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岡山デミカツ丼、加古川かつめし デミグラス系は牛も

カツ丼礼賛(6)

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NIKKEI STYLE

玉子とじかソースか、という二者択一的に簡単には片付かないカツ丼の奥深い世界だが、ソース系にはデミ・ケチャップ系のジャンルがあることも、徐々に知られるようになってきた。カツ丼の主役は言うまでもなくトンカツだが、トンカツのルーツをたどれば、ポークカツレツとなり、さらにその始まりはビーフカツレツ=牛カツである。

関東ではあまり見られないが、関西圏では今でもケチャップが少しかかって出てくるトンカツを目にすることがある。これは明治以降、洋食時代の幕開けに、ビーフカツレツにデミグラスソースをかけていた名残ではないかと考えられる。

たっぷりのソースをカツにかける形で進化を遂げたカツ丼が、岡山と兵庫県加古川に存在する。

加古川ではカツ丼を頼むと玉子とじだが、かつめしとなると、皿盛のご飯の上に牛カツがのり、たっぷりとデミグラスソースがかかったものが出てくる。

かつめしは昭和22年に創業した「いろは食堂」で誕生。発祥店は昭和57年に閉店したが、平成7年に秘伝のレシピを3代目が復活させ、現在の店は4代目が平成27年に店名を復活させた。

皿が足らなくなり、一皿に盛ったのが始まりというエピソードがある。

今回久々に現地に行き「旭食堂」や「シャルール」など老舗のかつめしの名店が閉店してしまっていたのは残念だったが、地元で人気のCoffee House Rocky(コーヒーハウス ロッキー)は、夕方お客さんでいっぱいだった。

昭和46年創業。こちら「ロッキー」のかつめしが一番という市民も多いようだ。

加古川かつめしは、ソースではなくたれと呼ばれ、箸で食べるのがスタンダード。とろみのあるたれが、牛カツを覆うようにたっぷりとかかっている。

味噌汁と柴漬けのセットは、まるで和食の組み合わせだが、違和感なく、より日本食寄りの洋食と言える。付け合わせにはかつめしの特徴の一つである茹でキャベツに、きゅうり、トマトも添えられる。

シンプルに食べるとうまいの一言なのだが、じっくり味わうとたれに何か奥行きを感じる。その非常に奥深い味の秘密は、豊富な調味料やスープ、食材の融合にある。たれは2種類のルーを合わせており、苦味の効いたルーは味のアクセントに、とろみのあるルーは全体をまとめ上げる。デミソース、ケチャップ、ソースのほか、しょうゆ、砂糖、酒、塩こしょう、さらにはニンニクなどが溶け込んでいるとのこと。

複雑に絡み合っている味のはずだが、それぞれの調味料の強い主張はなく、また食べたくなるたれ。しかしたれだけではなく、お店の「三位一体のかつめし」というコンセプトでは、ご飯もカツも大事。カツもロースを使っており、カミカツのような薄さではなく、柔らかく下ごしらえされたビフカツとたれの相性は抜群だ。

庶民的な食堂などにもあるかつめしだが、高級なかつめしを食べられるのが「りんどう」。鉄板カウンターがあり、ソムリエもいるお店だ。ランチのかつめしもあるが、今回いただいたのは、厚みがありながらとても軟らかい牛肉の上かつめし。

サラダの下にはかつめし定番の付け合わせ、茹でキャベツも添えられている。ミディアムレアに揚げられた牛カツ。3日間かけて作られるという鶏ガラスープに野菜や果物などで作ったたれは、比較的サラッとしながらコクのある、牛カツに合う逸品だ。

さすがに他のかつめしよりは値段も張るが、肉の軟らかさ、うまさはちょっと別物。割烹でありながら、地元のご当地グルメをメニューに加える柔軟性と、器や米にも割烹ならではのこだわりを合わせ持つ。

さて牛カツがスタンダードの加古川かつめしに対して、岡山のデミカツ丼はとんかつのカツ丼である。地元の人気店でもあり発祥のお店は「味司野村」。昭和6年創業の老舗だ。一見割烹のような高級な店構えだが、現在は、普段使いのできるカツ丼専門店になっている。

「野村」は岡山デミカツ丼の発祥の店として知られるが、こちらでは「ドミグラスソースカツ丼」というのが正式名称。一般的にデミグラスソースといわれることが多いようだが、語源はフランス語で、よりフランスに近い発音にするとドミグラス、英語発音でデミグラスとなるらしい。

こちらのソースは味わい深いが、老若男女問わず、割とあっさりと食べられる、長年愛され続けてきたソースだ。

創業当初から、帝国ホテルの方から教わったドミグラスソースを、岡山でご飯に合うように試行錯誤を重ね、千切りキャベツは合わないと茹でキャベツにするなどの工夫で、ほぼ今の形になったという。

ソースは3日かけて仕込む。現在の店主は4代目だが、ご本人以外女将さんすらそのレシピを知らないという、いわば一子相伝の味。味を受け継ぐのには、それぞれ何年もかかってきたとのことで、もうすぐ90年に迫る味のバトンをこれからも引き継いでいってもらいたい。

岡山ではラーメン店にデミカツ丼を出すお店が結構多い。中華そば(岡山ではラーメンではなく中華そばと呼ぶ店が多い)とカツ丼の二本柱のみでやっているこうしたお店の代表格が「だてそば」だ。

昭和30年創業の老舗。カツ丼はサラッとしたデミグラスソースに生卵がついてくる。真ん中にスペースを作ってそこに卵を落として混ぜてから食べるよう、先代の当時に行ったときに教わった。真っ黒なスープの中華そばとともに人気で、今は半々定食など両方楽しめるメニューもある。

前回、岩手県編でカツラーメンを紹介したが、カツをのせたラーメンが複数店存在する地域は数少ない。ここ岡山はそんな地域の一つで「かつそば」と呼ばれるメニューがある。無論日本そばではない。

岡山ではラーメンを中華そばと呼ぶため、カツラーメンは「かつそば」になるわけだ。

老舗のラーメン店として人気の「浅月」は昭和23年創業で、岡山で現存するラーメン店としては最も歴史がある。こちらのまかないとして昭和40年頃に生まれたのが「かつそば」。豚骨しょうゆのパンチのあるラーメンにカツがさらにアクセントを加えている。カツは衣がスープに溶けてしまいそうなものだが、不思議としっかりしている。

最後に個店のメニューだが個性的なカツ系メニュー、カツチャーハンを紹介したい。全国的にもありそうで意外とないカツチャーハン。いくつか提供されている店では暴力的なボリュームであることが多い。こちら「梶屋」の「カツチャー飯(お店のメニュー表記)」もかなりの破壊力だ。

盆の上の他の器と比較するとその大きさがわかると思う。エビ入りの味のあるチャーハンにクリスピーなカツがのり、その上にピリ辛のバーベキューソースのような特製ソースがかかっている。こちらのお店はファンサイトもある地元の人気店だが、2年ほど前に一度閉店し、その後岡山のラーメン店のオーナーが尽力して復活に至ったとのことだ。

どれだけ地元に愛される地域の名店であっても、近年は閉店する店が相次いでいる。梶屋のように地元の人が残したいお店を、何らかの形で残していくスキームが考えられれば、地域の食文化としての大衆食堂などを残していくことができるのではないだろうか。

(一般社団法人日本食文化観光推進機構 俵慎一)

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