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よっし / PIXTA

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あなたは「愚痴」を抱えていませんか? 毎日をつつがなく暮らしているつもりでも「苦手な人との付き合い」や「漠然とした不安や心配」など、愚痴のタネには事欠きません。不平不満、愚痴のたぐいはできる限り口にしないという人は結構います。言ったところで、事態が好転するとは限りませんし、相手のあることならば誤解のもとを増やすだけですから、我慢を決め込む方も多いでしょう。

他人への愚痴トークは迷惑の押し売り

しかし、ストレスがたまれば、やがて爆発。誰かに愚痴をこぼせばすっきり、その間は楽しいもの。しかし、一人になると「あんなことを言ってしまったけれど、迷惑だったな」「ここだけの話と念を押したけれど、おしゃべりするかもしれない」などと、別の心配にさいなまれます。こんな経験はあなたにもあるでしょう。

書籍や寄稿で「不平、不満、不安、不信感、クレーム、愚痴、自慢」は運や縁を遠ざける「七戒」として、「言わぬが花だ」と著してきた私ですが、心の中では、こうした思いに支配されることはたびたびです。私はささいなことを気にするのです。本当は人に愚痴を言いたくて仕方がありません。しかし、それは相手の大切な時間を奪い、周囲をネガテイブな思いに巻き込むことに他なりません。ですから、我慢をして自分の中にため込んでいた時期がありました。

愚痴を書き出せば素直になれる

我慢を重ねれば、ささいな愚痴が大きな愚痴に育ってしまいます。人相が悪くなり、いつもイライラしがちになり、言葉づかいも荒くなりかねません。人は機械ではありません。我慢するにも「限界」があるのです。そこで積極的に愚痴を紙に書き出すようにしました。

ポイントは「今の気持ちを思いつくまま書く」「自分の言葉で書く」。あれこれ考えずに「今、口にしたい愚痴」をどんどん書いていきます。

たとえば「●●さんのせいで、仕事が増えた」「△△で困っている」「○○さんの言葉づかいがかんに障る」「少しは休みたい」「どうして□□さんは、私を認めてくれないの?」などなど。呆(あき)れるほどの愚痴が、紙に吐き出されました。

書き出してはじめて気づいた「愚痴の原因」

愚痴は言うのも聞くのもはた迷惑。「私は礼儀正しい大人なのだから愚痴なんて絶対に言わない」と、カッコつけていたけれど、無理をしていた自分に気づきました。そして、並べられた愚痴の数々を眺めて、その理由にたどりついたのです。

紙に愚痴を書くのは自分と向き合うポジティブになる行動であり、他者に愚痴をぶつけネガティブな気を吐き出しストレスを解消するのとは別物なのです。

den-sen / PIXTA

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愚痴を「ポジティブな行動」に変換しよう

愚痴が生じる理由が分かれば、もんもんとすることがなくなります。たとえば理由が人ならば「なぜその人が苦手なのか?」「私の思い込みではないかしら?」。体や健康に関することならば「休日の過ごし方はこのままでいいのか?」「健康診断はしていても、歯科の検診に行っていないな」などと、よりはっきりしてきます。それは自分自身がカウンセラーになる感覚です。

すると、「苦手だなんて思い込まないで、●●さんに、明るく挨拶をしよう」「○○のせいでなんて逃げないで、○○のおかげと捉えて行動しよう」「良質な睡眠をとれば、体調もよくなって良い笑顔になる!」「きれいな歯になれば、自信を持って会話ができる!」と、ネガティブな愚痴が、ポジティブな行動の呼び水になります。

さらに解決法まで導きだせたならば、自分に向けて「さすが、由妃さん」「すごいぞ、私」などとほめ言葉をひと言プレゼントしましょう。大きな愚痴、長年抱えていた愚痴の解決法までたどりつけたならば、愚痴解消記念日として「ちょっとしたプレゼント」を自分にするのもいいでしょう。

ずっと大嫌いだった相手とも「和解」

実は私自身、23年もの間「大嫌い」と毛嫌いしている方がいました。最初は私に対しての接し方に疑問を覚え、「感覚的に合わない」というレベルだったのが、「自信過剰な人」「傲慢な人」「大嫌いな人」に心の中で育ててしまったのです。

しかし、仕事で顔を合わせますし、考えれば「大嫌い」という感情はあってもその理由は明確ではありません。そこで、3つの対処法を決めました。

(1)挨拶はきちんとしても、無駄な話をしない
 「こんにちは、○○さんいいお天気ですね」
 「おはようございます○○さん、ご活躍ですね」
(2)心を開いて、笑顔で話しかける(質問をする)
 (ほほえみながら)「○○について教えていただきたいのですが……」
 「○○はこういう意味でいいのでしょうか?」
(3)付き合いをやめる

まず、(1)から始めました。すると相手が明らかに私と話をしたそうなそぶりを見せたのです。

ならばと、(2)の心を開いて、笑顔で話しかけ、質問をしました。そうすると、大嫌いという感情は消え、お互いの共通点が見つかり会話も弾みました。当然、(3)の付き合いをやめるという選択肢はなくなりました。

これまで愚痴を他者にぶつけてきた人も、抱え込んでもやもやしてきた人も、愚痴を書いて理由を探り対応するようにすれば、人間関係でのあつれきや誤解に悩まされることなく、人柄のよい好感度抜群のあなたに変身します。

次回は「自意識過剰の自己紹介」で損をしていませんか?です。

具体例を交えながら解説していきます。お楽しみに!

「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は3月1日の予定です。

臼井 由妃(うすい・ゆき)
ビジネス作家、エッセイスト、講演家、経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫)
公式サイト http://www.usuiyuki.com/

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