小説家 筒井康隆さん「社会への違和感 創作の源」本質暴いて笑わせる

 ■〈こっかい【国会】剥(む)き出しの権力争いが許される場所〉〈しょうせつ【小説】文字による饒舌(じょうぜつ)〉〈シャネル【Chanel】会社または車内に泊ること〉など、テーマは政治から風俗まで多彩だ。

僕の中では、社会への違和感や不条理の感覚が創作の強いバネとなっている。「わたしは嘘(うそ)は申しません」といった嘘に対する違和感からドタバタ、ナンセンスギャグ、ブラックユーモアが始まる。ユーモア作家は、悪ふざけしているようで、実はまじめにユーモアを考えている。江戸期の十返舎一九がそうであり、先日亡くなった井上ひさしさんがそうだった。

いま久しぶりに主人公が5歳の時から始まる長編を書いている。昨年秋から書き始めて200枚弱と、全体の3分の1しか進んでいないが、今まで使ってこなかった日本語を盛り込むなど色々と冒険をしたい。ただ、僕の場合はどんなに文学的な新しい技法や実験的な小説に挑戦しようとも、必ず面白さが保証できる作品しかやりません。

(聞き手は編集委員 浦田憲治)

つつい・やすたか 1934年大阪市生まれ。同志社大卒。60年SF同人誌「NULL」を創刊。81年「虚人たち」で泉鏡花賞、87年「夢の木坂分岐点」で谷崎賞、2000年「わたしのグランパ」で読売文学賞。