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World Food Watch

中米はフライドチキン王国 ケンタの進出許さぬ人気店

2017/4/12

 トランプ大統領の「米国とメキシコの国境に壁を建設する」という移民政策。その背景にあるのは近年急増する中米諸国からの不法移民を防ぐことにほかならない。そんな中米の中で最も小さい国、エルサルバドル共和国に今、私はいる。

 エルサルバドルで人気の食べ物といえば、やっぱり中米だからタコスとかトルティーヤか、そう思う人も多いだろう。中米は16世紀から長らく続いたスペイン統治時代、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスなどと結成した中央アメリカ連邦国を経て、それぞれ独立したという歴史を持つ。

エルサルバドル人のソウルフード?

 同じ国だった時代もあるがゆえに食文化も似通っており、たしかにタコスやトルティーヤもよく食べる。が、サルバドレーニョ(エルサルバドル人)がもっとも愛する食べ物として私は「フライドチキン」を挙げたい。

 というのも、この国には絶大なる人気を誇る「ポジョ・カンペーロ」なるフライドチキンのチェーン店があるのだ。ポジョ(pollo。人によっては「ポヨ」と発音)とは鶏肉のこと。カンペーロ(campero)は田舎という意味だから「チキンの田舎風」ということになろうか。

「ポジョ・カンペーロ」の店舗は、ニワトリのキャラクターと黄色&オレンジのロゴが目印

「ポジョ・カンペーロ」は1971年、グアテマラの家族経営の小さなレストランからスタートした。骨付き鶏肉をペルーのハーブや柑橘類などでスパイシーに味つけし、皮をクリスピーに仕上げたフライドチキンは瞬く間に人気に。現在は中米はもちろん、南米、北米、欧州、アジアと世界で300店舗を展開する一大フランチャイズチェーンに成長した。

 ポジョ・カンペーロの人気を示す有名なエピソードがある。世界の多くの都市がそうであるように、エルサルバドルも米国系ファストフードチェーンの出店が目覚ましい。移民経験から食生活が米国化していることも関係しているかもしれない。

サイドメニューも充実。ご飯の上に刻んだポジョ・カンペーロとレタスやトマトなどを乗せたタコライス風の「Tazon Campero」。Tazonはボウルの意味なので、カンペーロ丼?

 街中を見渡しても「マクドナルド」「サブウェイ」「ウェンディーズ」「バーガーキング」「ドミノピザ」「ピザハット」「ミスタードーナツ」といった看板ばかりだ。しかし、ケンタッキーフライドチキンをメイン商品とする「KFC」の店舗だけはほとんど見かけない。

 そう、ご想像の通り、ポジョ・カンペーロの人気が根強すぎてKFCが入りこめないのだ。一時期、大規模進出を図ったが、思うように客足が伸びずほとんどの店舗を撤退せざるを得なかったという。

「ポジョ・カンペーロ」の「Burrito nacho」

 ポジョ・カンペーロ発祥のグアテマラも同様の状況だったらしい。世界中に進出するKFC帝国もポジョ・カンペーロ軍を擁する連合国にはかなわなかったということか。

 日本で食べたケンタッキーフライドチキンの味を思い出しながら両方を比べてみると、ポジョ・カンペーロのほうがややマイルドな味つけ。味はそれぞれ好みもあろうが、皮のパリパリ度はポジョ・カンペーロが際立っていて、冷めてからもウマい。

 この国のポジョ・カンペーロ愛をいちばん感じるのは空港だ。なぜかサルバレーニョたちはポジョ・カンペーロの大きなお持ち帰り用ボックスを空港に持ってくる(さすが冷めてもおいしいだけある!)。

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