敦賀ラーメンと大盛りソースカツ丼 こってり、腹一杯
探訪:若狭湾の味(3)
産炭地のホルモン料理や久留米など工場のまちのラーメンなど、額に汗して働く人が多い都市には、独特のハイカロリーな料理が発達することが多い。魚介に恵まれた若狭湾の東端に位置する敦賀も、そんなまちのひとつだ。
敦賀港は古くから大陸への玄関口として重要な役割を果たしてきた。1869年、日本初の鉄道となる4路線の一つとして、京都・敦賀間の鉄道建設が決まり、1882年に日本海側初の線路が敦賀に敷かれた。
1912年には、欧亜国際連絡列車の運行が始まり、東京から敦賀を経て、連絡船でロシアのウラジオストックからシベリア鉄道でフランスのパリまで行く路線が確立される。交通の重要拠点として、敦賀には駅や港で働く人々が多く集まった。
敦賀ラーメンは、屋台をルーツに持つラーメンだ。
スープは豚骨と鶏ガラをベースに醤油で仕上げたもの。豚骨は西日本に多いが、敦賀では、夜勤の鉄道マンらに支持されたという。
人気店の「一力」は、麺は多加水の縮れ麺。具はメンマと、脂をそぎ落としてさっぱりのチャーシュー。そして豚骨にあわせたのだろうか、紅ショウガがのっていた。
そして福井市をはじめ、福井県各地で人気を集めるヨーロッパ軒のソースカツ丼。敦賀ヨーロッパ軒は、1939年に福井にあるヨーロッパ軒の敦賀分店として開業しているが、若狭湾岸に暮らす人々にとって、ヨーロッパ軒のソースカツ丼は福井のものというより、敦賀の食べ物という意識が強いという。
確かに、福井に比べ量が多いと感じた。何より熱が入った二枚貝のようにパカっと開いた丼の蓋が「たっぷり満足」を演出する。
カツも福井のものにくらべ肉厚で、何よりご飯の量がかなり多い。レギュラーサイズでも、食べ切るのに苦労するほどだ。
福井の総本店では、別皿でソースが添えられていたのも敦賀にはなかった。
サバや梅など、和食を堪能した帰りには、こってりボリューム満点の敦賀の味もまたいいかもしれない。
(渡辺智哉)
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