ジャパネットに転職した局アナ、プライド捨て挑む話術

梶原:「でも、完コピやっていると、みんなミニ高田になっちゃわない?」

馬場:「幸か不幸か、なろうと思ってもなれません。お客様への問いかけや、間や、商品をお見せするタイミングなど基本は一緒でも、お届けする商品にまつわる物語は、MCそれぞれが、自分の個性で編み出すことになっていますから」

梶原:「あれ、みんな自分で考えているんだ!」

馬場:「そりゃあ、そうです。そのために、紹介する品物はみんな家に持ち帰り実際に使い込み、これがお客さまの所に届いたらどんな物語が生まれるのだろうか、試行錯誤して言葉を紡ぎ出すんです」

梶原:「言われてみたら、高田社長の紹介した商品は物語と一緒に思い出すよね」

馬場:「わたしが完コピしたVTRにも、社長がスマホ(スマートフォン)を紹介するときのこんなコメントが印象に残っています。『スマホならテレビ電話ができるんです。遠く離れて住んでいるお孫さんとはお盆と正月ぐらいしか会えないなんて方も、これを使えば、お孫さんの日々の成長をそのまま見られるんですよ』って。社長はもともとカメラ屋さんでしたから映像的なエピソードが出てきますよね」

梶原:「そうそう、確かこういうのもあった(梶原、いきなり高田社長モノマネ披露)。『(トーンを思いっきり上げて)どうですか、みなさん! お孫さんの成長の様子も、今撮っておかないと、同じ写真はもう二度と撮れないんです。せっかくならキレイな写真を撮りたいですねえ』」

馬場:「梶原さん、似てますねえ(と、お世辞)……」

ご一緒に三脚とプリンターもいかが? ……思わず欲しくなる

梶原:「その続きが感動的なのよ(調子に乗りモノマネを続ける私)。『そのとき、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒の写真も撮っておきましょうね。将来お孫さんが大きくなって、あの時の自分はおじいちゃんとこんなふうにしていたんだと、お孫さんが大人になったとき、懐かしくおじいちゃん、おばあちゃんのことを思い出してくれるかもしれません。写真は世代を超えた宝物ですから』」

馬場:「ほお……」

梶原:「すかさず『そんなお孫さんと一緒に写真が撮れるように三脚もセットでお付けします』って」

馬場:「なるほど……」

梶原:「(梶原の怪しいモノマネが続く)『デジタルだから昔のフィルムと違って、何枚撮ってもカメラの中にデータとして保存できますが、せっかく撮った大事な写真はやっぱり現像しておきたいですね。そこで今回は、簡単に現像できるプリンターも、セットでご用意しました』って、私はおもわず電話したくなっちゃった。プリンターもカメラもあるのに……」

馬場:「わかります、その気持ち。仕事で完コピしてる私でさえ、買いたいなって思っちゃうんですから。実は今、商品紹介のために、我が家で某社の新型スチームクリーナーを使っているんです。おかげで入居3年目でちょっと古びた感じのキッチンが、入居したての頃みたいにぴっかぴかになって、3年前、転職の不安と期待が入り交じった当時のことを思い出しました。こういう『新鮮な感動』をどうやってお客さまにお伝えできるか、考えているところです」

局アナから転職して3年。テレビショッピング司会者として、いよいよ脂ののってきた馬場雄二さんの今後がとても楽しみだ。

[2016年11月17日公開のBizCOLLEGEの記事を再構成]

梶原しげるの「しゃべりテク」」は木曜更新です。次回は12月1日の予定です。
梶原 しげる(かじわら・しげる)
1950年生まれ。早稲田大学卒業後、文化放送のアナウンサーになる。92年からフリーになり、司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)。「日本語検定」審議委員を担当。
著書に『すべらない敬語』『そんな言い方ないだろう』『会話のきっかけ』 『ひっかかる日本語』(新潮新書)『敬語力の基本』『最初の30秒で相手の心をつかむ雑談術』(日本実業出版社)『毒舌の会話術』 (幻冬舎新書) 『プロのしゃべりのテクニック(DVDつき)』 (日経BPムック) 『あぁ、残念な話し方』(青春新書インテリジェンス) 『新米上司の言葉かけ』(技術評論社)ほか多数。最新刊に『まずは「ドジな話」をしなさい』(サンマーク出版)がある。

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