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「おいしい塩」選びは製塩所から 作り方で品質を知る

魅惑のソルトワールド(3)

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日本で「塩」というと海水から生産される海水塩がメジャーですが、世界的には岩塩が主流だというのは、前回までにお伝えしました。日本には海水以外の塩資源がほぼないため「いかにして海水から効率よく塩を作り出すか」ということは、日本にとっては大命題でした。

さまざまな工夫が重ねられて発展した日本の製塩技術は、世界的に見ても進んでおり、また独特で、まさに日本人のものづくりの魂が体現された世界でもあるのです。今回は、そんな日本の塩づくりについてご紹介します。

「精製する」は誤解を招く表現

製法のご紹介に入る前に、よくある誤解を解いておきたいと思います。かなりの頻度で塩を「生産する」ことを「精製する」と表現する人を見かけますが、これは、一部正しく、一部間違っています。

「精製する」とは一般的に「まじりものを取り除いて、純良なものを作りあげること」「混合物を単一で純度の高いものにすること」を指しますが、いわゆる自然塩と呼ばれる塩には、ナトリウム以外にカリウムやマグネシウム、カルシウムなどのミネラルが含まれており、精製されていません。

一方、選択性を持たせたイオン交換膜を使用した場合のみ海水中からナトリウムだけを取り出すことができるので、純度が高まり、「精製する」という表現が当てはまります。どちらがよい悪いではなく、生産方法によってその表現の仕方が違うのだということを、ぜひ覚えておいてください。

今も受け継がれる伝統的な製塩方法

現在確認できている最古の製法は、「藻塩焼き」と呼ばれる海藻を活用した作り方です。諸説ありますが、海藻を天日干しして塩を吹かせたあと、そこに海水を何回もかけ流して濃縮海水を作り、釜で煮詰める方法と言われています。万葉集にも「藻塩焼く~」と歌われており、ごく身近にあったものであることがうかがえます。

海藻のエキスが抽出されるため薄いオレンジ~濃茶色に色づくことも多く、だしのような風味が味わえます。現在では全国各地で生産され、ホンダワラ(玉藻)のほか、南は沖縄のもずくから、北は北海道の昆布まで、使われる海藻の種類は多種多様で、いわゆる「ご当地藻塩」が多く存在します。海藻を食用とする日本独特の製塩方法で、欧米では見ることができません。

藻塩焼きのあと、波の荒い沿岸地域では「揚げ浜式塩田」が、干満の差が激しく波が穏やかな沿岸地域では「入浜式塩田」が発達しました。

揚げ浜式塩田では人力で海水を汲みあげて砂でできた塩田に散布し、天日で乾燥させたあと塩が付着した砂を集めて、そこに海水をかけて濃縮海水を得て、そのあと釜で炊いて結晶させていました。

「入浜式塩田」では、干満の差を利用して塩田に海水を引き入れるという点では揚げ浜式に比べて省力化が進んでいましたが、砂を人力でかき集めるところからは同じで、どちらも非常に労力のかかる製法です。

現存し稼働している塩田はごくわずかで、揚げ浜式塩田では石川県珠洲市が、入浜式塩田では香川県宇多津町や沖縄県の屋我地島が有名です。これらの塩田を活用した製法は、海外の沿岸地域でもよく見られます。

もう一つ、日本の製塩で忘れてはならないのが、釜炊きです。

土地が狭く多湿で降雨量も多い日本では、天候に大きく左右される塩田を使った製塩は非効率的なため、釜で煮詰める方法が多く採用されてきました。海水の塩分濃度は約3%、それを約30%まで煮詰めて結晶させるには大量の燃料が必要なため、木材が容易に手に入らない場合は、非常にコストがかかる製法になります。

蓋がなくオープンタイプの平釜のほか、密封して真空状態にし沸点を下げることができる立釜もあり、特に平釜は大きさも形もさまざまです。現在でもエリアを問わず行われていますが、豪雪地帯や寒冷地、雨がたくさん降るエリアに多く分布しています。常夏のイメージのある沖縄県も、台風の襲来や降雨から、釜炊きが多く採用されています。

日本発の最先端の製塩方法

海水中の水分を瞬間的に蒸発させる製塩方法は、日本で開発され、現在でも日本でしか行われていません。

熱い鉄板に濃縮海水を吹き付ける「加熱ドラム」と、暖かいエアーとともに空気中に散布する「噴霧乾燥」というやり方があり、どちらもにがりが分離せずに塩の結晶に閉じ込められることから、ナトリウム構成比が低く、そのほかのミネラルを多く含むという特徴があります。

結晶がパウダー状になるため、まるで片栗粉のような見た目になります。

イオン交換膜製塩は、イオンの性質と電気を活用して、海水中から狙った成分だけを取り出すことができます。実はナトリウム以外も取り出すことができるのですが、製塩にはナトリウムだけを取り出す選択性を持たせた膜を使用しているため、この膜を使用するとナトリウムだけの塩が出来上がります。

ナトリウムだけの塩はワルモノにされがちですが、ナトリウム純度の高さは品質の高さとして捉えられており、現在では海外への技術提供も多く行われています。

どの製法を採用するかは生産者の考え方次第

今回ご紹介した製法はほんの一部で、これ以外にもさまざまな製法があります。そして、どのような製法を採用するかは、その生産者の考え方や生き様が反映されることが多く、そこもまた塩づくりの楽しいところです。

効率的に大量生産して、質の良い塩を多くの人に届けたいのか。非効率的で少量生産でもいいから、自然の力をメインにできる限り手を加えないで塩を育てたいのか。その両方を追い求めたいのか。採用している生産方法から、そんな生産者の思いをうかがい知ることができます。

製塩所へ見学に行ってみよう

何事も百聞は一見にしかず。少しでも塩づくりに興味を持ったならば、ぜひ製塩所に足を運んでみてください。見学は基本的に無料のところがほとんどで、塩職人さんが直接案内をしてくれるところもあります。

また、小さな鍋などを使った手軽な製塩体験を用意している製塩所も多く、そのほかにも丸2日かけて泊りがけで行う本格的な製塩体験ができる製塩所まであります。手軽な製塩体験はお子様連れでも楽しめますし、本格的な製塩体験は大人の社会科見学にもってこいです。いずれも、事前に予約が必要なことが多いので、訪問する際には連絡を入れるのを忘れないようにしてくださいね。

農作物では、「〇〇さんが無農薬で作ったにんじん」など、生産者の顔や製法が見えるのが当たり前になってきた昨今。ぜひ塩も「〇〇さんが平釜炊きで作った海水塩」というところまで知ってもらえたら、もっと愛着が湧いて、よりいっそう料理がおいしくなると思います。

<おすすめの製塩体験>
●沖縄県
高江洲製塩所(http://hamahigasalt.com/)
GALA青い海(http://www.gala-aoiumi.com/)
ティーダ・サイエンス(http://achan-sio.jp/)
屋我地マース(http://www.enden.co.jp/)

●兵庫県
赤穂市立海洋科学館(http://www.ako-kaiyo.jp/)

●石川県
道の駅すず塩田村(http://www.suzu.co.jp/enden/)

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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