「氷イチゴ」にあまおう? 全国の個性派ご当地かき氷
今年の夏も、お盆に入り、暑さもピークに。こうなってくると恋しくなるのがかき氷。定番のイチゴのシロップや宇治金時もいいが、さすがに食べ飽きてきたのではないだろうか。
そんなときに注目したいのが「ご当地かき氷」。鹿児島の「白クマ」や埼玉・熊谷の「雪くま」など、全国にはその土地ならではかき氷がある。
東京・浅草にある商業施設・まるごとにっぽんで開催されたイベント「かき氷グランプリ」から、そんな全国のユニークなかき氷をピックアップして紹介しよう。
イベントで提供されたのは、まるごとにっぽんに出店する全国の19自治体からエントリーしたかき氷。フルーツをアレンジした定番のかき氷から、ウナギや冷麺など夏の味を大胆に取り入れたかき氷まで、全19種類のオリジナル「ご当地かき氷」がお目見えした。
おいしさはもちろん、すべてにおいて優れたかき氷と評価された「かき氷グランプリ金賞」には、福岡県柳川市の「さらさら濃厚あまおう果肉かき氷」が選ばれた。
柳川市民おすすめのブランドとして認定された洋菓子店「ル・カフェ・パティスリーさくら」のオーナーシェフ、櫻井靖さんが、今大会のために開発した。
あまおうのエキスだけ抽出した「さらさらシロップ」は、ふわふわの氷に合い、かつ氷を溶かさないようにした点がポイント。トッピングのコンフィチュールも、果肉のゴロゴロ感を崩さないように工夫した。
実は「ル・カフェ・パティスリーさくら」のコンフィチュール「柳川あまおう苺」はまるごとにっぽんの人気商品の一つ。生産が追いつかないほどの人気商品だそうだ。
なお、受賞作は、柳川市にある店で、1日20食限定で提供する。
独創性やアイデアが光ったかき氷に贈られる「グッドアイデア賞金賞」には、兵庫県淡路島の「淡路島の枇杷(ビワ)ヨーグルトかき氷」が選ばれた。
ビワは明治時代から知られる淡路島の特産品。貴重なビワと淡路島牛乳でつくったヨーグルトを使ったフレーバーが人気を集めた。
主催者が最も印象深かったと思うかき氷に贈られる「まるごとにっぽん賞」には、兵庫県養父市の「朝倉山椒カキ氷」が選ばれた。
養父市の特産品である「朝倉山椒」を使って、今大会のためにサンショウのシロップを開発した。トッピングにもサンショウにこだわり「朝倉山椒わらびもち」を開発、かき氷とともに提供した。
サンショウのほかにも、甘さとは一見無縁の地元特産品を使った「独創系かき氷」が多く出展されていた。
特に「かき氷グランプリ銅賞」に選ばれた2つのかき氷は、いずれも興味深かった。
栃木県足利市の「足利トマトのかき氷」は、地元のワイナリー「ココ・ファーム」の「地元産トマトのピューレ」を使ったシロップが特徴。あしかが輝き大使のパティシエ・江森宏之さんが考案した。フルーツに匹敵する甘さを地元名産のトマトで表現した。
静岡県浜松市の「うなぎいもかき氷」は、浜名湖のうなぎと遠州浜のさつまいもがコラボして生まれた新しい浜松限定ブランド「うなぎいも」を使ったもの。「うなぎいも」は普段は捨られてしまううなぎの骨や頭などを肥料に使って栽培したさつまいもだ。かき氷の上に「うなぎいも」と牛乳・練乳でつくったソースをかけて「うなぎいも」の甘露煮をトッピング。まさに「スイートポテト」なかき氷だ。
最もユニークだったのは、広島県呉市の「呉 氷~麺(ひょーめん)」。地元のご当地グルメ・冷麺をモチーフにした「甘くない」かき氷になっていた。
冷麺のトッピングであるじゃこにキュウリやトマトなどの夏野菜、レモンが添えられる。味付けはちょっと酸味のある冷麺のたれをベースにしたシロップ。冷麺のたれの油を調整して、しつこくなくさっぱり食べられるようにした。
ほかにも、山口県萩市の夏みかんや長崎県壱岐島のユズ、愛媛県伊方町の甘夏、熊本県菊池市のメロンなどフルーツの甘さを生かした「王道系かき氷」も多数出展した。地元のフルーツを生かしたかき氷なら、今回登場した19都市に限らず、多くのまちにそれぞれの味があることだろう。
この機会に地元のおいしいオリジナルかき氷を探してみてはいかがだろうか。
(渡辺智哉)
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