非常識になる訓練をしよう 意外な事例や逸話にヒント
常識の範囲にとどまっていては、新発想の敵に太刀打ちできなくなってしまう PIXTA
世界的な戦略コンサルティング会社・ボストンコンサルティンググループの創業者のブルース・ヘンダーソンは「常識的な行動をとったりとらなかったりする企業は、常に合理的な行動しかとらない企業に対して優位に立つことができる」と語っていたものです。
最近のビジネスの世界で襲い掛かってくる強い競争相手は、往々にして常識を捨て去るところから攻めてきます。誰もがビジネスのルールとはこういうものだと長年の商慣習にどっぷりとつかっているときに、非常識なビジネスアイデアを伴って参入してくるのがイノベーターというものです。
アップルがiPhoneを始める前は、携帯電話はボタンを押して使うものだと誰もが思っていました。アプリをダウンロードして画面をタップして使うスマホの常識もiPhone登場以前は非常識なことでした。
電車に乗るのには切符がいるという常識にとらわれているとSuicaの出現にびっくりすることになります。それも切符だと考えていたら大間違いで、鉄道会社の発行するSuicaが電子マネーとして金融決済手段の主流になるなんて金融機関の人は考えていなかったはずです。
繰り返し言いましょう。ビジネスの世界では戦略的な競争相手は常識を超えたところから攻めてきます。
しかし一方でビジネスの世界では常識は大切です。誰だって非常識なビジネスマンと仕事をするのは嫌なことです。だからほとんどのビジネスマンは常識の世界で頭を使うことに慣れているのです。
ここに、普通のビジネスマンが戦略的思考の訓練をするのが苦手な最大の理由があります。普段は常識的に仕事を進めながら、戦略を考えるときだけ非常識に脳を使わなければならない。そんなことを言うと普通は「無理っ」と考えるのが常識です。