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初対面で、相手はあなたの印象を瞬時に判断するものです。

残念なことに実力には差がないのに、外見がいい人はプロジェクトの責任者に抜てきされたり、大きな仕事を任されたりするのに、そうでない人は、謙虚に振る舞っているつもりが「お世辞」や「媚(こ)び」に捉えられたり、嫌みな人間に見られたり。

不公平だと感じても、私たちは外見の印象から「好きか嫌いか?」「敵か味方か?」を判断するようにできているのです。

もちろん、いくら外見を磨いたとしても、素直だったり正直だったり、気配りができるなど話し手の内面が伴わなければ、円滑な人間関係を育むことはできません。内面を充実させるのは、当然です。

しかし、初対面で相手を引きつけられるとしたら、それを身につけるのは、ビジネスパーソンにとって大きな武器になります。では、どんな外見であれば相手は好感を持ってくれるのでしょうか?

誤解しないでくださいね。もちろん美男美女でなければ好感を抱かれないとか、スタイルが良くなければ話を聞いてもらえないということではありません。外見がいい人になるカギは「姿勢」と「表情」「声」にあります。

実は、人が信頼や好感を抱くのは「非言語情報」である身ぶりや手ぶり、ヘアスタイルや服装、表情、姿勢などの「視覚情報」と、声のトーンや抑揚、声質などの「聴覚情報」であって、話の内容や上手な話し方などは、あまり影響を与えないといわれています。人は何を話すかよりも「どう話すか?」に、引かれるのです。

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自信は「姿勢」で生み出せる

高級ブランドのスーツを身に着けていても、姿勢が悪ければ自信がない人に見られますし、量販店で販売されている安価なスーツを着ていても、姿勢さえ良ければ「できる人」「信頼できる人」に見られるといっても過言ではありません。

では、どんな姿勢が良いのでしょうか? 姿勢を正す第一歩として、常に胸を張る意識を持つことをお勧めします。まず背筋を伸ばし、胸を張ります。

この時、一度肩を思いきり上げて落とす意識で力を抜くといいでしょう。肩の位置が体より前に行っていると、胸を張っているつもりでも自信がないように見えますから、背筋を伸ばし、胸骨を開くような意識で胸を張り、肩の位置が前にいかないように一度上げてから力を抜くようにします。

その状態で手を太ももにつけ、左右の指先の位置がそろっているか確認しましょう。この姿勢が基本です。胸を張ることによって、堂々と自信に満ちた人に見えますし、姿勢を保とうという意識が、何気ないしぐさにも余裕を持っているように働きます。

一方で、自信たっぷりの印象が逆に嫌みとなって損をしてしまう場合があります。その際たるものが、「腕組み」です。偉そうに見えるだけでなく、「あなたを拒絶しています」と表しているようなもの。私の場合、「この人は案外臆病なのではないか?」「虚勢を張っているだけだ」と考えてしまいます。

表情は姿勢に比例する

表情は姿勢に比例します。腕組みをしようとした瞬間、眉間にシワがよりますし、ため息をつくと背中が丸まって眉が下がり、頬もたるんでくるものです。その姿を想像してみてください。ぞっとしますね。仲良くなりたいとは思わないでしょう。

自信にあふれた表情の要は、姿勢を正すことです。私は、人に接する時には心にハートを描きながら「あなたを受け入れます」と、「オープンマインド」であることを意識しています。

ただし、安売りのように笑顔を振りまいたり、過剰に相手を見つめることは慎んでいます。「目は心の窓」とか「目は口ほどにものを言う」といいますが、相手を強く見つめすぎれば見下したイメージやばかにした感が否めませんから、目力は控えめに。柔らかな表情で見つめるようにしましょう。

声はあなたの楽器です

見た目が堂々としていて表情も明るいのに、聞き取りにくい声ではひと言で「レッドカード」。声を聞いた途端に、あなたへの興味はうせるでしょう。

逆を言えば、正しい姿勢で自信のある表情から、聞き取りにくい声や小さな声を出すのは至難のワザといえるのです。姿勢を正し豊かな表情でリラックスして発声すれば、自信ある印象が醸し出されます。さらに、ストレートに声を出すのではなく、放物線を描くようなイメージを持ってください。すると優しく柔らかく相手に届きます。

人間の声は、「楽器」だといわれますが、単なる楽器ではありません。私たちは感情を持った生き物ですから、喜怒哀楽を声として表現することができます。人間の声だからこそ、それが聴く人の心の琴線に触れる――これこそが、声の魅力なのです。

そうはいっても、緊張すれば自然な発声ができなくなります。そんな時には姿勢を正して、深呼吸をゆっくりと3回繰り返しましょう。あなたらしい「素直な声」が生まれます。話し方というと、話術や話の内容に気持ちが向いてしまいがちですが、それよりも大切なのは、自信につながる姿勢や表情、声を意識することです。

スピーチやプレゼン、自己紹介などで人前に立った瞬間から興味を引き「すてきな人だ」「会話をしたいな」と思わせる。声を発した瞬間に「心地良さ」を感じてもらえる。それは、あなたの話に耳を傾けてもらえるきっかけになりますし、最後まできちんと話を聴いてもらえればあなたの能力や魅力を知ってもらえます。ひいては、評価を上げることにつながるのです。

即、うまくなるのは厳しいかもしれませんが、日ごろのコミュニュケーションの場で、失敗を恐れず実践してみてください。やがてどんな場であっても、相手は誰であっても自信を持って臨めるようになります。話しベタや恥ずかしがりや、小心者、上がり症を自認するあなたであったとしても、自信あふれる印象に変身するはずです。

 「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は12月28日の予定です。

[2016年12月6日公開のBizCOLLEGEの記事を再構成]

臼井 由妃(うすい・ゆき)
1958年東京生まれ。健康プラザコーワ、ドクターユキオフィス代表取締役。理学博士、健康医科学博士、MBA、行政書士、宅地建物取引士、栄養士。33歳で結婚後、病身の夫の後を継ぎ会社経営に携わる。次々にヒット商品を開発し、独自のビジネス手法により通販業界で成功をおさめる。日本テレビ「マネーの虎」に出演。経営者、講演者、経営コンサルタントとして活動する傍ら、難関資格を取得した勉強法も注目される。ビジネス作家としても活躍。著作は50冊を超える。

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