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女性に生涯寄り添う、産婦人科医をかかりつけ医に

2017/3/8

小田瑞恵・こころとからだの元氣プラザ診療部長、医学博士

 毎年3月1~8日は「女性の健康週間」。日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は、この時期に女性の「生涯の健康」を総合的にサポートするための様々な取り組みを行っています。こころとからだの元氣プラザ・診療部長の小田瑞恵先生に、女性の健康環境について聞きました。

多様化する女性の生活環境 トラブルも複雑に

――女性の健康を取り巻く変化についてどう感じますか

小田 現代の女性のライフ“スタイル”は非常に多様になりました。晩婚化が進み、生涯独身生活を送る人も増えています。子どもを産む人もいれば、産まない選択をする人もいます。家庭に専念する人がいれば、生涯仕事に打ち込む人、両立を希望する人もいます。一方、女性のライフ“サイクル”は思春期、性成熟期、更年期、老年期と年代によって分かれ、それぞれのサイクルで健康リスクが異なります。当然、人によりスタイルとサイクルの組み合わせは違ってきますので、発生するトラブルも複雑です。

 私たち産婦人科医は、複雑化・多様化した現代女性の生き方に寄り添いながら、健康面をきちんとケアしたいと考えています。そのために、ぜひ産婦人科のかかりつけ医を持っていただきたいと思うのです。

 一昔前、産婦人科は妊娠・出産の際、または病気になってから初めて行く場所でした。月経痛や更年期障害などは「我慢するのが当たり前」といった風潮もありました。でも、女性の身体の不調には個人差がありますし、軽い症状でも重大な病気が潜む場合があります。

 そんなときにもその人のライフスタイルや健康状態をきちんと把握しているかかりつけ医がいれば安心です。実際に欧米では、産婦人科のかかりつけ医を持つことが一般的で、母親が自分のかかりつけ医に娘を紹介することも当たり前です。

――かかりつけ医の役割とは

小田 かかりつけ医がいれば、ご自身の身体のちょっとした変化や不調、不安も相談しやすくなるし、きめ細かいアドバイスを受けることもできます。例えば思春期のお嬢さんが月経痛を感じたときも、痛み止めなどで対処してしまうケースも多いと思いますが、子宮内膜症なども若年化しているので、自己判断せずに相談しましょう。家族には避妊や性感染症の予防などは話題にしづらいでしょうが、かかりつけ医には相談しやすいと思います。

変化や不調を見逃さず 親身になったケアを

 性成熟期に入ると、婦人科の様々な疾患、例えば子宮内膜症、子宮筋腫や子宮頸(けい)がんなどのリスクが高まるため、定期的な検査やケアが必要です。いつ妊娠したいかなど、ご自身の人生設計に合わせた希望があると思いますが、「妊活」をどうするかなど、その人のライフスタイルと健康リスクを把握しているかかりつけ医がいれば適切なアドバイスを得られるでしょう。

 更年期を迎える女性の場合は、女性ホルモンの低下によるのぼせ、ほてりなどの一時的な症状のほか、コレステロールや血圧の上昇による生活習慣病の発症などにも注意を払う必要があります。

 さらに閉経後から骨粗しょう症のリスクも高まり、老年期には骨折などにより寝たきりになるケースもあります。日本人は平均寿命に比べ、健康寿命は決して長くありません。かかりつけ医による閉経前後からの健康管理は健康寿命の延伸にも大事なことです。

 産婦人科は、このような変化に富む女性のライフサイクルすべて、すなわち女性を生涯にわたってケアする唯一の科なのです。

職場や家庭での理解深まる より正確な情報の入手を

――女性自身やパートナーが気をつけるべきことはありますか

小田 もちろん女性の健康の向上には、セルフマネジメントも欠かせません。身体のちょっとした変化にも敏感であってほしいと思います。月経サイクルの乱れとか、月経以外の出血などにルーズにならずに、健康に対するサインと受け止め、かかりつけ医に相談してください。

 女性自らが健康や妊娠・出産などについて知識を持ち、理解を深めることも大事です。例えば自身のキャリアアップのために妊娠を先延ばしにする方も多いと思います。しかし妊娠・出産には生物学的に適齢期があること、そして生殖医療には限界があることを理解した上で判断してほしいと思います。

 男性のパートナーや職場の方にも女性の健康状態に日常的に気を配っていただきたいと思います。きちんと検診に行っているか、声をかけてあげてください。女性は月経の前にも月経前症候群という特有の症状があり、気分的に落ち込むとか、感情が不安定になるなど心理的トラブルを抱えがちです。そうした知識も持っていただくと家庭や職場の雰囲気も変わるのではないでしょうか。

 一般の方々にも、女性の健康についてもっと知識と理解を深めていただきたい、そして女性を生涯にわたって支える産婦人科医をもっと身近に感じてほしいという思いから、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会は2005年、共催で「女性の健康週間」をスタートしました。以来12年、職場や家庭でも、女性特有の健康リスクについての認知は進んでいると思います。母親が娘さんをクリニックに連れてくるケースも増えているように感じます。

 とはいえ、不安な面もあります。インターネットの普及で、多くの人が膨大な情報に接するようになりましたが、残念ながら正確な情報を得ている方は少なく、トラブルになりがちです。そんなときも、かかりつけ医に相談してくれれば適切なアドバイスを得られます。私たちも健康週間に合わせ、様々なイベントや各地域での市民公開講座など、啓発に力を注いでいます。そのような機会を活用し、女性の健康について理解を深めていただきたいですね。

小田瑞恵(おだ・みずえ)
こころとからだの元氣プラザ診療部長 医学博士
 東京慈恵会医科大学卒。東京慈恵会医科大学附属病院、東京都がん検診センターを経て、2002年からこころとからだの元氣プラザ勤務。05年の「女性の健康週間」立ち上げに参画。専門分野は婦人科がん検診(子宮頸がん・体がん)。

「女性の健康週間」 3月1~8日
 産婦人科医が女性の健康を生涯にわたり総合的に支援することを目指し、3月3日のひな祭りを中心に3月1日から8日の国際女性の日までの8日間を「女性の健康週間」と定め、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会の共催で2005年にスタート。08年からは、厚生労働省も主唱する国民運動として様々な活動を展開しており、今回で13回目を迎えた。

[2017年2月公開の丸の内キャリア塾を再構成]

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