免税手続き一括スイスイ 金沢、インバウンド対策磨く

2016/12/18

オリパラSelect

商店街の買い物を合算して免税手続きができる(金沢市の大和香林坊店)
商店街の買い物を合算して免税手続きができる(金沢市の大和香林坊店)

金沢市の中心市街地で外国人観光客の利便性や安心感を高める取り組みが広がっている。商店街の買い物の免税手続きを1カ所で済ませられる窓口が相次ぎ始動。地域の商店や交番が英語での対応力強化に動く。クルーズ船の寄港拡大などで北陸を訪れる訪日客(インバウンド)需要は増え続けており、街を挙げて受け入れ態勢を整え消費拡大につなげる。

金沢市中心部の百貨店「大和香林坊店」1階の案内カウンター。午後7時半の閉店時間が近づくにつれ、外国人の人だかりが目立つ。買い物のレシートを提示し消費税の還付を受ける免税手続きが目的だ。大和によると「普段は1日数十人だ。閉店間際に駆け込みで来るケースが多い」という。

このカウンターでは1日から、香林坊、片町、竪町の近隣3商店街の45店舗の免税手続きを一括で行えるようになった。合計の消費額5千円以上で免税を受けられる仕組みで、訪日客に商店街の回遊を促す。香林坊商店街振興組合のの関係者は「最近は欧米の観光客を商店街でよく見かける」と手応えを感じている。

同様の一括カウンターを持つ「免税商店街」は金沢市では2カ所目だ。今年2月には近江町市場を含む武蔵地区の5商店街が百貨店「めいてつ・エムザ」内にカウンターを設置。現在は37店が加盟している。金沢中心商店街武蔵活性化協議会の長田憲道事務局長は「九谷焼などの工芸品店に加え、衣料品店や仏具店にも外国人が来ている」と誘客効果を指摘する。

観光庁によると、石川県の外国人延べ宿泊者数は今年1~8月累計で約43万5千人泊と前年同期比29%増。北陸3県でも2割弱のペースで伸びている。北陸新幹線の効果に加えクルーズ船の寄港が急増。金沢港への寄港は来年50隻を超える見通しで、外国人客の増加に弾みが付いている。

3県全体の免税店数も10月1日時点で731店と1年前より3割増えた。金沢市の山野之義市長は「2020年の東京五輪に向けて、免税カウンターは大きな武器だ」と期待する。

金沢市の中心市街地で外国人観光客の利便性や安心感を高める取り組みが広がっている。商店街の買い物の免税手続きを1カ所で済ませられる窓口が相次ぎ始動。地域の商店や交番が英語での対応力強化に動く。クルーズ船の寄港拡大などで北陸を訪れる訪日客は増え続けており、街を挙げて受け入れ体制を整え消費拡大につなげる。

言葉の壁を低くして訪日客の安心につなげる動きも一段と活発になっている。

金沢市内に10店を展開する老舗和菓子店の森八は、従業員の英語力強化に本腰を入れる。英会話教材「スピードラーニング」を手掛けるエスプリライン(埼玉県川越市)と組んで同社専用の教材を開発。菓子の素材や風味についての説明文を外国人が理解しやすい英語に置き換え、社員に徹底的に学ばせるという。

CDやスマートフォンのアプリで繰り返し聞いて耳を鍛え、来年には外国人講師を招いて接客訓練もする。中宮嘉裕社長は「英語での説明力が足りず、せっかく来店した客が帰ってしまうこともあった」と話す。

落とし物などのトラブルを処理する警察も体制を強化している。「ひがし茶屋街」など代表的な観光地を所管する金沢東署は今夏、英語にたけた警官数人で構成する通訳チームを発足。近隣の交番に配置した。

メンバーの1人、藤田明大巡査部長は「滞在日数が限られる外国人のトラブル処理には迅速さが必要」と気を引き締める。警察署での英語講習も担当し、地域全体で対応力の底上げに動く。

(金沢支局 小野嘉伸)

▼免税店 外国人旅行者など非居住者に対して消費税を免除できる店舗。事業者が税務署の許可を得て開設する。2015年4月から免税手続きを第三者に委託できるようになり、商店街の一括カウンター設置が全国で広がった。さらに16年5月には衣料や工芸品などの一般物品で、免税を受けられる最低購入金額が1万円超から5千円以上に引き下げられた。

[日本経済新聞2016年11月22日付朝刊]