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チョコであふれるフランスのイースター 卵も鶏も甘く

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NIKKEI STYLE

義理チョコ、友チョコ、本命チョコ――こうしたプレゼントチョコだけでなく、最近日本のバレンタインデーは、自分自身が楽しむための「マイ・チョコ」を買う人が目立っている。

そのマイ・チョコ。フランスでは、キリスト教の重要な祝日、イースター(復活祭)の時期に買う人が目立つらしい。教えてくれたのは、業務用を主軸とするフランスのチョコレートメーカー、ヴァローナ ジャポン社長のドゥニ・ヴェルニョさんだ。

フランスはヨーロッパ第7位のチョコレート消費国で年間平均1人約7キログラムを消費する(2016年度、フランスのチョコレート組合調べ)。バレンタインにあれだけ盛り上がっても日本は同約2キログラム(2015年度、全日本菓子協会による推計値)。そのフランスで、イースターはクリスマスに次いでチョコレートが売れる時期なのだ。

イースターは、十字架にかけられ処刑されたキリストの復活を祝う祝祭であるため、3月になるとチョコレート店や菓子店の店頭を、新しい生命の象徴である卵型を中心に、卵を産む雌鶏や、多産のため繁栄の象徴とされるウサギなどのチョコレートが埋め尽くす。

イースターの祝日は年により日が変わるが、今年は4月16日の日曜日。3月末に「今年のイースターチョコレートがようやく町のお菓子屋さんに並び始めました」というメールをくれた南仏の小さな町に住む友人は、雌鶏型チョコレートがずらりと店の棚に並ぶ写真を送ってくれた。

「雌鶏チョコには、卵型のチョコレートや飴が入っているんだよ。食べるのが楽しみ!」。そう、卵(高さ20センチメートルほどのものもある)や雌鶏などをかたどった大型チョコレートの中には、ざくざくと別のチョコレートの"お楽しみ"が入っているのだ。

こうしたチョコレートは大方、子どもたちへプレゼントになる。「魚や貝などの形をした小型のチョコレートがたくさん入っていることもあります。私が子どものころは、大きな卵をもらうと大喜びで、小さなチョコレートまですぐに食べつくしてしまったものです」とヴェルニョさんは振り返る。

一方「イースターは、主に子どもたちの祝祭なので、最近では、キリスト教とは関係のない可愛らしい動物のチョコレートも見かけますね」と話してくれたのは、東京や神戸で洋菓子店やカフェを展開するエコール・クリオロ社長でパティシエのアントワーヌ・サントスさん。

3月末から4月の頭にかけて、東京・代官山で人気パティシエ46人によるイースターをイメージしたチョコレートアートの展覧会「ショコラ de イ-スター展」が開催されたが、サントスさんも明るいオレンジ色の可愛らしい金魚の形のチョコレートを出品していた。

魚はキリストの象徴だが「それを意識したわけじゃないですね」と南仏プロヴァンス出身のパティシエは笑う。「ほら、これは最近、フランスの友人が送ってくれたイースターのためのお菓子の写真です」。差し出されたスマートフォンの画面には、何十個と並んだクリクリ目のゾウの形のお菓子が写っていた。

「大きな卵をプレゼントとしてもらうこともありますが、子どもたちの一番の楽しみは"エッグハント"。大人たちが庭に隠した卵型などのチョコレートを、みんなで探すんです」。ただし、チョコレートの食べ過ぎで子どもたちが食事を食べられなくなるため、サントス家では、いつもエッグハントを始めるのはイースターの昼食後と決まっていたそう。

クリスマスほど家族や親せきが集まり特別なものを食べる習慣はないらしいが、サントスさんが子どもの頃は、親戚一同でイースターの食卓を囲んだものだという。そして、お母さんが出してくれたのは、毎年その日のみにテーブルに並ぶ特別な春のサラダ。アンチョビーやツナと合わせたロメインレタスのサラダに、春を告げる黄色いミモザの花のようにゆで卵を散らしたものだ。

そして、メーン料理は子羊のロースト。子羊はキリストの象徴で、これをローストしたものをイースターに食べる人は少なくないようだが、付け合せは各家庭それぞれ。サントス家の定番は、鮮やかな緑色のエンドウ豆やジャガイモのピューレだったという。ちょっと乳くさい子羊には、こっくりとしたバターが香るジャガイモのピューレはぴったりだろう。

ちなみに、先の展覧会にやはり作品を出品していたフランス人パティシエのフレデリック・マドレーヌさんは「子羊のローストには『グラタン・ア・ラ・ドフィノワーズ』がすごく合うんだ」と話していた。

こちらは、薄切りのジャガイモと生クリーム、ニンニクなどを合わせオーブンで焼いた料理。上にチーズをかけることもある。生クリームのまろやかなコクが加わった熱々のジャガイモグラタンは、まだ空気がひんやりとする春の料理には恰好の付け合せに違いない。

夕食に入ったビストロにドフィノワーズがあったので頼んでみた。運ばれてきたのは、グツグツと音を立てるグラタン皿。表面を覆う飴色に焦げたチーズが食欲をそそる。舌をやけどしそうだと思いながら、ジャガイモグラタンを頬張った。文句なくおいしい。「おっ」と思ったのはフランスパンでお皿に残ったソースをすくって食べた時。このグラタンは、ニンニクを具に混ぜず、おろすなどしたニンニクで容器の内側を覆うという調理法で作られたりするため、ニンニクの味が濃くうまみが強かったのだ。

さて、サントスさんはもう一つ、サントス家ならではのイースターの食べ物について教えてくれた。お父さんの手作りブリオッシュ「ラ・ムーナ」だ。「祖父がモロッコでブリオッシュの店を開いていたんです。ラ・ムーナは同地でイースターの時期に食べるもので、父もすごく手間がかかるこのパンを作ってくれたんですよ」

なんでも、翌日にパンを焼き上げるため、夜中に起きて様々な作業をしなければいけないほど作るのが大変らしい。なぜイースターの時期に食べるのか由来は分からないとのことだったが、モロッコの国教であるイスラム教ではイースターを祝うことはないため、おそらくフランスの保護領であったという歴史が影響しているのだろう。

「父は、集まる親戚のためにいつも数個のラ・ムーナを焼いていました。イースターには、各家族が料理を持ち寄ってピクニックをしたりもするんですよ。イースターの食事は、キリスト教の精神にのっとって"分かち合う"ということがとても大切なんです」(サントスさん)。

ラ・ムーナは、バターをたっぷり使った大ぶりの半球型ブリオッシュ。生地にはレモンやオレンジの皮や果汁、オレンジフラワーウオーター(オレンジの花の芳香蒸留水)を混ぜ、上にはざらめ糖がかかっている。

サントスさんのお店には「父の作り方とは違うんだけどおいしいですよ」というオレンジピール入りの大きなブリオッシュがあった。アーモンドスライスがトッピングされたブリオッシュの生地はふんわりと軟らかく、ちぎると外からは見えなかった、つやつやとしたオレンジピールがのぞいた。オレンジピールは上品な甘さで、口の中にさっとオレンジの香りが広がる。明るい陽光の春の訪れを感じる味わいだった。

(フリーライター メレンダ千春)

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