焼かまぼこ、生しいたけ 和歌山が誇る抜群の歯ごたえ
歯を跳ね返すような弾力、そして歯の先が入った瞬間の何ともいえない力の抜け具合…。歯ごたえは、おいしさをいっそう引き立てる重要な感覚だ。そんな歯ごたえが魅力の食材が、紀伊半島の南部、和歌山県田辺市にある。
和歌山県では、農林水産物、加工食品、工芸品など「和歌山のめぐみ」の中でも特に優れた物を選んで「プレミア和歌山」として推奨している。田辺の名産品として古くから愛されてきた焼きかまぼこ・なんば焼と、同市の山間部で生産される大きく肉厚で歯ごたえのいい生しいたけが、その平成27年度審査員特別賞に選ばれた。
たな梅本店の「なんば焼」は、エソやグチを原料にした焼きかまぼこ。正方形の鉄の型に、粘度の強い魚のすり身をのせ、上から押さえつけて焼くため、日の丸のような丸い焼き跡ができる。
見た目は、東京にあるふわふわのはんぺんによく似ているが、歯ごたえはかなりの物。
龍神マッシュの「生しいたけ」は、菌床栽培のしいたけ。他の生産地で栽培される同じ品種の菌株にくらべ群を抜いた大きさ、肉厚さを誇る。
原木をチップにして菌床を作り、しいたけに話しかけながら、じっくりゆっくりと待って育てるという。早く育てようとすると品質が低下するとのことで、生産が追い付かないそうだ。龍神村のきれいな水と空気だからこそのおいしさだという。
紀州南高梅に青唐辛子を練り合わせた調味料、熊野フードファクトリーの「梅胡椒」も要注目。すっぱさの後から辛みが追いかけてくる味わいがくせになる。調味料としてだけでなく、酒好きなら、梅胡椒をなめながら飲むと酒が止まらなくなる。
そして、完熟梅と砂糖だけで作った、ヤマイチ本店の「手作りの梅ジャム」も。200グラムの梅を160グラムのジャムに凝縮した、希少な逸品だ。完熟梅を手でもいで、熟成させてジャムにする。紅茶に入れたりチーズ料理の隠し味にも最適という。
先日開催されたセレモニーでは、残間里江子推奨品審査委員長をはじめ、コラムニストの泉麻人さん、歌手のクミコさん、作家の幸田真音さん、漫画家の弘兼憲史さん、作家の鈴木光司さんのプレミア和歌山パートナーが、仁坂吉伸知事とともにトークショーを行い「和歌山の味」の魅力をアピールした。
(渡辺智哉)
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