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新宿ゴールデン街の歩き方 文豪の孫が受け継ぐ夜文化賢人コラム(森一起)

2017/1/16

鳩の町、黄金町、あいりん地区、哀しげな街には幸せな名前が付いている。新宿ゴールデン街は、その最たるもの。すなわち黄金郷、エルドラドだ。旅路の果てのユートピア、ザナドゥと呼ぶ国もある。

それが新宿区役所にも満たない土地に、200軒以上の小さな飲み屋が連なる場所だと、いったい誰が想像するだろうか。

あかるい花園1番街

GHQ指導の元、1949年に撤廃された、新宿駅前の闇市から発展した一杯飲み屋街・竜宮マート。その移転先が、現在のゴールデン街だ。

建築基準法と売春防止法、風俗営業法に翻弄されながら、1960年代には作家や詩人、漫画家、アーティスト、映画関係者が集まる街として脚光を浴び始める。

1976年には常連の中上健次・佐木隆三が芥川賞と直木賞の受賞者に決定。ゴールデン街の名声は頂点に達する。

街のハードルはぐっと低くなった

その後、20世紀最後の年に成立した定期借家法で、若いオーナーたちが次々と出店。街のハードルはぐっと低くなり、いかがわしさと怖さは減ったが、その分、文化度は低くなっていく。

そんな中、吹き抜けの天井まで続く本棚に、圧倒的な数の蔵書が並ぶレモンサワー専門店がオープン、正統なゴールデン街の復権として話題を呼ぶ。

オーナーは田中開氏、そして、蔵書は祖父・田中小実昌氏のコレクション。ゴールデン街のアイコンとして愛された直木賞作家・コミさんの孫の出現に胸躍らせて、僕のゴールデン街通いも復活した。

今宵のナビゲーターと

今回は、今やすっかり世代・年齢を越えた飲み友となったカイくんのナビで、彼が愛する現在の新宿ゴールデン街をはしご酒ツアーする。真のゴールデン街を継承する使命を受けて生まれたレサワ王子カイくんと、いざ新宿のエルドラドへ!

Summary
1.界隈一の大人気店「The OPEN BOOK」店主・田中開さんがコワくない穴場5軒を案内
2.おいしい料理をサッと食べるなら、な超オススメの2軒
3.自然派ワインが楽しめるバーから、この界隈を知り尽くした名店まで

【The OPEN BOOK】いきなり最終目的地からのスタート

去年の春に開店し、たちまちゴールデン街を代表する人気店になった「The OPEN BOOK」。もちろん、はしご酒のオープニングはカイくんの店から始めよう。

The OPEN BOOKのカウンター

今でこそ、東京中の居酒屋がオリジナリティーに富んだレモンサワーを競い合うようになったが、開店当時、クラフトビール用のランドルフィルターを駆使したOPEN BOOKのレサワは衝撃的だった。

かつてのゴールデン街の匂いを蘇らせただけでなく、レモンサワーブームに火を点けたのもカイくんの大きな功績だ。

看板メニューのレモンサワー

レサワ界のトップを走りながら、常に進化を怠らない店の新メニューは御茶サワー。水出しした御茶に和三盆を加え、耐圧ボトルから注がれる御茶サワーは出逢ったことのない味。レモンサワーに続く大ヒットになりそうだ。

たっぷり飲みたい派には、レモン、御茶ともに1,000円で大もチョイスできる。

店内には本棚が

ビールはクラフトビール、ワインはヴァンナチュールと、カクテル以外の酒も、もちろんうまい。

「おじいちゃんに会ったことがある人や、読者だった方にここで出会えるだけでも店を作って良かったと思います」

瞳をキラキラさせてカイくんが言う。

おじいちゃんの蔵書を並べる

おじいちゃんが愛した街に、おじいちゃんの蔵書を並べる。1人の孫の洒落たアイデアは、消えかけていたゴールデン街の文化に、再び灯をともすきっかけとなった。

ありがとう

ありがとう、カイくん、ありがとう、OPEN BOOK、ありがとう、コミさん。

さあて、そろそろゴールデン街の海へ漕ぎ出そう!

<メニュー>

チャージ300円、レモンサワー700円、御茶サワー700円、グラスワイン800円、ビール900円、カレートースト700円、スナック300円

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。

The OPEN BOOK
住所:〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-1-6 あかるい花園5番街
電話番号:080-4112-0273
営業時間:18:00~26:00
定休日:無休
公式サイト:https://www.facebook.com/theopenbook2016/?fref=nf
*上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。
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