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胸襟開き周囲動かす

クレジットカード会社の収益は決済シェアを高めることで向上する。そのためにはすでに取引のある加盟店を支援してカード会員がカード決済をしやすい環境を整えることが重要になる。三菱UFJニコスで営業を担当する江川望さん(30)はホテル各社に新しい決済端末の導入を勧め、決済取扱高を大幅に増やして手数料収入の底上げに貢献している。

以前から三菱UFJニコスと加盟店契約している、ある高級外資系ホテルは急いでいた。セキュリティーの精度が高く、外貨でクレジットカード決済ができる端末を導入したがっていた。「2週間以内に提案書をまとめてほしい」。担当の江川さんに通常の半分ほどの期間を通告してきた。

江川さんには武器はあった。同社の決済専用端末「J-Mups(ジェイマップス)」だ。ニーズに応じて、クレジットカードだけでなく銀聯カード、電子マネー、外貨建てクレジット決済、ポイントプログラムといった機能を従来機より容易に追加できる。クレジットカードの情報保護の国際基準「PCIDSS」の準拠認定も取得している。

この端末を開発したのは2012年だが、類似の機能を持つ端末は今春まで登場しなかったとされるほどの優れ物だ。戦う前から利はあった。ただ、時間が足りない。

「無理だ。(締め切りを)延ばしてもらえ」と渋る上司に、江川さんは食い下がった。それを言ってしまうとこの案件は取れない、と確信していたからだ。実際に、期限に間に合わず商機を逃した競合他社があったことを後で知る。

提案書の難しさは手数料率をはじめとする取引条件の設定にある。江川さんは同僚2人を巻き込んで急造のチームをこしらえ、上司も交えて内容を練った。加盟店にとってのお得感では他社に負けない一方で収益をしっかり確保できる条件を追求した。セキュリティー性能や外貨建てクレジット決済の解説も盛り込み、期限までにA4判20ページの提案書が完成した。

このホテルは全国約10カ所で施設を運営しており、合わせて約140台のJ-Mupsを導入することに成功した。その結果、このホテルチェーンでの同社のカード取扱高は15年度は前年度比50%増を記録した。

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