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秋を探しに 草紅葉が美しい名所10選

NIKKEIプラス1

2017/9/17 NIKKEIプラス1

1位に選ばれた尾瀬ケ原
草が色づき、草原が赤や黄金色に輝く。
湿原や高山を彩る景色を草紅葉(もみじ)と呼ぶ。
秋の到来を告げる名所をランキングした。

枯れゆくさまも しみじみ美しく

 樹木の紅葉より一足早く、秋の訪れを知らせる「草紅葉(くさもみじ)」。湿原で多く見られ、高山植物が赤や黄金色に“衣替え”する。

 葉だけでなく全体が色づいたり、時期や場所で違ったり。草紅葉の魅力は多彩さだ。例えばヨモギではだいだい色と赤紫色が入り交じる。イネ科など茎が色づく品種では1本の中でのグラデーションも楽しめる。

 1位の尾瀬ケ原では、草紅葉は9月中旬に始まり下旬にピークを迎える。周辺の樹木も色づき始め、10月には紅葉との共演が期待できる。自然観察指導員の高野哲司さんは「落葉する樹木の紅葉と違い、草紅葉は枯れていくさまも楽しめる。わびさびやものの哀れを身近に感じられるのも魅力」と話す。

 草紅葉の定義は難しい。紅葉と黄葉を分ける場合もあれば、イネ科など狭義の草に限る考え方もある。チングルマなど低木植物を評価する選者も多く、今回は秋を彩る草木を幅広く対象にした。10位には入らなかったが、阿蘇・草千里(熊本県)や葦毛(いもう)湿原(愛知県)を推す声もあった。

 この時期、高山や湿原は朝夕冷え込む。登山が必要な場所など、十分な備えが必要だ。体力と相談し、無理なく楽しめる場所を選びたい。

1位 尾瀬ケ原 870ポイント
湿原一帯に黄金色のきらめき(群馬・福島・新潟県)

 初夏のミズバショウが有名だが、秋は湿原が草紅葉に彩られる。「やわらかな秋の日差しで一帯が黄金色にきらめく。山々も赤や黄に染まり、濃い緑の針葉樹と併せて豊かな色彩が楽しめる」(杉下弥生さん)。「スゲ類、シモツケ、モウセンゴケなどが見事」(倉田英司さん)

 尾瀬はとにかく広い。一般的なのは、JR沼田駅や上越新幹線上毛高原駅からバスで約2時間の鳩待峠から入るルート。下り道を約1時間歩くと、ビジターセンターや山小屋のある尾瀬ケ原の入り口、山ノ鼻に到着する。5分ほど歩けば至仏山を望む写真の景色が広がる。早朝や夕方には「黄金色の湿原に(もやに光が反射してできる)『白い虹』がかかることも」(萩原浩司さん)。

(1)027・220・4431(尾瀬保護財団)(2)9月下旬から10月上旬

2位 大雪山 410ポイント
真っ赤な高原 圧倒的スケール(北海道)

 黒岳や旭岳など2000メートル級の山々が高原を抱き、日本一早く紅葉を迎える場所としても知られる。「圧倒的なスケール。山肌を覆うチングルマやウラシマツツジの醸し出す紅葉は見事」(倉田さん)

 アクセスしやすい「旭岳ロープウェイ」の姿見駅周辺も十分にきれいだが、体力に余裕があれば、裾合平まで足を延ばすともっと草紅葉を楽しめる。「紅葉に初雪が加わるとさらに美しい」(木原浩さん)。裾合平近くには、秘湯中の秘湯として知られる天然の露天風呂、中岳温泉もある。

(1)0166・97・2153(旭岳ビジターセンター)(2)9月中旬から下旬

3位 奥日光・小田代(おだしろ)ケ原 390ポイント
シラカバ背景に漂う物寂しさ(栃木県)

 戦場ケ原の西側に広がり、シラカバやカラマツに囲まれた一帯。「『貴婦人』と呼ばれるシラカバの大樹と草紅葉の取り合わせは必見」(中村義毅さん)だ。朝霧の名所で、夜明け前から多数のカメラマンが狙う。「一面のササの葉が濃黄色に変わり始め、物寂しさが漂う頃がいい」(大場秀章さん)。「背後の木々とのバランスが、見る人の心を和ませてくれる」(平野隆久さん)

 シカによる被害が深刻な時期もあったが、柵の設置など対策が進んだ。「ホザキシモツケやトダシバが赤や黄色に染まるとセピア色のじゅうたんが敷かれたような趣」(杉下さん)で、「秋の残花も楽しめる」(久志博信さん)

(1)0288・22・1525(日光市観光協会)(2)9月下旬から10月上旬

4位 八甲田山 360ポイント
見事なモザイク模様 織りなす(青森県)

 「キツネ色に染まった草紅葉の高原。赤や黄色に色づいた木々。深い緑の針葉樹の森。見事なモザイク模様を織りなしている」(萩原さん)。おすすめは毛無岱(けなしたい)を通って酸ケ湯(すかゆ)に下るコース。「イネ科やスゲ類を中心とした薄茶色の中に、ゴゼンタチバナの赤黒い色が交じる」(山田隆彦さん)

 「酸ケ湯方面に下ると、草紅葉のじゅうたんがぱっと広がる。天上の楽園を歩いているよう」(高橋重さん)。

(1)017・738・0343(八甲田ロープウェー)(2)10月上旬

5位 月山(がっさん) 320ポイント
沼が映す青空とのコントラスト(山形県)

 見どころの弥陀ケ原湿原は八合目駐車場の目前。「晴れた日には木道周辺に点在する沼池が青空を映し出し、金色の草とのコントラストが鮮やか」(萩原さん)。「色彩的な変化が楽しめる」(平野さん)

 秋は「登山道から見渡すチングルマ、湿原のスゲやカヤ類」(倉田さん)が見どころ。「たおやかな山稜に広がる草紅葉を楽しみながら頂上の小屋に泊まり、荘厳なご来光を期待しよう」(中村さん)。

(1)0237・74・4119(月山朝日観光協会)(2)9月下旬から10月上旬

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