一筋縄でいかない経営統合、「良い方に統一」にならず
りそなホールディングス社長 東和浩氏(下)
1991年に東京の日本橋支店に配属。バブルが崩壊し、不良債権問題の影が忍び寄っていた。
日本橋支店では中小企業取引の経験を積みました。当時、大変だったのは審査部門から「撤退」の指示を受けたことです。取引先の課題を踏まえ融資の縮小を求めたのですが厳しい交渉になりました。
93~98年は本社の総合企画部に在籍しました。関連ノンバンクなどの不良債権処理が重いテーマになった時期です。それまで銀行は赤字計上に強い抵抗感がありましたが、赤字覚悟で処理が必要だと認識を改めました。
不良債権問題の核心は銀行の体力を上回る融資や特定の大口先への集中です。りそなが個人や中小企業取引に照準を絞っているのは「小口分散」の必要性を強く感じたからです。大口融資は一見効率的ですが、小口でコツコツ取り組むほうが収益も安定し、地域密着にもつながります。
不良債権処理で体力をすり減らした銀行は大再編時代に突入する。
ひがし・かずひろ 1982年(昭57年)上智大経卒、旧埼玉銀行(現りそなHD)入行。2003年執行役、09年副社長、13年4月から現職。福岡県出身。
91年の埼玉銀行と協和銀行の合併には関わっていません。合併後に発足したあさひ銀行と東海銀行(現三菱東京UFJ銀行)の統合交渉で財務関連の実務を担いました。この話は実現しませんでしたが、銀行再編の大きな流れにはあらがえず、あさひ銀行は2002年に大和銀ホールディングスと経営統合してりそなグループが発足しました。
銀行の統合で大変なのはシステムの問題です。コンピューターを接続するだけと思われがちですが、事務もすべて変わり、何万人もの従業員の日常業務に影響します。単純に「良い方に統一しよう」とはならないんです。