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売れる営業 私の秘密

マンション購入「なぜ」探る 中途入社3年、販売1位 住友不動産 山田恵二さん

2016/12/12

■客の話聞き、共に考える

 一生のうちでも有数の高い買い物、マンション。一筋縄では売れない商品だ。販売が低調な時期だが、住友不動産は売り出し戸数で2年連続、全国トップに輝く。中途入社3年目の山田恵二さん(34)は直近の販売実績で社内1位に。住友らしくアグレッシブなのかと思いきや、物腰は柔らか。売り急がず、来客者の意向をじっくりと聞く姿勢が成約につながる。

 8月上旬、つくばエクスプレス線八潮駅(埼玉県八潮市)前のモデルルーム。「もうすぐ(お約束の)30分ですね」。模型を前に山田さんが若い女性客に話しかけると「そうでしたね」。軽い会釈が返ってきた。

 初めて来店したこの女性は、あらかじめ「接客時間は30分で」と伝えていた。時間を気に掛ける言葉を30分で3回も。店を出たあとの10秒間、見送られた。

 山田さんは「取るに足らないことでも丁寧に。契約して頂けるかどうかにかかわってくる」と話す。

 現在の担当物件は2018年完成の「シティテラス八潮」だ。地上8階建てで総戸数は493戸。3LDKタイプが主流のマンションだ。都心から電車で20分の典型的な郊外型物件だ。

 しかし業界全体では売れ行きは厳しい。販売価格はこの1年で6%程度上昇。今回の八潮の物件は3千万~4千万円台だ。20~30代が対象だが彼らの財布のひもは決して緩くはない。未完成の物件を売るのは営業マンの腕の見せどころだ。

 山田さんは購入動機をひたすら探る。冒頭の女性客は実家暮らし。独立を考え住む家を探していた。ところが、山田さんは「購入した物件で再び両親と暮らすかもしれない。マンションはバリアフリー対応で良い」とマンションの利点を強調した。「マンション購入の必要性をお客様と考え提案・解決する。物件紹介はわずかでよい」。入社間もなく聞いた、尊敬する先輩社員の言葉を実践する。

 苦い経験がある。入社当時、来店動機をよく把握せずに「冷やかしでは」と決めつけ、丁寧な接客を怠った。後日、別の社員が改めて接客し、物件の申し込みにつながったという。

 別の30代の来店客。資産状況などをみてローンの審査が難しいのではないかと思い込んだ。しかし、2カ月後、新たな方法を見つけた。が、時機を逸した。営業マンは個人事業主のような性格が強いが、「すぐにでも周りの人にもっと相談すべきだった」と悔やむ。

 一般的にマンションの売り出し期間は1~2年。完成までに売り切るプレッシャーの中、山田さんは売り急がず、購入動機をしっかりと探ることで、結果的には早く売れると考える。

 「一見チャラそうでしょう? でも報告・連絡・相談の『ホウレンソウ』がしっかりしていて頼りがいがある」。こう話すのは加藤俊一さん。八潮の販売責任者だ。山田さんは資料請求があれば、誰よりも早く電話を掛けるように心がける。

 裏付けるように、山田さんは今年6月、約400人の営業マンのトップ「金賞」に。成約件数や難易度を総合判断した表彰制度で、入社3年目で登り詰めた人は珍しい。山田さんの成約件数は半年で二十数件。担当物件の購入に難色を示した場合は別のマンションをあっせんした。「住む場所にこだわる人ばかりではない」

 これまで担当した物件は八潮も含めて5物件。もちろん物件ごとに販売パターンは違う。東京・晴海のタワー型物件「ドゥ・トゥール キャナル&スパ」(中央区)では投資目的の客とも対応。さらに子連れ客の場合は手品を披露したり客向けの説明資料を作ったりすることもある。

 勤務先は住友不動産で3社目になる山田さん。大学卒業直後に就職した不動産会社で、その魅力にはまった。「人生最大の買い物をサポートできるのはうれしい」。2社目は別業界だったが、出戻った。「2回連続でトップになりたい」。誰にも負けない情熱がある。

(岩本圭剛)

 やまだ・けいじ 2004年日大生産工卒、大手不動産会社入社。レコード会社への転職を経て13年9月に住友不動産入社。神奈川県や東京都のマンション5物件の販売を経験。神奈川県出身。

[日経産業新聞2016年8月18日付]

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