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イワシ炭火焼、モツ煮… ポルトガルは日本人好みの味

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NIKKEI STYLE

ポルトガルは日本人にとってどこか懐かしい国である。日本の代表的な料理としてすっかり定着している天ぷらが16世紀にポルトガル人によって日本に伝えられたことを振り返れば、日本の食文化に深くかかわっているとの親近感を感じるからだろうか。ポルトガルの料理には日本との共通点が多い。

四方を海に囲まれている日本は昔から魚介類をたくさん食べてきた。ポルトガルも国の半分が海に面しているせいか、欧州有数の魚介類の消費国だという。つまり、両国とも「魚大好き」なのだ。

しかも、そのまま焼くとか、煮付けにするといった素朴な家庭料理が両国の魚好きを魅了している。最近、同国への日本人の旅行者が増えているというが、そんなことが関係しているのかもしれない。

魚大好きポルトガル人が一番好きで、たくさん食べるのが干しダラ。いわば国民食とも言えるもので、365以上ものレシピがあり、1年間毎日違う干しダラ料理が味わえるといっても言い過ぎではない。さらに各家庭に伝わる伝統の味付けや調理法があって、それも含めると何千ものレシピに上るのではないか。

「カトリック教徒が多いポルトガルでは、クリスマスは最も大事な行事で、家族や親しい友人と家でゆっくり過ごします。そのクリスマスのご馳走が干しダラ料理なのです。干しダラは、ほかの西洋の国におけるクリスマスの七面鳥に相当するのでしょうか。大きな干しダラを買ってきて、主婦が腕によりをかけて作るんですよ」とポルトガル投資貿易振興庁の高岡千津さんが教えてくれた。

不思議なことに、ポルトガルではこれだけ干しダラを食べるのに、生のタラは食べないという。そもそも、水産大国ではあるが、タラはポルトガルで水揚げはされず、ほとんどが北欧諸国からのもの。

その理由は16世紀の大航海時代にさかのぼる。ポルトガルは世界に先駆けて新大陸を目指して大航海に乗り出した。そんな長期間にわたる航海に必要な保存食として発達したのが干しダラだった。

そして、塩蔵した干しダラを水に戻すワザも同時に発達した。戻し足りなくても、戻しすぎてもおいしくない。絶妙な戻し加減の模索で干しダラ料理のバリエーションが広がったとみる。

その干しダラ料理の中で定番中の定番といわれるのが「バカリャウ・ア・ブラス」。干しダラをタマネギといため、千切りのフライドポテトとあわせ、卵でとじる。ややB級グルメ感を漂わせる人気料理に、日本人も引き付けられること、間違いない。

干しダラに次ぐ人気料理はイワシ。ただ、料理というには、ややはばかられる。

日本のものよりやや大ぶりのイワシに塩をふり、炭火で焼いて、レモンを搾って熱々を食べるのが大人気。日本だったらしょう油をたらすところを、ポルトガルではオリーブオイルをかけるという違いはあるが、両国の共通する魚大好きぶりが、ここにもあった。

昔はどの街にも、レストランの軒先で、イワシを炭火で焼く光景が見られたというが、欧州連合(EU)加盟時に、環境と景観の保全目的で禁止されてしまったそうだ。今では、1年のうち6月13日の聖アントニオ祭のときだけ、当局は目をつむり、無礼講が許されるとのこと。

ちなみにこの祭、別名は「イワシ祭」。かつての聖人もイワシが大好きだったのだろう。

ところで、ブラジルのシュラスコ料理といえば、牛肉のかたまりを大きな串に刺し、炭火で焼く豪快な料理だが、そのルーツはポルトガルにあるという。サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手の出身地、マディラ島の串刺し料理が伝わったものだという。

もともとポルトガルの串刺し料理は、肉だけではなく、肉と魚を半々の割合で出していた。今もポルトガルのシュラスコ屋さんといえば、肉も魚も炭火でおいしく食べる店として庶民に親しまれている。

ポルトガルに赴任している日本人駐在員も、しょう油をボトルキープしてもらい、シュラスコ屋さんで日本の懐かしいイワシの塩焼を楽しんでいるという。

同国を旅行すると、ポルトガル人がイワシをいかに誇りに思い、愛しているかが、強烈に伝わってくる。土産屋には、店の半分くらがイワシをモチーフにしたTシャツやらアクセサリーが埋め尽くしている。

食べ物では一番人気の干しダラは、かわいい絵にはしにくいのか、圧倒的にイワシだ。

もちろん、イワシの缶詰も"土産"として売っている。置いてある商品がすべてイワシの缶詰という「イワシの缶詰屋さん」もあったし、日本で最近流行っている缶詰バーとは全く異なる、決して低価格業態ではないと思われるレストランのメニューに「イワシの缶詰」があり、上品な白い皿に鎮座まします姿で提供されたのにはたまげた。

いずれにしても、街中至るところにイワシの看板やらオブジェやらがあふれている、まさに「イワシの国」を実感した。

ポルトガルでは、あまり牛肉を食べない。一方、豚肉は、リスボンの東方、アレンテージョ地方にイベリコ豚のようなおいしい豚の産地があり、その郷土料理「アサリと豚肉のアレンテージョ風」が有名だ。

この地方は、コルクとオリーブの木しかない、夏は雨がほとんど降らない地。コルクはカシの木の一種で、ドングリが実る。そのドングリを食べて育つのがイベリコ豚。スペインのイベリコ豚の産地と環境が似ているせいか、アレンテージョ地方でもおいしい豚肉が生産されるのだ。

しかし、なんでまたアサリと合わせるのか。日本では想像がつかない組み合わせだ。おそらく、魚が大好きなポルトガル人がおいしい豚をさらにおいしくするために、豚肉に合う魚介類は何かと探したところ、アサリにいきついたということだろうか。

魚大好きポルトガルだが、ポルトガル第2の都市、ポルトには、魚を使わない、庶民に人気の料理がある。「トリパス(モツ煮込み)」だ。「ポルトっ子」のことを「トリペイロ」(「モツを食らう人」を表すポルトガル語)というくらいで、街を挙げてのモツ煮込みへの愛好ぶりが伝わってくる。

聞けば、これも大航海時代のこと。祖国の地を二度と踏むことができないかもしれない大航海に乗り出す人たちに、最高の肉を提供した際、余ったモツをおいしく食べられないかと工夫したのが、この地の名物になったという。

高級料理ではないので、英語のメニューにはなかったり、裏メニューにしか載っていなかったり、探し当てるのは楽ではないが、ポルトを訪問する機会があれば、ぜひとも味わってほしい。

(中野栄子)

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