なぜ二宮金次郎はまきを背負った? 蓄財の商法に学ぶ

金次郎は経営コンサルタントの先駆け?

25歳にして不動産購入、効率的なビジネスを開発しつつ金融業に進出。そして経営改善のコンサルティングも手がける――読者の皆さんは銅像のイメージとは結構違う金次郎氏の実像に驚かれたのではないでしょうか? もしかしたら彼が薪を背負って読んでいたのは、金もうけ関係の本だったかもしれませんね。

奉公先の家計を立て直したのち、金次郎は独特のアイデアと手法を使って、財政難に苦しむ人々を救済し、晩年には幕府に召し抱えられるまで出世していきます。逆境の世をしたたかに生き抜き、人々に幸せをもたらしたコンサルタント、二宮金次郎。

二宮金次郎は「欲」の暴走を戒めている PIXTA

あの銅像のイメージからか、勤勉、質素倹約のイメージがつきまとう彼ですが、意外にも人間の「欲」についてはそれを肯定しています。もっといい物を食べたい、もっと良い生活をしたい、そう願うのは人として当然であり、そうした欲が自分の生活をより良いものにし、世の中を良くする原動力であると。

しかし、そのような「欲」が果てしなく暴走するのはいかん、というのが彼の教えです。彼の弟子によってまとめられた「二宮翁夜話」には、こんな言葉があります。

「世人、富貴を求めて止(とどま)ることを知らざるは、凡俗の通病なり。(中略)際限なく田畑を買ひ集めんことを願ふは尤(もっとも)浅間(あさま)し、譬(たとえ)ば山の頂に登りて猶(なお)登らんと欲するが如し」

欲の止まることを知らず、「もっともっと」と田畑を買い集めようとするのは、山の頂上に登ってもなお、上を目指すようなものだという意味でしょう。ある程度、豊かな生活ができるようになったら、その余力をほかの人に分け与え、未来に向けて投資することが大切だそうです。

「今日の物を明日に譲り、今年の物を、来年に譲り、其上(そのうえ)子孫に譲り、他に譲るの通あり」

思いやりが良き社会をつくる、明日への投資が大切である。焦らず、ガツガツせず、常に余裕と優しさをもって事に当たることが肝要だと。う~ん、なんと素晴らしいコンサルタントでしょうか。

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