除雪が観光資源に 青森空港「ホワイトインパルス」新しい冬の風物詩めざす

隊列を組んで除雪するホワイトインパルス=青森空港管理事務所提供
隊列を組んで除雪するホワイトインパルス=青森空港管理事務所提供

一冬の累積降雪量が10メートルを超す年もある青森空港で迅速な除雪作業を誇るのが除雪隊「ホワイトインパルス」だ。青森県は除雪隊の活動を県内外にPRして観光振興につなげようと愛称を商標登録した。すでに商標を使った商品が登場。年明けには除雪作業を見学するツアーも実施される。ホワイトインパルスは青森の新しい冬の風物詩に躍り出ようとしている。

■40分で作戦完了

「雪国の空港を守る皆さんの活躍は全国に伝わっている」。1日に行われた今シーズンのホワイトインパルス出動式で、県青森空港管理事務所の佐藤敏彦所長は約120人の隊員をたたえた。

同隊は地元建設会社4社で構成。3千メートル滑走路を含む約55万平方メートル(東京ドーム12個分)を40分で除雪する。車両が整然と隊列を組んで除雪する様子が宮城県の航空自衛隊松島基地を拠点とする曲技飛行隊「ブルーインパルス」に似ているとして、県が2013年度に愛称を命名した。

青森空港は日本有数の豪雪地帯にあり、雪質は北海道の雪と比べて水を多く含み重い。それでいて「除雪の遅れによる欠航がない」(空港管理事務所)のが県の自慢だ。

県の担当者が除雪作業の様子を動画投稿サイトに投稿すると一気に火が付き、各方面から注目を集めた。一方で、知名度が上がるにつれて勝手に愛称を冠した商品が散見されるようになった。

そこで県は今年8月に愛称を商標登録。除雪隊のイメージ低下にならないよう県の管理下で事業者に商標の活用を促し、ブランド化を図ることにした。ちなみに先輩のブルーインパルスは人気が高く多くの関連グッズがあるが、防衛省は「商標登録はしておらず、公序良俗に反しなければ自由に使っていい」(航空幕僚監部広報室)という。

青森県はホワイトインパルス商標について、食品や化粧品、玩具、衣料品、文房具などへの使用を想定。事業者は県に申請して使用許諾を受ければ、無料で商品やサービスに使用できる。

鹿内組が発売したホワイトインパルスキャンディー

使用許諾第1号が建設会社の鹿内組(青森市)が発売した「ホワイトインパルスキャンディー」だ。同社はこれまでも愛称を使ってきたが、今回、正式に商標の使用許諾を受けて、のどに優しい蜂蜜や弘前大発の機能性成分「プロテオグリカン」を配合した新商品を従来より100円高い350円で発売した。

木村理常務は「立派な名前を使わせてもらうので商品をグレードアップした」と話す。来シーズンは除雪隊員や建設作業員向けのリップクリームの商品化を検討する。

■東京発ツアーも

旅行会社のクラブツーリズム(東京・新宿)は来年1、2月にホワイトインパルス見学ツアーを東京発で3回実施する。名古屋発も2回の実施を検討中だ。青森市内に前泊し、早朝の除雪作業をバスの中から見学する。国内旅行部の山岡啓之課長は「ずらりと並んだ除雪車は圧巻で青森でしか見られない素材」とツアーの魅力を語る。

同社は今年1月、初めて東京発の見学ツアーを1回実施し、38人が参加した。「迫力があって大満足」「ホワイトインパルス見学だけのツアーがあればいい」など評判は上々で、今冬は名古屋発を含めて大幅に増やすことにした。実際に見学できるかどうかは天候によるが、ここ10年では1~2月の除雪回数は平均160回近く、見られる可能性は高い。

空港ビルを運営する青森空港ビル(青森市)も見学ツアーを歓迎する。ツアー参加者は空港で朝食を取るなどテナントの売り上げ増につながるからだ。同社は除雪作業が始まると空港ロビーの大型モニターでライブ中継する。空港のレストラン「ロイヤルカフェ」は「ホワイトインパルスカレー」を滑走路を描いた皿とスコップの形をしたスプーンで提供している。

青森空港ビルの杉田真総務課長は「早朝の除雪作業を見るには青森市内に前泊する必要があり、空港だけでなく青森観光全体の活性化につながる」と期待している。

(青森支局長 森晋也)

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