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食の豆知識

サバ缶、郷土料理や旬の味に 水煮は隠れた万能食材?

2017/5/17

PIXTA

 5月下旬になると我が家最寄りのスーパーマーケットの野菜売り場にはサバの水煮の缶詰が山積みとなる。それを見ると「ああ、初夏になったんだなぁ」と感じる。

「は? 何いってんの、この人。缶詰に季節感なんてないでしょ」

「ってか、なんで缶詰が野菜売り場?」

 そう思った人も多いかもしれない。私が住む信州では、この季節になると「根曲竹(ねまがりたけ)」という細いタケノコが採れるのだが、これの一般的な食べ方が「根曲竹とサバ缶の味噌汁」。だから、スーパーでは根曲竹の横にサバ缶がセットになって置かれることも多い。

根曲竹は地域によっては姫竹ともいう。正確には竹ではなくチシマザサの若芽=PIXTA

 いまでこそサバ缶に季節感を味わっている私だが、信州に移住して最初にこの味噌汁の存在を知ったときには、かなりのカルチャーショックを受けたものだ。関東出身の私にとっては味噌汁に入っている魚といえば、カツオやイリコなどだしとして使うもの。魚の中でも生臭いといわれる青魚の「身」が具として入っていることも驚きだったが、味噌汁、郷土料理というジャンルに「缶詰」が使われていることも大きな衝撃だった。

 だが、長野県の地形を考えるとそれも納得。

「根曲竹の味噌汁」。根曲竹のコリコリとした食感と淡泊な味が、脂が乗ってしっとりした食感のサバと合ってウマい

 山に囲まれた「海なし県」信州では海の魚はぜいたく品。戦前はサバ缶も特別な日に食べる「ごちそう」だった。この根曲竹の味噌汁も戦前は川魚や身欠きニシンなどで作られていたが、戦後、安く手に入るようになってサバ缶を入れるようになったという。長野県の木曽地方ではウドの味噌汁にサバ缶を入れた郷土料理「ウド汁」もあり、そこには長野県民の強い海への憧れ、海の魚への愛が見てとれる。

 信州生まれ信州育ちの友人たちにサバ缶について聞いてみると、熱い「サバ缶トーク」が始まった。

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