60歳まで引き出せないのが利点? 「iDeCo」のイロハ
気になる確定拠出年金(2)
1月からほぼすべての人が加入できるようになった個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)。それまでは利用できなかった専業主婦や公務員にも門戸が開けたこともあって、老後の暮らしを豊かにしようと加入する人が増えつつあります。
iDeCoの大きなメリットが、税制の優遇を受けられること。毎月積み立てる掛け金が全額所得控除されるだけでなく、運用から上がる利益にも税金がかかりません。さらに、運用した資産を数十年先に受け取る際にも税負担を少なくできるのです。
一方、iDeCoの主な特徴である「60歳まで原則として引き出せない」という点をあなたはどう受け止めますか? 例えば、突然の失業や病気などで急場の資金が必要になったときにiDeCoに1000万円の残高があったとしても原則として引き出すことはできません。これを不都合ととらえる人もいるかもしれませんが、専門家の間では「60歳まで引き出せないのが最大のメリット」という指摘もあります。
ダイエットを思い浮かべてください。「夏までに3キロ痩せる!」と目標を立てて実行計画を立てても、目の前においしそうなケーキがあったらつい誘惑に負けて食べてしまい、「ダイエットは明日から」と言い訳してしまうことはありませんか? 年金も一緒で、「30年先の老後の生活を安心して送れる」ことよりも、私たちは「海外旅行やおいしいレストランでの食事」といった近い将来の快楽を優先しがち。そもそも60歳まで引き出せない縛りがあるなら、目の前の誘惑を抑え込めるというわけです。
ひとたびiDeCoに入ったら、運用商品を選ぶのは加入者自身。運用商品には投資信託や定期預金、保険など、元本保証のないものからあるものまで様々あります。経済コラムニストの大江英樹さんは「地雷商品に気をつけよ」と説きますが、そのわけとは――?商品選びのコツについて、崔真淑が掘り下げます。
気になる世界経済、日本の景気の行方はどうなる? 経済を動かすカギとは? 日経CNBCコメンテーターの崔真淑が取材する番組「SAIが行く!~ウーマンエコノミストの気になる今!~」のリポートをお届けします。毎週木曜日掲載。
マクロエコノミスト。日経CNBCコメンテーター。GOOD NEWS AND COMPANIES代表。1983年生まれ。神戸大学経済学部、一橋大学大学院(ICS)卒業。大和証券SMBC金融証券研究所を経て、2012年に独立。経済学を軸にニュース・資本市場解説を行う。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。