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本場四川の火鍋を東京で モツを主役に、スープも多彩

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NIKKEI STYLE

鍋が冬の風物詩だったのは今は昔。昨今では「夏鍋」なる言葉も登場し、汗をかきかき鍋料理を楽しむ光景も当たり前になった。

隣国、中国でもこれは同じ。中国の鍋料理は「火鍋(フゥオグゥオ)」と呼ばれ、元々は広く鍋を使った料理を指す言葉であったが、今は四川省や重慶が発祥と言われるトウガラシや山椒をたっぷり使った麻辣鍋のことを指すようになった。

かつては1年を通し火鍋を食べていたのは四川省ぐらいであったが、今では全国で季節に関係なく人気の料理になった。そう教えてくれたのは、東京・池袋の火鍋専門店「海底撈火鍋(かいていろうひなべ)」サービスマネージャーの張成さんだ。

「海底撈火鍋」は、1994年四川省の省都・成都で創業した中国で大人気の火鍋チェーン。中国全土に260以上の店舗を展開、日本を含め米国やシンガポールなど世界5カ国に進出している。日本には2015年に1号店ができたが、今年11月には2号店のオープンを予定、出店を加速する方針だという。

この火鍋チェーン、なにかと「サービスが悪い」と言われる中国で、驚きの顧客サービスを提供し評判となってきた。各店には席に通されるまでを待つウエイティングルームがあり、フルーツや飲み物が置いてある。なんと、これが無料(日本では飲み物のほか、ポップコーンなどが置いてある)。また、ネイルの施術も無料で提供、中国では靴磨きサービスなどもあるという。

鍋のシメに麺を注文すると、テーブルの横で太極拳のような動きをしながら、縄跳びのように長く麺を伸ばすパフォーマンスを見せてくれるのもこの店の名物サービスだ。

中国では、いかに上手に長く麺を伸ばすかを各店の従業員が競うコンテストも行われているらしい。「日本を含め主に海外の店では変面(へんめん)ショーもやっているんですよ」と張さんは続ける。変面とは一瞬のうちに顔に付けた面を変え変身する中国伝統の演技だ。客をとことん楽しませようとする同店が、各国で人気なのもうなずける。

「海底撈火鍋」のようなユニークな店の影響があるのだろう。「最近は火鍋人気が過熱気味で、ほかの火鍋店でも驚くようなサービスが次々と出てきているんです」と言いながら、張さんがスマートフォンの画面を見せてくれた。

映し出されていたのは、鍋に入ったテディーベア。「なぜ鍋に熊の人形が……」と目を丸くしていると、「これは牛脂でできた辛みのもとで、スープに溶けるんですよ」。ぐつぐつと煮立った鍋の中で溶けていく熊は、どうも食欲をそそりそうにない。

「鍋用の薄切り肉を1メートルもの長さの器に盛って派手なプレゼンテーションをする店や、リカちゃんのような人形に肉をまとわせ提供する店もあるんです」。人形から肉を1枚ずつはぎ取りながら食べるということらしい。想像をはるかに超えた発想に思わず笑ってしまった。

さらに「モツもこんな風に提供するところがあるんです」と張さんが見せてくれたスマホの写真にあったのは、手延べ麺作りの光景よろしく、ミニチュアの衣紋かけのような台にかけたアヒルの腸だった。

実は、こうした腸やハツモト(心臓に付いている動脈)、牛のセンマイ(第3胃)などのモツ類が火鍋の本場四川では、最もポピュラーな具材らしい。「上海や北京では牛や羊の薄切り肉が好まれますが、四川の人は野菜のほかは、モツしか食べません。だから、オーダーする具材を見ると、その人がどこの地方出身かすぐ分かるんですよ」(張さん)。

鍋のスープもしかり。火鍋用の鍋は1つの鍋を2つに区切り、2種類のスープを楽しめるようになったタイプがポピュラーで、辛い麻辣スープとマイルドな味の白湯を組み合わせることが多いが、「四川の人は区切られた鍋は使いません。麻辣スープしか食べないんです」と張さんはきっぱり。

理由は、このスープが一番モツをおいしく食べられるから。ちなみに日本の「海底撈火鍋」では、麻辣、白湯、トマト、キノコ、高菜、豚ガツ、和風キムチという7種のスープを用意している。4種類のスープを楽しめる鍋もあって、日本人にはこのタイプも人気だそうだ。

さて、スープと具材をオーダーして鍋が用意されている間、客が向かうのは、好みの鍋のつけだれを作るための材料が並んだコーナー。同店ではたれや調味料、ネギやニンニクといった香味野菜が26種類も用意されている。

以前、駐在していた友人に薦められ中国の「海底撈火鍋」(同地ではハイ・ディー・ラオ・ホゥオ・グゥオ)に行ったことがあるが、ずらりと具材が並んだ「たれバー」にびっくりしつつ、種類が多過ぎて活用しきれなかった。「もっとベストな組み合わせがあるのではないか」と心残りだったことを思い出す。

張さんに中国で人気のたれを聞いてみると、「北部はラム肉と相性がいいごまだれをよく食べます。南部はごま油とニンニクを合わせたものですね。ごま油は缶で出す店もあるんですよ。小さな缶を一人一缶出すんです」。そんなに出してもごま油が大量に余ってしまうだろうとピンとこなかったのだが、張さんに実際、中国流のごま油だれを作ってもらうと合点がいった。

たれ用の小鉢が半分満たされるぐらいまで、なみなみとごま油を入れたからだ。これに、たっぷりときざみニンニクを入れ、オイスターソースをさっと回し入れる。北部で人気のごまだれも作ってもらうと、店特製のごまだれに腐乳(フー・ルー、豆腐の発酵食品)ときざんだ万能ネギを合わせていた。

6割が中国人客だという店内を見回すと、定番の麻辣スープと白湯の組み合わせで食べているグループが多かったが、そこは色々試してみたい日本人。4種類のスープが味わえる鍋をオーダーしてみる。

選んだのは定番2種のほか、キノコ、高菜スープだ。具材は、肉や魚介類、野菜など80種ある中から、四川流に牛のハツモトとカモの腸、中国で人気のある野菜トウガン、ヤマクラゲなどを頼んでみた。変わり種は、四川では鍋の具材として人気だという豚の唐揚げ。

コリコリとした食感のハツモトは日本でも焼き肉店などで目にするが、カモの腸を食べるのは初めて。細くて長い、頼りなさそうな食材に見えたが、食べてみると思いの外しっかりとした食感があり、食べがいがある。唐揚げも意外な具材だったが、衣にスープが浸み込み鍋を存分に楽しめる具材であることを発見。やはりしっかりスープを含む食材であるトウガンは、漢方にも使われる野菜でお国柄が表れている。

先に紹介した2種類のたれのうち、四川の人の定番だれはごま油だれ。食べてみると、激辛の真っ赤な麻辣スープで煮込んだ具を食べるのに、このたれがうってつけだということに気が付いた。辛さが油でコーティングされマイルドになるのだ。ニンニクのピリッとした辛さもアクセントになる。

薬膳風で体に良さそうな白湯やキノコスープもいいが、印象的だったのが高菜スープ。四川や重慶の名物料理で、青菜の漬け物と魚を煮込んだ「酸菜魚(スアン・ツァイ・ユー)」からアイデアを得たスープとのことで、とても酸味が強い。高菜の漬け物もたっぷり入っていて、これと一緒に鍋の具を食べればつけだれいらず。暑さでくたびれた体をすっきり元気にしてくれる味だ。

立秋は過ぎたものの、まだまだ夏は続く。長い歴史が育んできた中国の火鍋で体をリセットしてみるのもいいだろう。

(フリーライター メレンダ千春)

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