「パパイアというと、食後のデザートを想像されるかもしれませんが、ここハワイは違いますよ。ボリュームたっぷり、栄養満点。私たちは毎朝、パパイアを半身に切って、砂糖をたっぷりのせて食べます。これがハワイの朝食の定番です」。
10年ほど前、米国ハワイで農務省(USDA)を取材したときのこと。話が余談に及んだとき、職員が話す極楽ハワイ生活に思わずのめり込んだ。
日本国内ではほとんど生産されないパパイアは、高級フルーツ店で輸入品が1個1000円ほどはする。日本でまねなどできるわけがない。
ハワイでパパイアは、当時も今もスーパーで1個(約500グラム)1ドル程度。見栄えの悪いものが3~4個袋に入って1ドルというお得用もある。ハワイで毎朝食卓に上るのも納得だ。

そんな憧れのハワイ産パパイア「レインボー」が最近、日本にも登場し始めた。
ハワイ発のカジュアルレストランで、日本国内でも17店舗展開している「Eggs' n Things(エッグスンシングス)」が昨年から定番メニューとして提供している「パパイヤボード」(税別880円)がその代表例だ。

グラノーラをしいた上に半身に切ったパパイアがのり、ホイップクリームがたっぷりと添えられている。「Eggs 'n Things」の店舗コンセプトが“All Day Breakfast”であり、まさに冒頭のUSDA職員が話してくれたハワイの朝食が、ハワイらしさの中で体験できる。

オアフ島のローカルタウン、カイルアをテーマにしたハワイアンカフェ&ダイニング「カイルア・ウィークエンド渋谷」(「渋谷hikarie」7FのTABLE 7)でも、ハワイ産のパパイア「レインボー」を添えた「ハーブマリネ・チキンのエッグベネディクト」(税別1180円)が人気だ。

中華ファミリーレストランの「バーミヤン」が昨年、夏季限定キャンペーンで提供した「フレッシュパパイヤボード」(税別499円)も、こうした流れに乗ったもののようだ。「ここ数年、パンケーキ、特にハワイアンパンケーキがブームで、流行のレストランやSNSなどでパパイアのメニューを見る機会が増え『レインボー』に着目したことがメニュー開発のきっかけです」(すかいらーく)。
こちらも、パパイアを半身にカットし、その上にたっぷりのホイップクリームをかけ、ブドウとマンゴーをトッピング。イチゴのソースをあしらったトロピカルな盛り付けだ。「見た目のインパクトが大きいうえ、ホイップクリームがたっぷりのっているため、ホイップ好きのお客様にご好評をいただきました」(同)という。

このほか、コーヒーチェーン店や都内のホテルの宴会メニューなどにも導入されていて、もはやハワイに行かないと食べられない憧れではなく、日本に居ながらにしてハワイを味わえるようになった。