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食の達人コラム

「おいしい塩」選びは製塩所から 作り方で品質を知る 魅惑のソルトワールド(3)

2017/7/7

 日本で「塩」というと海水から生産される海水塩がメジャーですが、世界的には岩塩が主流だというのは、前回までにお伝えしました。日本には海水以外の塩資源がほぼないため「いかにして海水から効率よく塩を作り出すか」ということは、日本にとっては大命題でした。

 さまざまな工夫が重ねられて発展した日本の製塩技術は、世界的に見ても進んでおり、また独特で、まさに日本人のものづくりの魂が体現された世界でもあるのです。今回は、そんな日本の塩づくりについてご紹介します。

できたての塩

■「精製する」は誤解を招く表現

 製法のご紹介に入る前に、よくある誤解を解いておきたいと思います。かなりの頻度で塩を「生産する」ことを「精製する」と表現する人を見かけますが、これは、一部正しく、一部間違っています。

「精製する」とは一般的に「まじりものを取り除いて、純良なものを作りあげること」「混合物を単一で純度の高いものにすること」を指しますが、いわゆる自然塩と呼ばれる塩には、ナトリウム以外にカリウムやマグネシウム、カルシウムなどのミネラルが含まれており、精製されていません。

左が「食塩」(塩事業センター)、右が「粟国の塩釜炊き」(沖縄海塩研究所)

 一方、選択性を持たせたイオン交換膜を使用した場合のみ海水中からナトリウムだけを取り出すことができるので、純度が高まり、「精製する」という表現が当てはまります。どちらがよい悪いではなく、生産方法によってその表現の仕方が違うのだということを、ぜひ覚えておいてください。

■今も受け継がれる伝統的な製塩方法

日本最古の製法と言われる「藻塩焼き」に使用される海藻の天日干し

 現在確認できている最古の製法は、「藻塩焼き」と呼ばれる海藻を活用した作り方です。諸説ありますが、海藻を天日干しして塩を吹かせたあと、そこに海水を何回もかけ流して濃縮海水を作り、釜で煮詰める方法と言われています。万葉集にも「藻塩焼く~」と歌われており、ごく身近にあったものであることがうかがえます。

 海藻のエキスが抽出されるため薄いオレンジ~濃茶色に色づくことも多く、だしのような風味が味わえます。現在では全国各地で生産され、ホンダワラ(玉藻)のほか、南は沖縄のもずくから、北は北海道の昆布まで、使われる海藻の種類は多種多様で、いわゆる「ご当地藻塩」が多く存在します。海藻を食用とする日本独特の製塩方法で、欧米では見ることができません。

揚げ浜式塩田 人力で海水を汲み上げ塩田に散布し、乾いた砂をかき集める

 藻塩焼きのあと、波の荒い沿岸地域では「揚げ浜式塩田」が、干満の差が激しく波が穏やかな沿岸地域では「入浜式塩田」が発達しました。

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