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「かとりーぬ」を演じるときには会社の赤いベストに着替える

「かとりーぬ」を演じるときには会社の赤いベストに着替える

ビックカメラの有楽町店(東京・千代田)。混み合う週末の店内に人だかりができる。中心にいるのは実演販売士の「かとりーぬ古谷野」だ。

その正体は家電コーナー担当の主任、古谷野歩さん(24)。平日は同僚の販売員と同様、売り場に立ち、来店客からの問い合わせに対応する普通の社員。週末になると、自らが調理家電や美容家電など特定の商品を店頭で使いながら、来店客に売り込む実演販売士「かとりーぬ古谷野」に変身する。会社公認の「かとりーぬ」という愛称は旧姓に由来し、名刺にも記されている。

「かとりーぬ」としての活動は奇をてらったわけではない。グループ各社の総勢100人が参加した2016年の「全国接客ロールプレイングコンテスト」。古谷野さんは3位に入った実力の持ち主。それでも結果に満足できず、「悔しさで大号泣した」というほど仕事に情熱を注ぐ。

「本当は文房具を売りたかった」という古谷野さん。アルバイト先の店舗でパソコン周辺機器を扱っていた経験があり、11年にビックカメラに入社した。レジ担当としての入社には「納得できていない面もあった」と振り返る。

転機は12年2月に訪れた。調理家電の実演部隊「ヘルシー隊」に選ばれたことだ。営業部の指導を受けているとはいえ、「好きな文房具ほどの知識はないし、料理も主婦に話をできるほどではない」。そんな負い目があり、通りがかりの来店客にマイクを使って話しかけるのは苦痛だった。

ほかの仕事は前向きにこなすのにどうして話したがらないのか――。上司から「ひねくれもん」と叱責を受けたことがきっかけとなり、「だったら徹底的にひねくれてみよう」と奮起。ためらいを振り切り、実演販売を極める方向に転換した。

「実際に商品を使ってみせれば、性能に関するお客さんの『本当?』という疑いの目が『ホントだ!』という確信に変わる」。インターネット通販との競合もあるなか、実演販売は「リアル店舗の価値にもなる」と古谷野さんは力説する。月末3日間の実演販売でその月のそれまでの倍近い台数が売れることもあるという。

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