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とれたて落花生を塩ゆでに 旬の味、ビールにぴったり

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NIKKEI STYLE

ピーナツといえば、おつまみの定番。時期を問わず、コンビニエンスストアや駅のホームの売店で缶ビールといっしょに買うことが多い。その意味で、ピーナツに季節感は希薄だ。

しかしもちろん、ピーナツにだって旬はある。そう、9月の半ばから、ちょうど今ごろからが落花生の新豆のシーズンになる。

落花生の生産で他県を圧倒するシェアを誇るのは千葉県だ。その中でも八街市、富里市、千葉市といった県北部の一帯が主な生産地になる。まずは、八街市にある千葉県農林総合研究センター落花生研究室で、落花生の歴史や特徴についてうかがった。

落花生は南米原産、それが植民地化に伴いヨーロッパに渡り、中国を介して1706年に日本に伝わった。しかしその時は、国内で栽培するまでには至らなかった。

国産落花生の歴史は、意外に浅い。1871年に神奈川県の大磯町で栽培が始まり、政府が米国から種を購入、全国に栽培を奨励した。その後、千葉県北部の火山灰地での生産が盛んになる。

実は国産の落花生は減少傾向にある。中国をはじめとする輸入物との価格差が大きいため、コンビニなどで売られているピーナツの原料の多くは輸入物だ。一方で国産は、差別化のため、高品質の品種に力を入れている。

代表的な品種は「千葉半立(はんだち)」。千葉県内の品種別作付面積で半分以上というメインブランドだ。1950年代誕生の歴史の古い品種だが、独特の風味で人気が高い。煎りざや・煎り豆に適した品種だ。

79年に誕生した「ナカテユタカ」はやはり煎りざや・煎り豆に適した品種。「千葉半立」より多収で、さやがきれいなのが特徴。

ピーナツというとさやごとや豆をとり出して煎る、あるいはバターピーナツなどに加工するのが一般的だが、近年はゆで豆、とれたての生落花生を塩ゆでにする食べ方も広まってきた。

95年に誕生した「郷の香(さとのか)」は、そんなゆで豆用に改良された品種だ。さらに、豆のサイズを大きくし、ゆで豆として食べ応えを実現したのが21世紀になって誕生した「おおまさり」だ。

座学はこれくらいにして、実際に畑に出てみよう。千葉県富里市の齊藤農園を訪ねた。

落花生は、春に種をまき、初夏に開花、9月から10月にかけてが収穫期だ。「千葉半立」など煎り豆に適した品種は比較的収穫時期が遅い。一方、ゆで豆用の品種は概して収穫時期が早い。

齊藤農園では「おおまさり」の生産を手がける。粒が非常に大きい人気の品種だが、収穫は思っていた以上に大変な作業だった。

一面の落花生畑は、収穫時期の違いを考え、時期をずらして種をまいて育てたもの。畑を覆い尽くすように葉が茂っている。茎を手にして引っ張ると、土の中からたくさんの落花生が実った根が出てくる。

もっと泥まみれかと思っていたが、意外にきれいなさやだ。土によく空気が入っている証拠だろう。ただし、雨の日の収穫は泥まみれになるという。

引き抜きはもちろん、根から落花生を摘みとるのも手作業だ。一見大きなさやでも、中の豆が未成熟だったり、すでに腐りかけているさやもある。出荷に適したものだけを一つひとつ選んでとる。

摘みとりが終わった根を見ると、まだたくさんのさやが残っている。素人目にはもったいないように思うが、売り物にはならないのだという。「おおまさり」は人気が高く、出荷量を確保しようとすると、早朝から午前中いっぱいかかって大量に引き抜き、細かく摘みとることになる。想像するだけで気が遠くなるような作業だ。

摘みとったさやは水洗いする。ニンジンを洗う機械を使うが、ニンジンは表面を削るようにして洗うため、長く機械にかけるとさやが削れてしまうそうだ。

水を切った後は、乾燥へ。

ゆで豆用なので生で出荷するが、さやに水を含んだままでは出荷できないため、選別もかねて網の上に広げ、扇風機で風を当てて水分を飛ばす。この間にも出荷に適さないさやが次々にはじかれていく。水を含んでぶよぶよになったものはもちろん、一見良さそうなものも除外される。

さやを持ってゆすると中からからからと音がする。豆が未成熟なのだ。

これまでの段階で、引き抜いたときに根に付いていたさやのうち、残っているのは半分以下だろうか。手間がかかることはもちろんだが、選りすぐりのさやだけが出荷されることを目の当たりにすると、国産落花生が安くないのには納得させられる。

隣では乾燥が終わった落花生を選別していたが、その段階でも相当数が除外されていた。

「おおまさり」はゆで豆用の品種。とれたての豆をいただいて、レシピを参考に自宅でゆで落花生づくりにチャレンジした。

味を比べるために「千葉半立」の生落花生も用意した。

ゆでる際は大きな鍋に多めの水を張るといいそうだ。塩加減は好みだが、水1リットル当たり大さじ2杯が目安。そこに落花生をさやつきのまま放り込む。

ゆで時間は沸騰してから、硬めが好きなら40分、軟らかめなら1時間が目安。ザルにあけ、湯を切ればできあがりだ。

ゆであげのおおまさりのさやは食欲をそそる美しさがある。真っ白だ。

あれだけゆでたにもかかわらず、さやを割ろうとするとけっこう力が要る。さやが割れると、大粒の豆がお目見えした。さやのしっかり感に反して、豆の歯触りは非常にソフトだった。枝豆に近い。レシピ通りの分量で塩を入れたが、もう少し塩を多くしても良かっただろうか。

一方で「千葉半立」は、同じゆで時間ながらまだかなりかみ応えのある状態だった。品種の違いは明確だ。

これまでゆで落花生が普及してこなかった背景には、日持ちの悪さがある。煎った落花生は日持ちがいいが、生をゆでてしまうと、すぐにカビが生えてしまう。いっぺんにはたくさん食べられないので、ゆでた落花生は冷凍庫で小分けにして保存するのがおすすめだという。

東関東自動車道の富里インターそばにはJA富里市の産直センター2号店がある。新豆のシーズンには、都心から生落花生を求める人が多く訪れるいう。生落花生が手に入りにくい場合は、レトルトのゆで落花生もある。

さやごと煎ったもの、さやから出してから煎ったもの、バターピーナツ、揚げて塩をふったもの……それぞれにおいしさはあるが、せっかくの「旬の落花生」。ぜひ一度ゆでて食べてみてはいかがだろうか。

(渡辺智哉)

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