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「東京最強」カツサンド 肉厚W豚カツを厚切りパンで賢人コラム(森一起)

2017/2/27

「ちょうど50を過ぎた時、コックコートを脱いだんです。寛いで、ビールでも飲みながら、好きな料理だけをゆっくりお客さんに楽しんでもらいたいから」。

Summary
1.池尻大橋・246旧道に面した洋食店のスタッフはみな血液型がB型というのが店名の由来
2.「銀座千疋屋」で修業後独立したご主人の作る料理、まず必食はポークソテーか?
3.超人気アイドルグループの番組でも取り上げられた東京最強のカツサンドとは?

その日から、店主の牧野強さんはトレードマークのバンダナと、“B”のロゴが入ったTシャツで厨房に立っている。初めてドアを開けた時、店にはナンシー・シナトラの「サマーワイン」が流れていた。同世代の匂いを感じながら黒板のホッピーを頼むと、「お通し代わりに!」とモツ煮が出てきた。

西洋に憧れ続けた日本人の幻想が作り上げた洋食

洋食屋でモツ煮? そう思いながら箸を伸ばすと、予めスモークされたトリッパが鼻腔をくすぐった。

店主の牧野強さん

洋食とはWestern food、しかし、紛れもない和食だ。限定したある国ではなく、漠然と西洋に憧れ続けた日本人の幻想が作り上げて来たユニークな食の体系。ハンバーグ、カニクリームコロッケ、生姜焼き、海老フライ、カキフライ、カレーライス。

いつの日にもそれは、庶民たちのハレの食事だった。

休日にはデパートの大食堂に行き、家族みんなで洋食を食べる。洋食はいつも、胸躍る幸福感に包まれていた。

寒い時季には、やはり注文したくなるカキフライ

だから、お子さまランチは今も洋食メニューで飾られている。

小5の夏、秋田のデパートで洋食を食べた時からずっと、牧野少年の夢はコックだった。洋食をやるなら、銀座しかない。上京して料理学校を卒業したら「銀座千疋屋」に飛び込んだ。

「資生堂パーラー」「煉瓦亭」「みかわや」「千疋屋」…、銀座は日本の洋食のメッカだった。「千疋屋」で洋食のイロハを徹底的に叩き込んだ後、池尻で独立した。

まさに阿吽の呼吸がある厨房

最初の店は地下にあり、今も阿吽の呼吸で横に立つ同級生をはじめ、スタッフ全員の血液型がB型だったから“B”という店名にした。その後、かつての大山街道沿い、246旧道の路面店に移転しても店名はそのまま。

レストランではなく「洋食や」、それは牧野さんの潔い決意だ。

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