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食の豆知識

赤身の和牛をおいしく食べる 短角牛の選び方、調理法

2017/7/18

短角牛の脂 加熱してもなかなか溶け出さない

「実験してみましょう」と短角牛と黒毛和牛、同じ部位の脂身をそぎ取り、同じようにフライパンで加熱してみた。

一目瞭然で、上の短角牛はなかなか脂身が溶け出さないのに対し、下の黒毛和牛は、熱を加えるとすぐに脂が溶け出し、肉の表面が光ってきた。時間がたつと、脂はどんどん液体になっていった。

黒毛和牛の脂は、加熱するとすぐ柔らかくなる

このように赤身の中に入り込んだ融点の低い脂肪が、加熱することで溶け出し、それが「口溶け」「歯触り」「食味」を良くするのが霜降り肉なのだ。では、脂身が少ないのに、なぜ短角牛はおいしいのだろうか。

そのポイントは、アミノ酸にある。

「グルタミン酸」「イノシン酸」はうまみの成分として知られるが、短角牛はこうしたアミノ酸の含有量が多いのだ。黒毛和牛が、脂身の「とろける食感」を楽しむのに対し、短角牛は「噛みしめる味わい」がセールスポイントになる。

自然放牧で肥育される短角牛

そしてもうひとつ、短角牛の特徴といえるのが放牧だ。

盛岡市、二戸市、山形村(現久慈市)、岩泉町など産地によって、あるいは生産者によってそれぞれやり方は異なるものの、いずれも豊富な牧草に恵まれた草原での放牧を肥育に取り入れている。

厳重な衛生管理の下、エサも生活環境も自然の状態に近づけることで、理想的な肉質を作り出した。

短角牛の和風ローストビーフ

では、どう調理すれば、赤身の短角牛をよりおいしく食べられるのだろうか。

東京・中目黒で、短角牛を取り入れたメニューで人気の「安穏 戊」におじゃまして、特別に「短角牛づくし」のコースを作っていただいた。

「先付け」は短角牛の和風ローストビーフ。表面を手早くあぶった後、炊飯器の保温モードでゆっくり加熱した。短角牛ながら、溶けて流れ出ずにわずかに残った脂が味わえる。しょうゆ、酢、酒、みりんを合わせ、刻んだニラとネギを加えたたれは香り高く、脂のくどさを感じさせない。

短角牛節と昆布のだしのすまし汁

「椀物」は、短角牛節と昆布のだしのすまし汁。短角牛節とは「肉のふがね」が、静岡県西伊豆町の「カネサ鰹節店」とコラボして試作した、いわば「短角牛の鰹節」。肉を適度な大きさに切ってボイルした後、西伊豆ならではの「手火山式焙乾製法」で5~6回燻し乾かして作った。

昆布だしの中にうっすらとコンソメの風味がするすまし汁が、いかにも和風の味わい。肉の味にもかかわらず、前に出ず、かつおだしとの「合わせだし」同様、昆布だしと協調している点がポイントだ。肉の下には豆腐が隠れていて、短角牛のあっさり感をさらに引き立てている。

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