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バターの味は温度がカギ 冷やし口どけ、溶かして香り

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NIKKEI STYLE

嫌いも嫌い、大嫌い。見るのもイヤ、と思っていた食べ物が、ほんのちょっとしたきっかけで好きになってしまうことがある。私の場合は、干し柿。ニッチャリとした食感、白カビのような表面がおよそ食べ物とは思えず、子供のころから大の苦手だった。

ところが長野の日本酒バーでおつまみとして出された「干し柿ミルフィーユ」なるものを食べて、その思いはひっくり返った。

干し柿ミルフィーユとは、干し柿とバターを何層にも重ねたもの。どちらかというと鄙びた、田舎くさい味わいの干し柿に、ほんのすこしのバターが加わるだけでたちまち粋な酒肴へと変わり、目からウロコが落ちる思いだった。

バターとは、生乳からクリームを作り、さらにそこから脂肪粒を取り出して固めたものだ。バター200グラムを作るのに使われる生乳は、約5.8リットル。カルピスなら約31本分を生産できる生乳で、やっとひとつのバターを作ることができるという。

カロリーの高さだけが懸念されがちだが、実は食用油脂の中で最も消化吸収率が高いため、代謝されるのも早い。また多くの脂溶性ビタミンを含むため、栄養面でも多くのメリットがある。

なんといっても味の良さ、香りの良さは抜群だ。パンに塗るのはもちろんのこと。あさりバター、ジャガバター、コーンバターなどバターが主役となるソースや料理は数知れず。

ご飯やうどん、餅といった和食との相性もいい。バターを使わない洋菓子など探す方が難しいくらいだし、最近は和菓子の世界でもあんこ等と組み合わされることが増えてきた。

ホットバタードラム、バターコーヒー、バター茶と飲み物にも大活躍。余談だがモーツァルトにも「バターつきパン」という曲があるほどだ。植物油にはない旨みやコク、厚みがプラスできるのは、バターにしかできないことなのだ。

ではバターのポテンシャルを最大に引き出すための、最も重要なポイントとは何か。

それは、温度である。

生乳から作られたクリームの乳脂肪は、融点の異なる不安定な結晶からできている。そのためクリームの段階でいったん冷却し、低温で熟成させないと、なめらかなバターにはならない。

使い始めてからも厳重な温度管理が必要だ。バターケースに入れっぱなし、テーブルの上に出しっぱなしなんてとんでもない。冷蔵庫に入れ、できるだけ早く使ってしまうこと。使い切れないと思ったら冷凍してしまう方がいい。

食べるときも、バターは温度によって実に様々な顔を見せる。

冷蔵庫から出したばかりの冷たいバターは、ひんやり滑らかな口どけが魅力。東京のパン屋では、冷たいバターを挟んだサンドイッチがちょっとした流行だ。うまいパンにうまいバターだけを挟んだ自信のサンドをはじめ、あんバター、チョコバター、ハムバターなど様々なバターサンドが存在する。またフレンチのソース作りには、最後に冷たいバターを合わせるモンテという手法が欠かせない。

次に常温。バターは多くのお菓子に使われているが、最も重要な使い方が「バターを攪拌して大量の空気を抱かせる」こと。この性質により、ケーキはふんわり、クッキーはホロリと仕上がる。

そのためには冷たすぎてもだめ、溶けてしまってもだめ。13~18度の状態が最高とされる。

最も愛されるのは溶かしバターだろう。バターの香りは溶けた時に最も強くなる。

ホットケーキやジャガイモの上でとろりとろけるバターに、笑みがこぼれない人がいるだろうか。さらに焦がしバターにすれば、香りはいっそう際立つ。

子供のころに読んだ翻訳ものの本では、バターを塗ったパンのことは「バタつきパン」と訳されていた。小麦粉はメリケン粉、ワインはブドー酒の時代。古い料理書における西洋料理のレシピも、バターは「バタ」と表記され、なんとも外国への憧憬をそそったものだ。

お話の中の登場人物たちがお茶と一緒にいただくバタつきパンは、家でいつも食べるトーストよりずっとおいしそうに思えた。

ではバタつきパンを、人はどのように作るのだろうか。

あまりにも日常的な食べ物の場合、人は自分のやり方だけが正解と思いがちだが、それはバタつきパンにも当てはまる。今回もツイッターで「トーストへのバターの塗り方」を尋ねてみたところ、4つしか設定できない選択肢を飛び越えて、細かいマイルールのリプライをたくさんいただいた。

たとえばこんな調子だ。

・パンの上で溶けていく様子を楽しみ、完全に染み込むのを見届けてから食べる

・焼いている途中にバターの塊を乗せ、もう少しだけ焼き、半溶けバターを楽しむ

・バターをフライパンで溶かしてから、それをパンに吸わせる

・焼いたトーストを冷まし、そこにスライスしたバターを乗せる

・半分だけバターを塗ってしみ込ませ、もう半分は食べながらバターを乗せる

バターひとつになんというマニアック! どの人もみんな、バターを理想の状態にすることに必死である。十人十色、人それぞれに自分だけのバター道があるのだ。

市販のバターには黄色っぽいものと、白っぽいものがあるが、これは牛の食べ物によって決まる。青草をいっぱい食べれば黄色いバター、草以外に豆やコーンを食べれば白いバターとなる。他にも有塩、無塩、発酵、ホイップなどバターには多くの選択肢がある。今日の気分は、どんなバター?

(食ライター じろまるいずみ)

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