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食の豆知識

「チャーハン道」を極める 安くて簡単、でも奥深い

2017/7/4

 ゆうべの酒がズンと体の奥底に残っている土曜日の朝。ベッドから起きられない私の耳に、隣の家から毎週恒例の音がしてくる。

 シャー! カンカン! ジュワー! ザッザッザッ…

 隣家の音の正体は、チャーハン。どうやらお隣さんは、平日の残り物を刻んで具にしたチャーハンを、土曜日の朝食にするのが習慣になっているのだ。どうして残り物とわかるのかって? なぜなら炒めるときの音も香りも毎回違うからだ。

焼き豚たっぷり王道チャーハン

 キャベツの甘い香りがする日もあれば、ピーマンとタマネギの刺激に飛び起きる日もある。ショウガと豚肉を感じればおそらく生姜焼きの残りだし、ひなびたしょうゆの香りはきっとヒジキに違いない。ハムもソーセージもベーコンも全部入れたな?という贅沢な気配の朝もあれば、ちくわとネギとカレーというハッとする組み合わせの日もある。

 さらに「ママ、肉じゃがはチャーハンに合わないよー」「またかまぼこが入ってるー」など寸評を加える子供たちの声が、私の推理を裏付けてくれる。香りと音に悶えながら「今週のチャーハン」を推理するのは、土曜の朝のひそかなお楽しみであった。

ピカピカのレバーがそそるレバーチャーハン

 炒飯とは読んで字のごとく「飯を炒めたもの」である。調理工程は炒めるだけ、というごく単純な料理だ。だがショートショートや、たった17文字で表現する俳句が単純に見えてひどく難しいように、飯を炒めるだけのチャーハンほど奥が深いものはない。

 米の炊き方や種類、具材のチョイスに分量、火加減に塩加減、どれもほんの少しずれるだけでまったく違うものができてしまう。逆に言えば、ほんの一工夫でまったく新しい味になるあらゆる可能性があるということでもある。

残り物適当チャーハン

 手っ取り早い料理として、また残り物をうまく食べる方法として、チャーハンほど合理的で経済的なものはないだろう。

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