「夕食の標準化」で夫も調理 女性リーダーの仕事術

伊藤理子・オービックビジネスコンサルタント マーケティング部 HRユニットリーダー
伊藤理子・オービックビジネスコンサルタント マーケティング部 HRユニットリーダー

「奉行シリーズ」をはじめ、「勤怠管理」「ストレスチェック」など多彩な業務サービスで中堅・中小企業の基幹業務を支え、働き方改革にも一役買うOBC。営業で10年、マーケティングで10年。ヒット商品を生み出す女性リーダーの仕事術とは?

――企業の新たな業務負担をいかに減らせるか

OBCでは中堅・中小企業の業務効率化をサポートする様々なシステムを提供しています。基幹業務の「奉行シリーズ」のほかに、業務付加領域をサポートする「勤怠管理サービス」「OBCマイナンバーサービス」「ストレスチェックサービス」といった業務サービス商品などもそろっています。

「ストレスチェック制度」や「マイナンバー制度」などは、法律によって導入を義務づけられたもので、どの企業にとっても新しく発生した業務です。対応に頭を抱える企業も少なくありません。こうした課題を解決していける業務サポート商品を考え、開発、リリースするのが私達HR(人事総務)ユニットの仕事です。

時代の流れや新しい法律に対応した商品開発のためには情報収集が欠かせません。国会審議の行方を見守ったり、日々の新聞記事をチェックしたり、また、コンサルタントや社会保険労務士といった専門家とも交流しながら、常に新制度や法改正についてアンテナを張っています。

――新制度導入でお客様に何が起こるか、あらゆることを想定する

例えば、2015年12月から実施が義務化された「ストレスチェック制度」に対応したサービスは14年から準備を始めました。厚生労働省から開示された資料を読み込み、押さえておかなければならないポイントを専門家とともに精査。この制度が導入されることによってお客様のもとでどんなことが起こるかを想定し、必要最小限の標準ルールを作っていきました。この「お客様のもとで何が起こるかの想定」が私たちの仕事ではとても重要です。

「ストレスチェック制度」ではチェックするだけではなく、医師や専門医によるストレス度の判定が必要でした。また、企業の担当者にとってはこうした精神的なケアを行うデリケートな業務は初めてであるケースも多いため、「相談センター」という受け皿を商品パッケージに盛り込むことも決定。ストレスチェック・判定実施者(医師や専門医)の提供・相談センターの設置という3本柱で商品を設計しました。

おかげさまで、初年度で当初想定150%のお客様に導入していただくことができました。こうして「お客様の想定」がうまく合致して成果を上げられると、とてもうれしいです。

――営業で10年。仙台営業所長として東北6県を統括

私は現在入社22年目。最初の約10年は仙台営業所を中心に営業の仕事をしていました。29歳で出張所の拠点長になり、その後は営業所長として15人ほどのメンバーとともに東北6県を駆け巡っていました。プレーイングマネジャーという感じです。

当時は訪問先で「女性じゃないほうがいい」と言われたこともあります。悔しかったですが、もしかしたら「女性ではだめ」と言う人には過去に女性が担当したことで何か嫌な思いをした経験があるのかもしれないと思いました。「ここで自分がしっかり責任を果たせれば、今後その人の女性を見る目が変わるかもしれない」。そう思って仕事に励みました。問題は性別ではなく個人の能力だと思いますが、そう思わない人もいるものです。

営業現場で10年ほど働き続ける中で、単にモノを売る時代から、お客様のニーズを汲んだ提案型セールスの時代への変化を感じていました。目の前の自社サービスにも「もっとこうしたらいいのに」と感じるようになっていたころ、本社に現在のマーケティング推進室の前身部署が立ち上がることになり、声がかかりました。地元仙台を離れることに後ろ髪は引かれましたが、異動を希望。今につながる新しいキャリアをスタートさせました。

――人事を尽くし切ったら、うれしい天命が下った

新しい部署で最初に取り組んだのは「提案の標準化」でした。私も営業先で「うちは業務内容が特別だから」と言われることがよくありました。確かに各企業の事業には専門性や個性があるものですが、経理・人事・総務などの業務は共通する部分が多々あります。その点をお客様に気付いてもらうためのツールを考えたのです。

それは、提案するサービスの「見える化」でした。お客様が自社の業務を見渡せる「業務鳥瞰図」などを用意し、そのなかのどの部分を我々のサービスでサポートできるかを一目で分かるようにしたのです。全国の営業スタッフが使えるツールを作ることで全社的に提案型セールスへの移行を図りました。同時にこのツールを様々な展示会で発表したり、ウェブで公開したり、これまでにないプロモーションも展開していきました。

新商品の開発ではなく、営業サポートツールを開発したこのプロジェクトは大成功し、社内では社長賞にも選ばれました。やりたいと思ったことをやり抜いたら、お客様も会社も喜んでくれた。この経験は働き続ける私の大きな糧になっています。仕事ではいいことも悪いこともすべて自分に返ってきます。だから私はやり切りたいと思います。すべては「人事を尽くして天命を待つ」です。

――現実的な働き方改革を進めるためにも活用してほしい

かつて営業時代にシステムを提案したお客様から、「このシステムを入れたら自分の仕事がなくなってしまう!」と言われたことがあります。そのときは、ハッとしてうまく返答できませんでしたが、今は「その仕事がなくなっても、次の仕事が生まれます」と答えられます。

技術はこれからもさらに進化していくでしょうし、計算、転記、記録といった業務は、やはり人間より機械のほうが得意です。機械に任せられる部分を任せてしまうことで、人はその結果を見て問題点を把握したり、情報を使ってよりベストな判断を下す仕事をしたり、「次」の仕事を生んでいけるだろうと思っています。もちろん、労働時間を減らすことにもつながります。

働き方を見直す時代になりました。子育てと仕事を両立するための勤務時間を削減したり、残業しない仕組みを作ったり、それぞれの企業が現実的な働き方改革を進めるために、我々が提供する業務サービスを生かしてもらえたらうれしいです。

――家庭では炊事分担のため「夕食の標準化」を導入?

趣味は旅行です。昨年は勤続20年記念に特別休暇をいただき、夫婦でイタリア旅行を楽しんできました。夫も社内にいますので、仕事にも理解があります。私たちにとって共働きは当たり前です。

そんな我が家の方針は「できるだけ家で一緒に夕食を食べよう」。平日は先に帰宅できたほうが買い物や夕食作りを担当します。そのために欠かさないのが、週末に1週間の献立を決めること。これは私の母が伝授してくれた方法なのですが、とてもいいルールです。

その日の献立が決まっていれば食材を無駄にすることもないですし、夫でも私でも迷うことなく調理ができます。献立に沿って夕食を作ることをルール化して効率を上げる、いわば「夕食の標準化」です(笑)。おかげで家事をスムーズに分担でき、食材や時間の無駄も減りました。いいことずくめです。

取材後記

HRユニットは全員が女性だそうで、「子育て中のメンバーもいて、様々な立場からの視点が商品企画に役立っています」と伊藤さん。普段から商品企画だけでなく、販促ツールづくりや営業現場でのセミナー講師、お客様サポートセンターの電話対応なども担うというから、その仕事の幅広さと関係者の多さに驚きます。「関係者全員で商品の魅力を共有し、一貫した思いでプロモーションできると大きな成果につながります。今後はもっと社外にも仲間を増やしていきたいですね」と笑う伊藤さんのもとで、また、働き方改革支援の新しい企画が動き出しそうです。

伊藤理子
オービックビジネスコンサルタント マーケティング部 HRユニットリーダー。1995年、OBCへ入社。仙台営業所にて営業を担当。2006年より、本社にてマーケティング業務に従事。10年より業務サービスを企画開発するマーケティンググループのHRユニットリーダー。宮城県生まれ。

中堅・中小企業の基幹業務を支える多彩なサービスが紹介されているOBCのホームページはこちら。

http://www.obc.co.jp


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