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山形冷やしラーメン 氷入りの牛骨スープに歯ごたえ麺

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NIKKEI STYLE

7月に入り、いよいよ本格的な暑さがやってきた。

そうなると恋しくなるのは、冷たい食べ物。かき氷やアイスクリームはもちろんのこと冷や奴や冷しゃぶなど、食事のメニューもひんやりしたものがおいしくなる。麺料理だって同様だ。

そばなら冷やしたぬき、中華そばなら冷やし中華と、全国的には冷たい麺料理と言えば「たれ」で食べるスタイルが標準だろう。

そんな中、近年注目を集めているのは、山形発祥の冷やしラーメン。冷やし中華との違いは、たっぷりの冷たいスープを温かいラーメン同様に「飲める」点だ。

冷やしラーメンの魅力はどこにあるのか? 山形市にある、県内の麺を手広く製造する酒井製麺所の酒井政輔社長に話をうかがった。

実は山形市、ラーメンの1世帯当たり消費金額は、全国の県庁所在地および政令指定都市の中でトップだ(2014~16年の平均、「家計調査」による)。山形というとそばのイメージだが、実はラーメンシティーでもある。というか、うどんもよく食べるので、山形は「麺料理王国」と呼んでいい。

ではなぜ山形ではそんなに麺をたくさん食べるのか? 酒井社長の答えは「よく分からない」だった。しかし、そうはいっても何か理由があるはずと、話を続ける。

香川県や埼玉県のように、二毛作でムギを栽培する地域では、麺をよく食べるのもうなづけるが、山形は米どころ。ムギの生産量は決して多くない。

酒井社長が結婚の際のエピソードを披露してくれた。奥様の家族が初めてあいさつにみえたとき、両家でいっしょにラーメンを食べたという。山形では大事なお客様をもてなす際には、出前でラーメンをとる習慣がある。

関東人の感覚では「そこはすしでしょう」と言いたいところだが、山形ではラーメンなのだという。

実は山形、伝統的にそば店が食堂でもあり、ラーメン店でもあった。そばも定食もラーメンも、それぞれ別の店で食べるものではなく、同じ店で食べる。出前を取る。そうした文化が、麺料理をご飯ものと区別せず、多く食べる背景にあるのではないか――。酒井社長はじめ、その場にいた地元の皆さんと議論を進めるうち、少しずつ謎が解け始めた。

一方、なぜたれではなく冷たいスープなのか?

雪国で知られる山形だが、実は夏がとても暑い。「夏暑く、冬は寒い」典型的な盆地気候だ。そもそも気候的に冷たい料理を好むのだ。

ただし、冷たい麺を好んで食べるのは夏だけではない。冬の間も冷たい麺料理を食べる。冷たいラーメンも夏限定メニューではない。

以前に紹介した、山形市の北に位置する河北町の冷たい肉そば・肉中華も、通年で冷たいスープで食べる。雪が積もってもだ。

河北町では「酒を飲む場所=そば店」で、そばの具をつまみに酒を飲み、最後のシメでそばをすすった。温かい汁では麺がのびてしまうため、冬でも冷たい汁になった、という由来を思い出した。

話を冷たいラーメンに戻そう。取材の前に、冷やしラーメンの人気店「栄屋本店」の看板メニューを食べた。

酒井社長によれば、冷たいラーメンは、ここ「栄屋本店」で考案されたものだという。

河北町同様、冷たいスープには氷まで入っていた。しかし、冷やしラーメンのスープをひとくちすすったところで首をかしげた。

河北町のスープは鶏ガラの強いうまみが特徴だった。しかし、山形の冷やしラーメンは、コンソメのようなやさしい味わいがほんのりと口の中に広がる。どこかで食べた記憶のある味なのだが、スープが冷たいこともあり、なかなか思い出せない。

「牛骨です」。後で酒井社長の話を聞いてはたと膝をたたいた。そうだ、山口県下松や鳥取で食べた牛骨ラーメンのスープの味だ!

もちろん冷やしラーメン=牛骨だしというわけではなく、他店には鶏ガラや魚介のだしを取り入れた冷やしラーメンもある。しかし、これが現在もなお高い人気を誇る山形冷やしラーメンの「そもそもの味」だ。

やさしいスープとは逆に麺は主張の強いものだった。酒井社長によれば「角がある太麺」だという。それを水でしめてあるので、エッジが効いた独特の歯触りになる。

肉もチャーシューではなく牛だった。豚肉が当たり前の東日本で、山形は「肉と言えば牛」の土地柄。牛骨のスープと合わせ、いかにも「山形の味」と感じる。

東京では珍しい牛骨ベースのスープに興味を抱いていると、酒井社長から「牛骨なら平清水の八幡屋に行ってみるといい」とのアドバイスをいただいた。

山形の麺料理を知り尽くしている人の言葉だ。市街地から外れた、山に近い、陶芸の里・平清水まで足を伸ばしてみた。

今回のテーマは冷やしラーメン。メニューに冷やしラーメンは見当たらなかったので「冷中華そば」を注文する。するとご主人が「ウチは初めて?」と聞いてくる。言葉を交わしていると、どうやら「冷中華そば」は一般的な冷やし中華らしい。

ではと再び壁に張られたメニューを見回すと…。

ぬるめ中華そば。

えっ「冷たい」でもなく「ぬるい」でもなく「ぬるめ」? 猛然と食べたくなる。

キッチンをのぞき込むとゆでた麺を水でしめている、冷やしラーメンと同様だ。そしてまさしく「ぬるめ」のスープが満たされたラーメンが登場した。

のりの上に乗っているのはこしょう。やはり歯触りのいい麺で、スープの「ぬるめ」もなんともいい味わいだ。

後でネット検索すると、実は山形市内でも相当な人気店なのだという。住宅街の中の小さな小さな店だったが、そこが人気店とは…。山形ラーメンの奥深さを実感した。

せっかくなので、河北町の隣、寒河江にまで足を伸ばしてみる。寒河江はワンタンメンで有名なところ。人気店「福家そばや」で冷やしワンタンメンを食べる。やはり、たれではなくスープで食べる冷たい麺だ。

麺は少し縮れていて、歯触りがいい。こちらのスープは鶏をベースに魚介の風味が加わる。鶏ベースとはいえ、かほく冷たい肉そばのような強さではない、あっさりとした味わいだ。

薄く面積の広いワンタンの皮はけっこうなボリュームで、麺と合わせて食べるとお腹いっぱいになる。

最近では東京でも食べられるようになった山形の冷たいラーメンだが、本場だけに、店も多く、味付けやバリエーションも豊か。さすが「麺料理王国」だ。

次回訪れる機会があったら、また違う店で食べてみよう。できればとても暑い日に。そんな思いで、山形を後にした。

(渡辺智哉)

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