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バイリンガール英会話、仕掛けた女性の起業マインド

2017/7/12

英会話チャンネル「バイリンガール英会話」を運営する吉田ちかさん

 動画投稿サイトで登録者約86万人の英会話チャンネル「バイリンガール英会話」が人気だ。企画から出演、撮影、編集まで手掛ける吉田ちかさんは小学校から大学まで米国で過ごした帰国子女。大手コンサルティング会社、サロン経営などを経てクリエイターとして独立した。「自分にできることは何か」を問い続け、新しいことに挑戦する吉田さんにこれまでのキャリアや語学力アップを目指す女性へのアドバイスを聞いた。

■動画発信にやりがい 迷わず退職し独立

 小学校1年生から大学を卒業するまで、父の仕事の関係で米国に住んでいました。現地でネイルサロンを開くのが夢だったので、就職活動はほとんどしていません。でも「このまま実家暮らしで良いのだろうか、自立したほうがいいのでは」と不安にかられ、「日本に行ってみたら」という父の助言もあり、帰国しました。

 当初、日本で暮らすことは考えていませんでしたが、たまたま出かけたキャリアフォーラムで知ったコンサルティング会社に就職。とはいうものの、16年の海外生活を経て日本に戻ったばかりだったので、入社当時は日本語に苦労し、ビジネスや飲み会での速いテンポの会話についていくのは大変でした。

 入社間もないころ上司に「今後日本で仕事をしていくつもりなら、まずは日本語をしっかりと身につけたほうがいい」と言われ、英語をほとんど使わない部署に所属していました。帰国子女としては珍しい待遇かもしれませんが、このときしっかりと日本語を使った経験を積み、日本語をきちんと習得できたことは良い経験になったと思います。

 在職中からユーチューブに動画を投稿し始めました。友人から英文の履歴書添削を頼まれたのがきっかけです。冠詞の使い方が間違っていたので、それを解決するワンポイントレッスンとして動画を投稿したのが始まりです。

 当時、2カ国語でブログを書いていて、動画をアップするビデオブログがあったら面白いだろうな、と漠然と考えていました。アイロンがけとか、何かわからないことやコツを知りたいと思ったとき、動画を検索していたので、動画でアドバイスをすることは私にとって自然な感覚でした。

 最初は英語のビジネスメールの書き方、電話の応対の仕方などの動画を頻繁にアップしていました。仕事もしていたので、趣味として撮影した動画をブログやフェイスブックで発信してシェアする程度でしたが、動画制作を通じて、自分が作ったものを世の中に発信することにやりがいを感じるようになりました。

 退職し、ビデオブロガーとして独立しようと決めたのはフォロワーも増え、取材や企業からの依頼が来るようになり、「これを仕事にできるかも」と考えたから。いつか起業したい、と思っていたので退職することに迷いはありませんでした。

制作スタンスは「気軽に英語を話せる友達」という

■英語話せる友達感覚で 気軽に制作

 週に2回動画をアップしていますが、企画から出演、制作、編集、投稿、視聴者からのコメント返信まですべて自分でこなしています。私は英語教育を専攻したわけではないし、英語を勉強して習得したわけでもないので、「英語を教える先生」というよりも「気軽に英語を話せる友達」というスタンスで動画を制作しています。投稿サイトは視聴者との距離が近く、本人が楽しんでいないとそれがすぐに伝わってしまう。まずは「自分が楽しむこと」を大切にしています。

 普段何気なく話している英語を改めて見直して例文を考えたり、レッスンの材料に仕上げたりするのは意外に難しいのですが、動画のネタ探しに困ることはあまりありません。アイデアは海外旅行で見つけた面白いものや出来事の中から、インパクトのあるもの、視聴者にニーズがありそうなものを選んでいます。

 視聴者の属性も少しずつ変化しています。それに合わせて初心者でも楽しめるものや旅行をテーマにした動画も増やしています。

■100%成功はありえない 年齢気にせず果敢に挑戦

 当初はビジネス関連の動画配信が中心で、男性ビジネスパーソンの視聴が多かったのですが、今は6割が女性です。女性は語学学習に積極的で、留学経験のある人も多いようです。ただ、一言で英語が話せるといっても、学生英語とビジネス英語は語彙や話す内容も違うので苦労している人もいます。

 そんなときは、自分に近い年齢や職種、ポジションのロールモデルを探してみることをおすすめします。金融や法律関係ならカッチリした英語、スタートアップなら少しカジュアルな英語という具合に業界によっても使われている英語は違うものです。身近に語学が堪能な人がいれば、その人のプレゼンテーションや会話をヒントにしてみるのもいいし、自分の立場と近い設定のドラマや映画を見るのも参考になります。

 今後は動画制作だけでなく、旅行に関する本を出版したり、海外旅行アプリを開発したりと、チャレンジしたいことがたくさんあります。今まで自分がやったことがないことに挑戦するのだから、100%うまくいくことはありえないですよね。まずはやってみて、少しずつ改善していけばいいのではないでしょうか。動画制作も少しずつ改善を重ね、やっと自分のスタイルが出来上がってきました。

 英語のことわざに「Age is just a number.」というのがあります。「年齢なんて関係ない」という意味ですが、日本では何をするにしても年齢にとらわれすぎている面があると感じています。読者のみなさんも「この年で始めるのは遅いかな」なんて気にせず、自分が本当にやりたいことに向かって果敢にアクションを起こしてほしいと思います。

吉田ちか
 米ワシントン大学ビジネススクール修了。2011年から動画投稿サイト・ユーチューブで英語学習コンテンツ「バイリンガール英会話」を開始。再生回数は1億3100万回(17年1月現在)にのぼる。14年からは「Chika’s Japanagos Channel」を開設。世界に日本文化を発信している。

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