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五輪スポンサーが陥る罠「フェラーリ買って免許なし」 オリパラのマーケティング(下)

2017/7/11

長い目で取り組むことが重要と指摘する高橋オリバー氏(写真:加藤康)

 五輪スポンサーとして最も長い歴史を持つコカ・コーラについて、前回(「コカ・コーラ 世界の有力ブロガー集め、リオ五輪発信」)はSNS(交流サイト)を使ったマーケティングの試みなどを紹介した。最終回のテーマは、2020年東京大会に臨む日本企業への提言。日本コカ・コーラで東京五輪のプロジェクトリーダーを務める高橋オリバー氏はスポンサーが陥りやすい罠(わな)として、「フェラーリを買っても免許がない」と指摘する。(聞き手はスポーツジャーナリストの上野直彦)

■まずスポーツをよく知ることから

 ――五輪スポンサーになったものの「何をやったらいいか分からない」という日本企業が多いようです。なぜ、そうした問題が生じるのでしょうか。

 「スポンサーシップの権利を欲しくて買っているのではなく、『買わされている』からだと思います。『権利を行使して何をするのか』というアイデアがないままに、『乗り遅れてしまう』『トレンドだから』と言って買っている。これでは買ってもらった側もうれしくないし、買った側も困ってしまいます。『フェラーリを買ったはいいけれど、免許を持っていなかった』というようなものです」

オリバー氏は、大きな大会が続くここ数年が重要と説く(写真:加藤康)

 ――スポンサーシップの権利をどうやってアクティベーションにつなげるか。つまりお客さんに商品を買ってもらったり情報をシェアしてもらったりするかが、日本企業は弱いといわれます。

 「多くの皆さんは、スポンサーシップの権利を獲得したことで満足しているように見えます。権利を買うために使ったお金と同じくらいの額を投資していかないと、コンシューマー(消費者)には訴求できません」

 ――なぜ消費者への訴求が弱いのでしょうか。

 「一言で言ってしまえば、不慣れなのでしょう。広告会社に任せっきりだったりするケースが多い。これまで自分たちで考えて、自分たちでアクティベーションに取り組んでこなかったのではないでしょうか」

 ――具体的に、どうすべきでしょうか。

 「まずは、スポーツを知ることが重要です。五輪に限らず、様々な企業が様々なスポーツや選手のスポンサーになっています。そこで単に企業ロゴを付けるだけではなく、スポンサーとしての権利をどう生かして自社の商品の販売につなげるか。スポンサーになった競技を通じて、どのように自社ブランドを拡散していくか。見返りとして売り上げが伸びる構図をどう作っていくか。ここをしっかりと構築する必要があります」

 「私は国際サッカー連盟(FIFA)で働いていた時、スポンサー企業に対して『1クール(4年間)やって、その後にやめちゃいましたではダメです。4年、8年、12年、20年と継続していかないと意味がありません』と話していました。大会が終わった段階で『あの時にあれをやっておけばよかった。これをやっておけばよかった』と、初めて学びが出てくるからです。それが次の取り組みで改善につながっていきます。だから今回五輪のスポンサーになった企業には、これからのスポーツイベントでも継続していってほしいですね」

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