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MM4 / PIXTA

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仕事や人づきあい、家事などに追われるときには、誰かにサポートしてほしいと思うものですが、「相手も忙しいのだから」「時間がないのは、私だけではない」と、自分のことは自分で片付けようと、あきらめていませんか?

「迷惑をかけるから」「嫌われるのが怖いから」と、本当は頼みたいのに自分の気持ちを抑え、我慢する。あなたにも、そんな経験があるでしょう。

頼み事は人間関係を深くする

頼むことは「相手に悪い」「時間や労力を奪うことになる」――。そんなデメリットに目が向いてしまいがちですが、頼むことで生じるメリットは大きいのです。

1)頼むべきかどうかの判断力が増す

2)自由な時間が増え、仕事や家事の質が高まる

3)自分の思いを素直に伝えることで、本物の人間関係が生まれる

最大のメリットは「自分の思いを素直に伝えることで、本物の人間関係が生まれる」ということ。相手の主張にいつもうなずいたり、沈黙を決め込んでいたらあなたの思いは届きません。

反対に、自己主張に終始する人や相手に話す間を与えないような「一方通行のコミュニュケーション」は、「会話マシーン」のよう。そこに人柄や情を感じることは、できないでしょう。

人間関係は、言葉を交わすことではじめて成立します。極端な話、「ひと言」で人生を輝かせるような出会いが生まれることもあれば、壊れることもあるのです。

だからこそ「ひと言」を吟味して、言い回しや伝え方にも注意を払う。特に、「頼む」というシチュエーションでは、単に自分の思いを一方的に伝えるのではなく、相手が気持ちよく協力ができるような話し方をすることが欠かせません。

相手は自分を映す鏡

コミュニュケーションにおいて「相手は自分を映す鏡」だと、私は理解しています。ですから、自分が言われて嫌なことは決して口にせず、相手を自分だと思って接しています。すると、トラブルや誤解が生じやすい「頼み事」も、うまく運ぶのです。

1)頼む理由を明確にする

頼まなければいけない理由や状況をはっきりさせなければ、相手は腑(ふ)に落ちません。納得できる理由を、必ず示しましょう。

ただし「忙しいから」とか「時間がないから」「手が離せないから」は、理由になりません。誰しも忙しく働いているのですから、こうした類いの発言は「上から目線」で、反感を買うだけ損です。

2)頼むタイミングを見計らう

終業時間や始業間近、重要な会議を控えているときや、相手が考え事をしているときなどに、頼み事をするのは、タイミングがずれているといえます。

そうは言っても、いつも忙しそうにしている人は、どのタイミングで「頼み事」をしたら良いかを推し測るのは、難しいでしょう。

そういう時、私は「今、お話ししてもよろしいですか?」「3分ほど、お時間をいただけますでしょうか?」というように、お伺いをたててから、本題である「頼み事」を伝えています。

プラナ / PIXTA

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心を動かす「あなたを見込んで」の姿勢

「あなただから頼みたい」「あなたを見込んで頼みたい」という姿勢は、相手の能力や人間性を高く買っている証しです。誰かのお役に立ちたい、頼りにされたいという思いは、誰しもありますから、こういう姿勢には弱いのです。ですから、「あなたを見込んで頼みたい」と言われたら、忙しくても時間がなくても、ひと肌脱いでもらえる可能性が広がります。

そして頼み事をする際は、いい意味で「乗せる」。「この仕事は●●さんにしか、できないと思います」「●●さんから教わりたいですから」など、相手が気持ち良くなる言葉を伝えます。

さらに、自分の言葉でほめる。「この分野は●●さんに、かなう者はいません」「●●さんの△△に惹(ひ)かれているので」などと、素直な言葉でほめるのもいいでしょう。

最低でも3回感謝を伝える

頼み事を相手が受け入れた途端に、態度が豹変(ひょうへん)するようでは、人間性が疑われますし相手のやる気をそぐことになり、望む結果は得られません。ですから、「頼み事を受け入れてくれた時」「その最中」「終わった時」――少なくても3回は、「ありがとう」「ありがとうございます」「本当にありがとう」などと、感謝の言葉を口にしましょう。

相手が恐縮して「そんなに感謝してもらわなくてもいいよ」とか、「たいしたことじゃないから」と言われても「●●さんのお力添えのおかげで、うまくいきました」「助かりました」と、最後まで気を抜かず感謝を伝えましょう。

頼み事をする際に「ありがとう」を出し惜しみしない。これは、人間関係を深め人生がうまくいくコツでもあります。

次回は、言い換えで仕事が楽しくなる、毎日が明るくなる「言葉マジック」です。

お楽しみに!

 「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は1月11日の予定です。
臼井 由妃(うすい・ゆき)
ビジネス作家・エッセイスト・講演家・経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫)
公式サイト http://www.usuiyuki.com/

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