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食の達人コラム

国産ウイスキー、世界の頂点に 「ものづくり」極める 世界5大ウイスキーの一角・ジャパニーズ(1)

2017/5/19

PIXTA

 料理や食材はもちろん、酒や調味料など、グルメの様々なジャンルに精通するエキスパートが、それぞれの専門分野を語る「食の達人コラム」。今回登場していただくのは、長年サントリーでウイスキーの原酒づくりに携わり、現在はサントリースピリッツ社専任シニアスペシャリストの三鍋昌春さんです。

◇  ◇  ◇

 今、日本のウイスキーが世界の注目を浴びている。

 世界的なウイスキーの品評会で最高賞獲得の常連に名を連ねるようになってから約10年。2014年には、『ジム・マレー ウイスキー・バイブル』の2015年版で「山崎シェリーカスク 2013」が世界最高のウイスキーに選ばれた。世界各国から集めた4700銘柄ものウイスキーをこの本の執筆者、ジム・マレーがテイスティングし、点数を付ける。その頂点に立ったのである。

ウイスキー・バイブル(左)と山崎シェリーカスク 2013

 香港で開催されているウイスキーオークションでも最高落札価格の記録を次々と塗り替えているのは日本産ウイスキーである。世界各国への輸出の伸びとともに、急速にその品質の高さが世界で認められるようになった。

 1923年のサントリー山崎蒸溜所設立からはじまった日本の本格的なウイスキーづくりは、独自の進化を遂げてその味わいにみがきをかけてきた。

 国内でも、ウイスキーはよみがえり、伸びつつある。

 日本のウイスキー市場は、1983年に史上最高の販売数量を達成した後、2008年まで縮小を続けていた。よみがえりのきっかけの一つが、困難な時期にもひるむことなくおこなってきた「ものづくり技術」開発、その結果世界最高レベルまで進化した品質であった。

世界5大ウイスキー (左から)スコッチ、アイリッシュ、ジャパニーズ、アメリカン、カナディアン

 ウイスキーは今や世界数十カ国でつくられている。ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ジン、ラム、リキュールなどの蒸溜酒はスピリッツと呼ばれているが、ウイスキーは、販売数量ではウォッカに及ばないものの販売金額ではスピリッツナンバーワンである。そのウイスキー類の中核が、歴史、製造方法、販売数量などから世界5大ウイスキーと呼ばれているアイリッシュ、スコッチ、アメリカン、カナディアン、そしてジャパニーズなのである。そのどれもが消費量を伸ばしている。

 このウイスキー、一体どのようなものなのか、どんな歴史を持っているのか、どのようにして各国で、そして日本でつくられるようになったのか、どのような味わいの特徴を持つのかなど、案外ご存知ないのではないだろうか。これから、それらの疑問にお答えしていきたい。うんちくは時としてうっとうしくはあるが、一方おいしさを増すエッセンスでもある。

■ウイスキーは、焼酎と同じ「蒸溜酒」

ウイスキーの蒸留釜=PIXTA

 ウイスキーの最も大きな特徴は「蒸溜酒」であることだ。酵母が糖分を代謝してつくったエチルアルコール(以下アルコール)を含んだ液体が「酒」、そのアルコールと水の沸点の差を利用してアルコールを濃縮する操作が「蒸溜」である。

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