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こだわりワイン、ゼロからのブドウ栽培 千曲川バレー

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世界で高い評価を受けている「日本ワイン」。

日本ワインとは、国産のブドウのみを原料とし日本で醸造されたワインのこと。輸入果汁を使っていても日本で醸造していれば名乗ることのできた「国産ワイン」と区別する意味でこう呼ばれる。

以前、日本ワイン醸造の集積地として「新潟ワインコースト」を紹介したが、長野県にも注目の集積地がある。

「千曲川ワインバレー」だ。

千曲川ワインバレーは、千曲川上流域から下流域まで、川の流れに沿った地域に集積するワイナリー群。なかでも上流域の東御(とうみ)市近辺は、エッセイストで画家の玉村豊男さんが「ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー」を設立したのを皮切りに個性豊かな小規模ワイナリーが続々と誕生。ワイン通から注目される一大ワインエリアになった。

初めてこの地を訪れたとき、山の斜面にブドウ畑が広がる美しい景色に感動したものだ。ブドウにとって最適の「晴天率が高く日照時間が長い」気候は人間にとってもいいはず、というのが私の長野への移住理由のひとつだった。

ワイナリーもあり、近くに国際コンクールで最高賞を受賞するような有名チーズ工房「アトリエ・ド・フロマージュ」もある。「きゃっ、なんだか南フランスみたい!」と思ったことを覚えている。

まずは「千曲川ワインバレー東地区」の「ワインポータル」(玉村氏考案のコンセプトで「地域のワインにアクセスするための玄関口」)であるビストロ&ワインショップ「東御ワインチャペル」を訪れた。こちらでは東地区の全ワイナリーのワインを扱っていて、飲み比べや買い物ができる。

シニアソムリエの石原浩子さんに話をうかがった。

「千曲川ワインバレー東地区にマイクロワイナリーとかブティックワイナリーと呼ばれる小さなワイナリーが集まってきたのは3つの要素があると思います。ひとつはこの東御市や近隣市町村が『ワイン特区』になったこと。ふたつめはブドウ栽培に適した気候。みっつめは自由度が高く、新しいことに挑戦できる風土があること。玉村さんが荒廃した桑畑を開墾して一からワイナリーをつくったので、しがらみもなく好きな品種を植えられます。メルローやシャルドネなど国際品種を植える人が多く、世界の市場で戦えるワインが出てきていますよ」

ワイン特区とは酒税法の定める最低生産量6000リットルの3分の1の規模で果実酒造免許が取れる特別許可地域のことで、これによりワイナリー設立のハードルが大きく下がったというわけだ。

石原さんに東地区のワインのおススメを聞いた。

「千曲川ワインバレーの創始者・玉村氏のヴィラデストワイナリー(東御市)の『ヴィニュロンズ リザーブ シャルドネ 2016』。きちんと樽で醸造されたボリューム感と同時にほどよい酸味もあってエレガントさも感じます。しっかりめのソースの魚料理や鶏・豚肉に。

リュードヴァン(東御市)の『ソーヴィニヨン・ブラン 2016』。きりっとした酸味にハーブの香りも感じられる辛口白ワインはカルパッチョや苦みのある山菜にも合います。

ファンキーシャトー(青木村)の『ラ プルミエール フォア メルロー 2014』。カルト的な人気を誇る自然派のワイナリーです。果実の厚みを感じさせるフルボディーの赤は牛のステーキに合わせたいですね」

2015年からは新しいワイナリー「アルカンヴィーニュ」にてワイン用ブドウ栽培・醸造・ワイナリー経営を学べる「千曲川ワインアカデミー」も開講。ここでは新規就農者の委託ワインも醸造する。こうしたインフラも整い、これからもますます個人がワイナリーの夢を叶えることができそうだ。

「いままでは千曲川の右岸にワイナリーが集中していましたが、最近は左岸にもできつつあります。左岸は砂利質の右岸とは違って粘土質なので、また違った味わいのワインになるでしょうし、ますます注目のエリアになると思いますよ」と石原さん。

ん? 左岸と右岸で個性の違うワインってなんか聞いたことある。

フランスのボルドーじゃないか!

次に石原さんおススメのひとつ「リュードヴァン」(フランス語で「ワイン通り」の意味)に向かった。人気ワイン漫画「神の雫」にも登場するワイナリーだ。

電気メーカーのエンジニアだった小山英明さんが東御市の耕作放棄地を開墾しワイン用ブドウを植え、2008年に会社を設立、2010年に醸造所をオープンさせた。

なぜおいしいワインができるのか。ワインの出来はブドウの品種や土壌、醸造技術などさまざまな要素がからみあうので、簡単には言い尽くせないが、ソムリエの石原さんの話を補完するような興味深い話が聞けた。

「ワイン特区で正規の最低生産量の3分の1でワイナリーが開業できるといっても実は自社農園だけで2000リットルを生産するのは容易なことではない。もともとワイン工場がある地域ならワイン用ブドウを生産している農家があるので、そこから買うことができるが、東御は巨峰の産地でワイン用ブドウはつくっていなかった。買ってくるブドウがないから自分でつくるしかなかったんです。ブドウ栽培は本当に手間がかかるので、二束三文で買えるワイン用ブドウが近くにあったら手を出してしまったかもしれない。古いワイナリー文化が地域になかったのがよかったんです」

ワイン特区はワイナリー開業のハードルが下がったように見えて、実は「特区内で生産されたものを原料とする」という厳しい条件があり、それが功を奏したといえるだろう。

さて、リュードヴァンにはもうひとつ特区の条件を満たすために生まれた(?)名物がある。

「自社農園で2000リットルのワインはなんとか確保できそうだとは思ったのですが、ブドウの生産が不安定になって最低生産量に満たないこともあるかもしれない。そこで、東御はリンゴ農家がたくさんあるので、シードルをつくることにしたんです。これなら『特区内の原料で』という条件を満たしていますからね」

実はいま食やお酒の感度の高い人の間でシードルはちょっとしたブームだ。5月に飯田で開催されたイベント「長野シードルコレクション」では350枚のチケットが完売、ほとんどが東京など首都圏から足を運んだ人たちだったという。リュードヴァンのシードルはその牽引役といっていい。

シードルといえばフランス(有名なのはブルターニュとかノルマンディーとか北西部だけど!)。フランスではシードルは、そば粉をクレープのようにしたガレットと一緒に味わうものらしい。いうまでもなく信州もそばの産地で、フランスと長野でそばとリンゴがリンクするのもおもしろい。

この時期は昨年収穫されたブドウがワインになり瓶詰されて2016年ヴィンテージとしてリリースされる。ワイン畑も新緑から濃い緑となって美しい季節だ。ぜひ千曲川ワインバレー東地区に訪れてみてほしい。

最後に私はフランスには一度も行ったことがないことをここにこっそり告白しておく。

(ライター 柏木珠希)

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