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揚げないフライ、甘くないゼリーフライ 行田のグルメ

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NIKKEI STYLE

埼玉県北部に位置する行田市。市内には9基の大型古墳が群集する「埼玉(さきたま)古墳群」があり「埼玉」の県名発祥の地と言われる、歴史ある町だ。室町時代には忍城(おしじょう)が築かれ、城下町として栄え、近代は足袋の産地としても栄えた。

そんな行田には、足袋産業を背景にした、ほかの町にはない個性的なご当地グルメがある。ゼリーフライとフライだ。

市域のほぼすべてが利根川と荒川の沖積平野になっているため、水が豊かで水田も多い。水の豊かさは、映画「のぼうの城」にも描かれた。そんな水の豊かさがもたらした食べ物が豆腐だ。今でこそ数は少なくなったが、かつては市内に多くの豆腐店が軒を連ねたという。

豆腐が多いということは、豆乳の搾りかすであるおからも、当然、たくさんあった。それを使って、足袋工場の女子工員たちの空腹を満たすために誕生したのが、ゼリーフライだ。

名前からは、甘いゼリーに衣をつけて揚げたものを想像するかもしれない。しかし、甘いゼリーとは全く関係のない食べ物だ。

ジャガイモとおからを合わせ、小判型に整えて素揚げしたものを、ソースにくぐらせて味付けする。衣のついていないコロッケと言えばわかりやすいだろうか。明治時代後期に誕生し、長い間行田市民のおやつとして愛されてきた。

いくらでも手に入ったおからを使うことと、油で揚げてカロリーアップすることで、工場で働く女子工員さんたちには手軽なおやつ、エネルギー源として好まれたという。

ではなぜ「ゼリー」と呼ばれるようになったのか?

由来ははっきりしないが、形が小判(銭)にそっくりだったことから「ゼニーフライ」それが訛って「ゼリーフライ」になったというのが一般的だ。

行田市内のあちこちでゼリーフライが食べられる。調理の関係から精肉店の総菜コーナーで、また材料の関係から豆腐店でも買うことができる。専門店もある。1枚100円、2枚で150円程度の価格設定だ。

行田市中心市街地に近く、観光スポット・忍城にも近い水城公園の中には専門店の「駒形屋」がある。ここのゼリーフライは、割りばしが刺さっていて、手に持って水城公園を散歩しながら食べられるのがポイント。ゼリーフライのファンには有名な店で、取材時も行列ができていた。

古代蓮の里も行田市を代表する観光スポットの一つだ。

公園に、約1400年から3000年前のものとされる行田蓮(古代蓮)をはじめとする42種類、約12万株のハスが植えられている。6月下旬から8月初旬にかけてが見ごろだ。

敷地内にある古代蓮会館には、高層の展望施設があり、その上からは市内が一望できるとともに、これからの時期は「田んぼアート」も見ることができる。

古代蓮の里にもゼリーフライの直売所を見つけた。「むらまつ」で揚げたてのゼリーフライを販売していた。

一方のフライは、揚げ物のゼリーフライと並び称されながら、揚げ物ではない。水で溶いた小麦粉を使って焼いた、いわゆる「コナモン」だ。

小麦粉の「たね」を熱した鉄板に広げ、直径20センチほどの円形に薄くのばす。その上に、ネギや豚肉をのせ、好みで卵も割り入れる。最後にその上にもう一度「たね」をのせる。

こうして書くと、キャベツを入れないお好み焼きのようにも思えるが、この後の調理法が独特だ。お好み焼きはふんわり仕上げるが、フライの場合、落とし蓋などで、両面を鉄板に押し付けながら焼き進める。

なので、仕上がりは薄いシート状、クレープのような形状になる。これをソース、あるいはしょうゆをつけて食べる。

もともとは農家で作られていたというフライは、腹持ちが良いこともあって、昭和初期に、やはり足袋工場で働く女子工員のおやつとして人気が高まった。

個性的なネーミングは、行田周辺が布の産地だったことから「布来(ふらい)」になったという説が有力。ほかにも、フライパンで焼くからフライ、「富よ来い」に引っかけてフライになったなど、諸説ある。

現在、市内には30店ほどのフライ提供店が点在していて、1枚300~500円くらいで食べられる。

ぜひともチェックしておきたい店は「古沢商店」。住宅街の中にある古い駄菓子屋のような店構えだが、連日、フライを求める客が後を絶たない。

店頭に焼き台があり、個性的な調理法を「かぶりつき」で見ることができるのも魅力だ。

実は行田、やきそばも市民に愛されている。フライを作るための鉄板がやきそば作りにも使われていて、やきそばをフライでくるんだ「ミックス」も、市民に愛される手軽な食事なのだという。

中心市街地に近い「珈琲苑 憩」を訪ねた。

ソファーのある昔ながらの喫茶店のたたずまいだが、こちらもフライ、ゼリーフライの人気店だ。女将さんが静岡の出身ということで、やきそばには富士宮やきそばの具として知られるラードの搾りかす・肉かすが入る。

ちょっと静岡風のやきそばをフライでくるんだ「ミックス」は一見、オムやきそば風。もちろん、薄焼き卵ではなく、コナモンの「フライ」なので、実は「ダブル炭水化物」だ。けっこうお腹が膨れる。やきそばもフライもソース味で、ソースはオリジナル配合のミックスだという。

合わせて最近始めたという足袋型のゼリーフライもいただく。足袋産業に深いかかわりを持つゼリーフライだけに、その歴史を分かりやすく形にした、ユニークなゼリーフライだ。

やたらと腹持ちのよさそうなものばかりだが、せっかく行田を訪ねたからには、その原点でもある豆腐も買って帰りたい。

実は行田には特別な豆腐がある。「行田在来青大豆」と呼ばれる、地元で古くから自家消費されてきたダイズで作った豆腐だ。

豆の収量・作業性の高い品種が台頭したことで、昭和50年代に姿を消してしまっていたが、埼玉県農林総合研究センターの試験を経て、豆腐の原料としての評価が高まり、2007年から栽培が復活、年々栽培面積を拡大している。

この在来種で作った豆腐は、ダイズの収量が少ないため、数はそう多くないが、JAの直売所や地元の豆腐店で手に入れることができる。味わい深い豆腐なので、機会があったらぜひ食べてほしい。

行田の中心市街地は、足袋を扱った蔵が多く残る「蔵のまち」でもあり、町歩き観光もおすすめだ。ゼリーフライを手に町歩き、おなかがすいたらフライでお昼ごはん。そしてお土産に豆腐…。首都圏至近でもあり、今度のお休みにふらっと出かけてみてはいかがだろうか。

(渡辺智哉)

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