無印良品のショック療法 社員を奮起させた社長秘策

私の場合、働く時間・場所にある程度の自由が利くのでそんな仕事ぶりが可能ですが、時間と場所を指定されて働く人はそんなわけにいきませんよね。私のような「ぐうたら」をどうやって働かせるか、それについて孫子先生は考えたようです。その上で、こんな名言を残しています。

孫子は「個々の兵士に期待しすぎるな」と説く PIXTA

「勢に求めて人に責(もと)めず」(兵勢篇)

これは「何よりも勢いに乗ることを重視し、兵士個人の働きに過度な期待をかけてはならない」という教えです。

戦争では人が死にます。死と隣り合わせの戦場からは逃げたくなって当然。さらに、人間は腹が減っては動けません。食料がなくなったら、やはり逃げたくなるのが当然。人間とはかくも弱き生き物です。

だから、やる気を個人レベルに引き下ろし、部下の「モチベーションアップ」を狙っても無駄だからやめておけ、と孫子は説くわけです。個人レベルにまでモチベーション・頑張りを求めるのではなく、集団に「勢い」が自然と出るようにもっていきなさい、それが将たる者の務めであると。

孫子によれば、私のような「ぐうたら」はむしろ当たり前なのです。そんな人間までもやる気にさせるような手段を考えねばならない。これが孫子のいう「勢い」のつくり方です。

個人のやる気に期待しすぎない

さて、良品計画の新社長に就任した松井さん。何をやったかといえば、社員たちを「焼却場に連れて行った」のです。当時の良品計画は、売れない在庫の山を抱えていました。つくった物が売れないという事態にあっても、大企業ではどこか「他人ごと」ととらえがちです。

松井社長は「よく見ておけ」とばかりに、社員たちを新潟県小千谷市にある焼却場に連れて行き、在庫の山が焼かれる光景を実際に見せたそうです。その場にいた社員の一人に聞きましたが、とんでもないショックだったそうです。それはそうでしょう、自分たちがつくった製品が目の前で焼かれるわけですから。それを見た社員たちはショックを受けつつ、本気になったことでしょう。

その後、無印良品の好調、海外展開もあって良品計画の業績は順調に回復していきます。

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