社員は不満だらけ、大阪支社で苦闘一点突破 再興に挑む(9)キリンビール社長 布施孝之氏

外食企業の講演会では麦100%にリニューアルした「一番搾り」のおいしさをアピール
外食企業の講演会では麦100%にリニューアルした「一番搾り」のおいしさをアピール

キリンビールの布施孝之社長の「仕事人秘録」。第9回は支社長を命じられて赴任した大阪支社での日々を振り返ります。

――本社勤務はわずか2年。首都圏統括本部に異動となる。間接部門を束ねる仕事だった。

首都圏統括本部での仕事は営業企画でした。「最前線こそ、ビール会社の花形」と信じてきた私にしてみれば、営業を裏から支える営業企画は最初は何だかもの足りなく感じました。

ところが、勉強してみると奥深い。担当エリアのビール需要を予測し販売計画を立てるといった目立たないけれど重要な仕事ばかりです。しかも専門知識が必要だし、習熟には時間もかかる。

そこで50人くらいの部下にこう言ったのです。「みなさんに任せます。ただ、もし私にしかできないことがあれば遠慮なく言ってください」

部内の空気がパッと変わりました。がぜん、みんながやる気を出してくれました。「会社人生で最高のチーム」。部は盛り上がっていきました。

そんな時です。またもや異動。全国の支社のなかでもかなり運営が難しいとされていた大阪支社の支社長を命じられたのです。2008年のことでした。

――「運営が難しい」ことで有名だった大阪支社。悪戦苦闘する。

「よし、やってやる」。勢い込んで乗り込んだものの人事は滞留、雰囲気は最悪でした。問題箇所を見つけようと支社のメンバー60人全員と面接し、聞いてみると出るわ出るわ。「戦略が悪い」「販促金が全然足りん」など不満のオンパレードでした。