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食の達人コラム

ウイスキー誕生 寒さとワイン不足からアイルランドで 世界5大ウイスキーの一角・ジャパニーズ(3)

2017/6/30

PIXTA

 ウイスキーが生まれた国はどこだろうか?

 私はかつて、それはスコットランドに違いないと心から信じていた。ところがその確信が揺らぐ日が来る。エディンバラのとあるパブで出会ったウイスキー通とおぼしき老年の紳士が教えてくれた。

「ウイスキーの故郷は、君が固く信じているスコットランドではない、アイルランドだ」と。

 スコットランドへ留学して1年が過ぎたころのことだった。一瞬時間が止まった。

 一点の疑いも持っていないことが否定された当惑と混乱。そんなはずはない!

 こうして、思いも寄らないきっかけでウイスキーの起源への旅が始まった。

「ウイスキーの故郷はアイルランドだ」=PIXTA

 物事はそう簡単には進まなかった。スコットランド留学から帰国してもなかなか結論は見えて来なかった。しかし酒の神バッカスは私を見捨てなかった。

 2006年10月に画期的な本が発刊されたのだ。タイトルは『Water of Life, A History of Wine-distilling and Spirits from 500 BC to AD 2000』。著者は英国人作家C. アン・ウィルソン。この本からアクアヴィテ(ラテン語で「生命の水」)と呼ばれる蒸溜液について詳しく知った。それがきっかけとなって、私は何をどう調べていけば良いかをおぼろげながらつかむことができた。それからは歴史が私に語りかけ始めた。

 先に結論を言おう。

「ウイスキーはアイルランドで誕生したに違いない」と考える。

5大ウイスキーのルーツと伝播のルート

 キリスト教の伝播が英国諸島の中で最も早かったことをはじめ、アイルランドは様々な好条件に恵まれていた。第1回で、エジプト、アレキサンドリアのムゼイオンに集められたパピルス文書に書かれた蒸溜法のことを紹介した。同じアレキサンドリアで発達した原始キリスト教がアイルランドに伝えられた時、蒸溜法も同時に伝えられたという説は、ウィルソンの本に書かれた綿密な考証で納得できた。

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