとじないカツ丼はかつめしと呼ばれる。

「紅花」にはかつめしとともに、シイタケ、タケノコ、タマネギの北海道の王道の具の玉子とじカツ丼もある。発祥の「丸福食堂」閉店のあと、かつめし提供店が少なくなっているという。引き続き頑張ってもらいたいものだ。

個店にはまだまだユニークなカツ丼が数多くあるのだが、それはまた次の機会にするとして、ここでご当地洋食的なカツ系メニューを紹介したい。道東の中心都市、釧路の「スパカツ」だ。発祥の店「レストラン泉屋」での正式名称はスパゲティミートカツである。

見ての通りのド迫力メニュー。鉄板に太めのパスタ、ミートソースの上にトンカツ、さらにミートソースがたっぷりとかかるミートソースの2階建て。1960年にメニューに登場したそうで、当時から人気だったミートソースにステーキには手が届かなくても少し豪華にと、カツをのせたのが始まりなのだとか。

名店のお話を伺っていると、長く愛されるメニューが生まれるきっかけは、お店がお客さんが喜んでくれることを考え、それがお客さん伝わって長年愛されるまちを代表するメニューとして残ってきたのではないかと感じさせられる。

釧路の人ならだれでも知っている「泉屋」には、ピカタをはじめ、他にも独創的なソウルフード的パスタがある。

釧路のとなり、根室には全国的にも類を見ないご当地洋食が数多く存在する。その代表格は「エスカロップ」だが、このメニュー、よく長崎の「トルコライス」と比較される。今回の取材で、日本最北の町、稚内にも「トルコライス」があることを確認。しかし長崎のそれとはかなりスタイルが違う。

次回、特別編として長崎をはじめとして、大阪、神奈川から稚内まで「トルコライス」を紹介したい。

(一般社団法人日本食文化観光推進機構 俵慎一)

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