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塩は形で味変わる? 球状、板状、ピラミッド型結晶も

魅惑のソルトワールド(2)

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NIKKEI STYLE

みなさん、塩の味は「しょっぱいだけ」と思ってはいませんか?

「え、塩だからしょっぱいに決まってるじゃないか」という声が聞こえてきそうですね。はい、その通り、塩はしょっぱいです。でも、実はしょっぱいだけではないんです。今回は「塩の味」とそれを決める要素についてお話したいと思います。

塩にはいろいろな味がある

まず塩には、原材料別に、大きく分けて5つの種類があります。

海水を濃縮してできあがる海水塩、地殻変動によって海に囲まれた大地が結晶化して地中に堆積した岩塩、塩分濃度の高い塩水が溜まってできた塩湖塩、地下から湧き出る塩水からできる地下塩水塩、そして塩を原料に再度加工して生産される再製加工塩です。

岩塩にしろ湖塩にしろ、はるか数億年前~数百年前までは海だったので、いずれの塩も、元をただせばすべて海水からできている、つまり「塩は海の結晶」とも言えます。

その大元である海水の中には、地球上にある元素のすべてが含まれていると言われており、主な構成物質は、ナトリウムが約78%、マグネシウムが約16%、カルシウムが約4%、カリウムが約2%、その他微量に含まれるミネラルが約0.3%です。そして、それぞれのミネラルに味があるため「塩の結晶にどのくらいのバランスで各種ミネラルが含まれているか」ということが、塩の味を決める大きな要因となっています。

各ミネラルによる味の違いは、下の通りです。

ナトリウム=しょっぱさ
マグネシウム=苦みやコク
カルシウム=相対的に甘みを演出
カリウム=酸味
その他=雑味

上記からもわかる通り、塩にはしょっぱさ以外にも、酸味、うまみ、甘味、苦味、雑味など全部で6つの味が隠れています。ナトリウムが多ければ多いほどしょっぱさが強くなり、それ以外の味はあまり感じられません。逆に、ナトリウムが少なくてマグネシウムなどが多い場合は、しょっぱさは弱くまろやかで、おいしい苦味やコクが強い傾向があるということです。

なお、この塩に含まれるミネラルのバランスは、商品パッケージの裏面を見ることで知ることができます。塩を選ぶ際には、ぜひ比較してみてください。

もう一つ、塩の味を決める要因があります。それが結晶の形と粒の大きさです。

炒め物の調味やスープはじめ汁物の味付けなど、塩を溶かして使用する場合には影響しませんが、つけたりかけたりして直接舌に塩があたる用途の場合には、この結晶の形や粒の大きさも味わいにおける重要なファクターとなります。

塩の結晶の形は、おおまかに9つに分類されます。ただし、棒状結晶と言う結晶は、できにくく、溶けやすく、壊れやすいため、実際には流通していません。もっとも基本的なのは立方体ですが、成長の条件によって、薄い板状や中が空洞のピラミッド状、パウダー状など、さまざまな形に変化します。

8つの結晶の形を写真で確認していきましょう。

たとえば板状の塩やピラミッド状の塩は、シャクシャク・サクサクとした小気味の良い食感を生み出すのでアクセントになりますし、逆にパウダー状の塩はするりと溶けて食感には影響を及ぼしません。

また、結晶の形が変わっている塩は見た目にも非常に華やかで見る人に驚きを与えるため、お皿に添えて提供するだけで、食べる前にまず「目」で楽しませるエンターテインメントにもなり得ます。

また、粒の大小ですが、粒が大きければ溶けるのが遅いため、口に含んだ瞬間にはまろやかに感じやすくなります。逆に、パウダー状などの粒が小さい塩は溶けるのが速いため、口の中のナトリウム濃度が上昇するのが早く、最初に強いしょっぱさを感じやすくなります。どのタイミングで塩味を感じさせたいのか。それによって、選ぶ粒の大きさは変わってくるのです。

岩塩だから、海水塩だから…は間違い

よく聞かれる質問に「岩塩と海水塩ってどっちがおいしいんですか?」というものがあります。実はこれ、非常に答えずらい質問なのです。なぜならば「おいしい」というのはあくまでもその人の生育環境とか食経験とか体調によって変化する主観であって、絶対的ではないものだからです。塩がばっちり効いているおにぎりを好きな人と、塩は控えめで米の甘さが引き立つおにぎりが好きな人と、どちらが正しいわけではないですよね?

そして何より、塩の味わいの違いは原材料別の分類だけでは決められないのです。塩は海水塩はじめ原材料別に5種類に分類できるという話をしましたが、塩の中にどのようなバランスでミネラルを残すのか、そして、どのような結晶の形、粒の大きさに仕上げるのかは、主に製法によって決定します。

たとえば同じ場所で海水を汲み上げてきて、同じ生産者が製造しても、製法が異なれば、できあがる塩に含まれるミネラルのバランスも、結晶の形も、大きさも、すべて異なります。ナトリウムだけの塩を作ることもできますし、海水の成分をほぼそのまま残したような塩を作ることもできます。

そのため、一概に「海水塩だからしょっぱさが〇〇、岩塩だから◇◇」というように、原材料の種類によって味を分類することはできないのです。

「それでも何か違いがあるはずだ!」という方のために。

岩塩は長い年月をかけて結晶化する中で、成分によってある程度層が分かれて結晶化し、そのうちのナトリウム層を狙って採掘・抽出されるため、ナトリウム以外のミネラルをほとんど含まず、ナトリウム構成比が高い傾向があります。

海水塩では、さまざまなミネラルを含む海水を濃縮して結晶化させていくので、岩塩に比べるとナトリウム以外のミネラルも含みやすい傾向があります。また、しっとりとしている塩は、マグネシウムを中心としたにがりを多く含むため、ナトリウム以外のミネラルを含む傾向があります。

おいしいごはんの要は「同化」「対比」「抑制」の法則

塩はその成り立ちによって一つひとつ味が違うことは前述の通り。そのため、もっとも相性が良い食材も、実は塩によって異なるのです。基本となるのは「同化」「対比」「抑制」の3つの考え方です。

これは、食材と食材の相性を考える時にも使えるのでぜひ覚えておいてください。

「同化」とは同じ特徴を持つ2つの食材を合わせることで、相乗効果を発揮させることで、甘味やうまみにおいてよく起こります。かつおだしと昆布だしを合わせるとうまみが濃くなるというようなことです。

次に「対比」。こちらは、対極にある味わいを少量加えることで、片方をより際立たせること。すいかに塩、ぜんざいに塩などがこれに当たります。

最後に「抑制」。これはしょっぱさと酸味、しょっぱさと苦味で起きやすいのですが、酸味や苦味はしょっぱさを加えることで弱くなり、またその逆も然りです。酸味と苦味の強いコーヒーに少量の塩を入れると、酸味と苦味が抑制され、ミルクをいれたようなまろやかさに変化します。

食材と相性のよい塩を探す

食材と塩との相性でも、同じことが言えます。

大きく影響するのは、食材でいえば「味が濃いかたんぱくか」と「食べる時の咀嚼回数」「味が出てくるスピード」、塩でいえば「しょっぱさが強いか弱いか」と「粒が大きいか小さいか」によって、大まかな相性が決まります。それを図に表したのが、こちらのマトリックスです。

牛肉やマグロ・カツオなどの赤身の肉や魚は、食材そのものの味が濃く、そしてその多くは身に酸味を含みます。そのため、塩も、しょっぱさが比較的強く、粒が大きめで食感がある塩がおすすめです。鉄分が含まれて酸味がある塩ならば最高ですね。ステーキ屋さんがピンク色の鉄を含んだ岩塩を多く採用しているのには、理由があるのです。

次に、鶏肉やイカ・タイなどの白身の肉や魚は、食材の味わいはたんぱくで、咀嚼していくうちに甘味やうまみが出てきます。そのため、塩は、しょっぱさがまろやかで、粒が少し大きめで噛んでいるうちに味が出てくるものを選ぶと、味が出てくるタイミングが食材と合うので、最後までしっかり食材の味わいにアテンドしてくれます。

唐揚げやてんぷらなどの揚げ物は、噛んだ瞬間にぶわっと油が出てきますので、そのタイミングでしょっぱさが感じられる、粒が大きくてしょっぱさの強い塩がおすすめ。油をさっぱりとさせてくれます。

野菜やごはんなどの繊細でたんぱくなものは、しょっぱさがまろやかで、馴染みやすく粒が細やかな塩がおすすめ。食材の本来の味わいを壊すことなく、引き立ててくれます。

今回は、塩の味わいと食材の相性について解説してみました。

これから塩をいくつか揃えてみようという方は、図の塩と食材の相性のマトリックスを参考にして、今持っていないものを揃えてみると、楽しさが広がりやすいと思います。

食材と塩の相性に基づいて使い分けるもよし、一つの食材にいろいろな塩を試してみて、食材の味わいの変化を楽しむもよし。ぜひ、塩を上手に使い分けて、食卓をより豊かで楽しいものにしてみてくださいね。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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