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うな丼、渡し場で誕生 「船が出るぞ~」でご飯と合体

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NIKKEI STYLE

うな丼の魅力は、かば焼きはもちろんだが、たれがたっぷり染みたご飯にもあるのではないだろうか。ウナギとご飯を別々に食べるより、丼やお重で、ご飯をたれまみれにして食べる方がおいしい、と思うのは私だけではないだろう。たとえウナギがなくても「うなだれご飯」だけでも食べられる、という人もきっといるに違いない。

実は江戸時代の中ごろまで、ウナギはかば焼きを皿盛りにして、茶碗のご飯とともに食べるのが一般的だった。果たして、いつ、どういうきっかけでウナギのかば焼きはご飯の上に鎮座するようになったのだろうか。

諸説あるようだが、広く知られているのは、茨城県の牛久沼で誕生したというエピソードだ。茨城県や龍ケ崎市のホームページに詳しく紹介されているが、ざっと要約すると…。

江戸時代後期、江戸で芝居小屋に出資する大久保今助という人物が、故郷の常陸太田へ帰るときのことだった。当時の水戸街道は、牛久沼を船で渡っていた。

事件は、その船着き場の茶屋で起こった。

空腹の今助は、茶屋から漂うかば焼きの香りに誘われ、思わずウナギを注文する。しばし焼き上がりを待ち「かば焼き定食」が運ばれてきたそのとき、船着き場からは「船が出るぞ~」の声。

先を急ぐ気持ちとウナギを食べたい欲求に葛藤する今助は「後で返すから」ととっさに皿のウナギをご飯の上にのせ、手にした皿をふた代わりにして船に飛び乗ったという。

沼の渡し船だけに、乗船時間はわずかなもの。

向こう岸についてふたを取ると、ふわっと立ち上る湯気。食べてみると、これまでに経験したことのないうまさだったという。ふたをした茶碗の中でウナギが蒸されてふっくらするとともに、ご飯にもたれがよく染みて…。

今助は、自分の芝居小屋でもこのうな丼を売るようになり、やがて芝居小屋にはつきものの弁当の重箱でも「ウナギのせご飯」を提供するようになった。うな丼に続き、うな重も誕生した。

今日は土用の丑の日。今年はそんな「うな丼・うな重生誕の地」牛久沼のある龍ケ崎市まで足を伸ばしてウナギを食べることにした。

JR常磐線佐貫駅から牛久沼へと向かう。沼の手前を走るのが、水戸街道=国道6号線だ。この道は、地元では「ウナギ街道」と呼ばれている。100年以上の歴史を誇るウナギ料理店が軒を並べているからだ。

競争は進化の源。同じ業態の店が多ければ、ライバル心からどの店もおいしくなるのが世の常だ。

今回は、そのうちの一つ、駅にも近い「桑名屋」を訪れた。

うな丼発祥の地ではあるものの、現在使用しているのは台湾産のウナギだ。品質、入荷が安定しているための選択だという。

生きたままのウナギを背開きして中骨を取ったら、串を打って白焼きに。これを客の注文を受けてから蒸す。ふっくらと蒸しあがったら、次はたれをつけながら焼く。

今回いただいたのは、1510円のうな丼と2800円のうな重(特上)。基本的に同じ種類のウナギだというが、うな丼とうな重(特上)では、ウナギの太さ、切って開いた幅、そして厚みがかなり違う。

おコメは、自家製。お店の田んぼで収穫したお米で炊いたご飯だ。まずそこにたれをかけまわし、焼きたてのウナギをのせる。

これから渡し船に乗るわけではないが、丼もお重も、出す前にはふたをいったん閉じる。客は目と鼻の先にいるにもかかわらずだ。

席に運ばれ、目の前でふたを開けると、うっすらと湯気が上がる。これこそが、皿盛りのウナギをふんわり軟らかにした、従来のウナギ定食をうな丼に昇華させた「きっかけ」だ。

地物のウナギこそ使われなくなったものの、大久保今助の伝統はしっかりと受け継がれている。

改めてじっくりとウナギに目をやる。たれの「てり」が、ひときわ食欲をそそる。その上にサンショウを適量散らす。いやがうえにも「ウナギを食べるぞ感」が高まってくる。

さぁ、うな丼とうな重の食べ比べだ。まずはうな丼から。

「桑名屋」のたれは、ちょっと甘め。でもそれがご飯にはちょうどいい。ふっくらとしたウナギの食感に、思わず笑みがこぼれる。

白焼きをして蒸して、再びたれをつけて焼いて…。その積み重ねで適度に脂が抜けて、しつこさは感じない。

続いてうな重にも箸を伸ばす。身に厚みがあり、それがウナギのふっくら感をさらに高めている。箸を入れると、すっと身が切れるが、皮は簡単にはちぎれない。口に含むと皮の適度な歯ごたえと香ばしい焦げ目が、食欲をそそる。

安いウナギだと、身そのものが硬くて歯に触ったり、逆にふわふわすぎて皮もぐずぐずのものに巡り合ってしまうことがある。身はふっくらと、それでいて皮は香ばしく。それがやはりウナギのかば焼きの魅力だ。

同じウナギとご主人は言うが、味はともかく、食感はやはり値段相応だ。ウナギを食べるなら、やはり「いいもの」を。そう実感せざるを得なかった。

一方、主婦や子どもたちなど、土用の丑の日に家庭でウナギを食べる人も多いだろう。家庭でもおいしくウナギを食べるためのキーワードがある。

「煮蒲」だ。

ウナギが豊富だったころの龍ケ崎や霞ケ浦などの産地では、ウナギは料理屋で食べるだけでなく、家庭でも食べられていたという。

今はあまり作られなくなっているというが、かば焼きを買ってきて温め直すのではなく、素焼きしただけの白焼きを家庭で煮る調理法だ。

ウナギの白焼きを買ってきたら、まず2~3分熱いお湯でゆでる。お湯は捨て、かば焼きのたれを水か酒で倍に薄めて、改めて鍋で煮る。

ポイントはたれが煮詰まるまで煮ること。ゆでることで身がふっくらし、またたれを煮詰めることで香ばしさが立つ。

素人でも手軽に「かば焼き風」を再現できるというわけだ。

蒸して、たれをつけながら焼いてというのはまさに職人の調理法。家庭で再現するのは難しい。しかし「煮蒲」なら、簡単に、しかも温かい「おうちのかば焼き」ができあがる。

さぁ、話はこれくらいにして、そろそろウナギを食べに出かけてはいかがだろうか。脂が炭に落ちて出る盛大な煙と焼けたたれの香りが、あなたに「うな丼を食べよう!」と呼びかけているはずだ。

(渡辺智哉)

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