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岩田さんは今も売り場に立つ(相模原市のノジマ相模原本店)

岩田さんは今も売り場に立つ(相模原市のノジマ相模原本店)

「本当によくやっている」。家電量販店のノジマが4月に開いた入社式で「努力の継続」を訴えた野島広司社長が名前を挙げて称賛した販売員がいる。ノジマ相模原本店(相模原市)に勤務する岩田功さんだ。設立まもない1963年、ノジマの前身である野島電気商会に入社。74歳となった現在も現役の販売員として店頭に立つ。

小さな電器店だったノジマが年間売上高4000億円を超える上場企業に成長していく過程で営業や店舗開発を担当。常務、監査役などの要職を歴任し、現在も「顧問」の肩書を持つ。「昔からいるだけ。社長にもよく怒られた」と控えめに話す岩田さんの名刺には肩書の記載はない。

2002年に監査役を退任し、一度は小売りの現場と「縁が切れた」と考えたという岩田さん。しかし、退任からわずか数カ月、新店のオープンを手伝ったことがきっかけとなり、自ら売り場勤務を願い出た。現在も週3日、テレビ売り場を中心に担当する。

新しい製品が次々に登場した家電量販店の成長過程では本部が主導し、「常に先を見てパソコンや携帯電話などの商品をそろえていった」ことが売り上げの伸びにつながった。たいていの家電製品が行き渡り、買い替え需要が中心となった現在は「お客様一人ひとりが何をほしがっているか。現場が大事」と話す。

そんな岩田さんの接客は「まずは『機能』より『使用』から入る」。家電販売の競争が厳しさを増すなか、販売員の多くは相応の値段になる高機能の製品から薦めがち。高い製品を売るため、接客では機能の説明が中心になっている。しかし、実際にそれだけの機能を顧客が求めているのかは分からない。「どういう使い方をするかを聞き出し、予算に合った商品を提案する」

顧問の立場もあり、周囲の販売員には「自分が行く店と行かない店を分けるのは何か考えて」と助言する。自身が働く店舗の印象をより良くするために必要なものについて、消費者の視点で考えるように仕向けるのが狙いだ。岩田さんは自身の体験を踏まえ、その分かれ目を「安心感」と表現する。

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