バランス整える
大阪市東淀川区にある高橋ヨガ研究所。受講生は入念な準備運動でウオーミングアップした後、呼吸と意識の集中を伴った頭立ちのポーズ、心身をクールダウンさせる死体のポーズというふうに緊張と緩みのポーズをゆっくりと繰り返していく。
大阪市内の男性会社員(47)は若いころから体が硬く、猫背で姿勢が悪かった。中年になって「このままでは体によくないなあ」と思っていた矢先、肩の痛みで右腕が上がらなくなった。約半年間、はりや整骨医に通ったが改善せず、同研究所に通うようになった。肩周辺を意識したポーズがとりわけ多いわけではなく「普通に受講していたら2カ月ぐらいで痛みはなくなっていた」という。
四十肩五十肩の発症と心身のストレスとの関係を指摘する声は多い。同研究所に通う大阪府茨木市のエアロビクスインストラクターの男性(34)は「身体のことはよく理解しているつもりだが、ケガの予防だけでなく、精神の深い部分で落ち着きにつながり、集中力が高まった」と効用を話す。
同研究所では受講生個々人のカルテを作成。高橋真奈美所長は「呼吸を重視し、心のあり方を整えて、身体のアンバランスを取り除く」よう指導しているという。
体を積極的に動かすことで克服を目指すケースも多い。大阪府高槻市にあるエディタウンゼントジム。プロを目指すボクサー以外にも多くの中高年の男女会員がトレーニングに汗を流す。同市の男性会社員(53)は約1年間通勤電車のつり革を持つことができないほど肩の痛みに悩まされてきた。
今年に入ってジムに入会。ボクシングのトレーニングを始めるとともに、水を入れたペットボトルを持ち、歩行するように腕を前後に動かす運動を欠かさず行うと「いつの間にか肩の痛みがなくなっていた」という。
大阪市の男性公務員(39)も昨年12月、原因は分からないが、急に右肩が痛み、腕が上がらなくなってしまった。今年1月から週3回、ストレッチ、なわとび、シャドーボクシング、ミット打ちなどジムでのトレーニングを欠かさなくなり自然と痛みが消えていたと話す。
同ジムの村田英次郎会長は「日常の動作の中で肩より上に腕を上げることはあまりない。ボクシングは構えた時、拳は顔面あたりで、ひじが肩近くの高さにあり、その位置からパンチを打つために、腕を伸ばしたり縮めたりする。それには肩甲骨周辺の靱帯(じんたい)や筋、腹筋、背筋など体全体を使うことになる。こうした動きが四十肩・五十肩の克服に有効」とトレーニングの効果を説明する。