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岩手の個性派カツ丼 ソースあんかけ、かつラーメンも

カツ丼礼賛(5)

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NIKKEI STYLE

あんかけといえば、とろみのついただし汁のうどんやそばがイメージされるが、小樽のあんかけ焼きそば、名古屋のあんかけスパといったあんかけの名の付くご当地グルメもある。

カツ丼はというと、以前紹介した岐阜・瑞浪のあんかけカツ丼が知られている。

岐阜のあんかけカツ丼は溶き卵の入っただしをあんかけにしたイメージで、食べてみると卵とじカツ丼に近い味わいになる。またあんかけカツ丼というジャンルでは呼ばれていないが、広島・大阪の中華系食堂には中華風カツ丼というメニューが散在する。こちらも機会があったら紹介したい。

さてまず岩手のカツ丼で紹介したいのが、おそらく全国でこの地域だけに存在するであろうソース味のあんかけかカツ丼。一関市旧千厩町の「小角食堂」は大正14年創業の老舗食堂。こちらの名物として全国的にも広く知られている。

しょうゆ味のあんかけならなんとなく味のイメージもできるが、ソース味のあんかけとなるとまったく味の想像ができなかった。こちらのカツ丼、あんかけの餡は甘酸っぱく、よく味わってみるとソースが使われていることがわかる。

しかし単にソースが使われているというのではなく、かつお節とサバ節で取っただしを中農ソースとしょうゆ、砂糖などで味付けているのだとか。

実に深みがあり、甘みと酸味のバランスが絶妙なのだ。さくっとしたカツ。千切りキャベツとも実によく合う逸品だ。

同じく一関市旧室根村にもあんかけカツ丼がある。こちらはインターネット上にも情報がなく、ほとんど世の中に知られていないが、地元で愛される2店が提供している。

メニュー豊富な食堂「こんのや」。多くのお客さんが頼むというガーリック定食が人気だが、こちらには2種のカツ丼がある。

まずはあんかけカツ丼。

和風だしにソースのたれであんを作る。和風だしが強く香るわけではないが、しっかりうまみが効いている。カツもやわらかく、香ばしく揚がっており、トンカツとしておいしい。

お店の創業は50年ほど前で、あんかけカツ丼は40年ほど前から出されているらしい。

紹介された知人からは卵とじのカツ丼もイケるということだったので、早速注文。

食べた瞬間「あれ、ソースが効いている?」と思い、店主に聞いてみると中濃ソースを使っているとのこと。見た目にはわかりにくいが、ソース卵とじではなく、和風のたれベースに中濃ソースを加えているとのことだ。玉子は半熟トロトロに仕上げてある。

前回長野県飯田市のカツ丼でウスターソースを加えたカツ丼を紹介したが、なんと岩手県にも、ウスターではなく中濃を加えたカツ丼があったのは驚きだ。しかも数十年前からこのスタイル。

こちらのカレーにはケチャップ、ソースが使われており、長野の飯田同様ハイカラな文化を好む歴史が潜んでいるのだろうか。

中濃ソースとしょうゆの相性を合わせるのはバランスが難しい。ほとんど知られていないこのようなカツ丼がまだまだあることに、地方のポテンシャルを感じる。

さてすぐ近くにも「天金」というあんかけカツ丼を出すお店がある。ところがこちらのあんかけカツ丼、しょうゆ味だ。

こちらのあんかけカツ丼の餡は、言うなればみたらし団子のような甘辛さ。しかしこれが何とも言えずカツ丼にも合う。「こんのや」とは徒歩2分ほどの距離だが、かたやソース風味、かたやしょうゆ風味である。

ちなみに同店にはカレーあんかけカツ丼というのもある。こちらは未食だが、ぜひとも食べに行きたいミステリアスなカツ丼だ。

さて宮城県に接する県南の一関市に合併した旧町村のあんかけカツ丼を紹介したが、旧一関市にも歴史あるカツ丼がある。一ノ関駅前にある大正9年創業の老舗「松竹」のカツ丼だ。

カツ丼がいつから出されていたかは定かではないが、昭和の初期にはすでにあったとのエピソードがあるようで、その歴史は大正2年に生まれたとされる福井の「ヨーロッパ軒」の歴史に迫るほど。

甘みのある特製ソースは、ウスターソースの手法で作られるたれなのだとか。薄目のカツはポークカツレツを想起させ、目の細かなパン粉、それを複数枚丼にのせる。ウスター系ながら甘目でさっぱりとしたソースとともに、洋食の正当な食文化を現代まで引き継いでいるかのようなカツ丼だ。カツの下にはキャベツが敷き詰められ、特製のたれのしみたごはんとだけでも箸が進む。

県南の一関近辺のソース系のカツ丼の話をずっと書いてきたが、岩手県全体では卵とじカツ丼が圧倒的に優位だ。

中でも印象に残っているのが、釜石の「工藤精肉店食堂部」。デカ盛りで有名な店だが、味のクオリティーも非常に高い。

真上から見てもまあまあ量は多そうだが、横から見るとその破壊力は強烈だ。

1階が肉屋さんで2階が食堂となっていて、昼時は大変な賑わい。肉屋さん直営だから、と言われれば理解ができなくもないが、それでもこのサービス精神はすごい。

しかもこの肉厚で存在感あふれるカツが、恐るべきことに2階建てになっているのだ。釜石復興のシンボル的な店として、2019年のラグビーワールドカップで訪れる世界の一流ラガーマンを、その味とボリュームでぜひ驚かせてほしいものだ。

県都盛岡ではわんこそばが有名だが、そのわんこそばで有名な老舗そば店「東家」「直利庵」ともに、カツ丼も有名。明治17年創業の「直利庵」のカツ丼は何とも見目麗しいカツ丼なのである。

卵の半熟具合が絶妙で、ビジュアル的に白身を美しく見せてくれる。そば屋なのでだしの感じは言うに及ばず、カツも非常においしい逸品。ちなみにこちらには中華そばもあり、カツ中華やカツカレーそばといったカツ系メニューもある。

カツ系メニューといえは久慈にもカツラーメンがある。ラーメン博物館にも出展していた名店「千草」だ。そもそもラーメンの名店でスープはとても優しいが、鶏油のためか一口目にインパクトがある。チャーシューは豚ではなく鶏で、カツラーメンはとんかつがのる。

実はここには以前カツ丼があったのだが、昨年の豪雨災害以来、カツ丼は出されていないそうだ。残念ながら幻になってしまったカツ丼だがだしの代わりにこちらの鶏ガラスープを使っていたそうだ。優しい味が印象的なカツ丼だ。

まだまだ大変だとは思うが、いずれ復活してくれることを願いたい。

岩手はとても広い県で、まだ探検しきれていない。今回一関市旧室根村のあんかけカツ丼やソース合わせ卵とじなど、まだまだ知らないカツ丼に改めて驚かされた。今回書ききれなかったあんかけカツ丼の店や個性的なカツ系メニューもまたいずれ紹介したい。

(一般社団法人日本食文化観光推進機構 俵慎一)

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